第九話
第九話
真実を聞いた後、私は居ても立っても居られず病院の外へと出た。そして、座り込みダンゴムシみたいに体を丸めた。涙が後から後から溢れ出てくる。
「苺佳・・・。」
肩にポンっと手を置かれ、世界で一番大好きな声が聞こえた。
「り・・・お?」
そう、琉陽だった。私は琉陽の顔を見て、抑えていたものを晒した。
「その様子だと、・・・。知ったんだな?」
「うん・・・。」
琉陽の顔を見ると、顔が赤くなっていた。
「えっ?なんで赤くなってるの?」
涙なんか吹っ飛んでしまい、琉陽の答えが気になって仕方なかった。
「苺佳っ、お前のお母さんが言ってた話し。あの三つ子だって話は大嘘だ。おまえの兄弟は梅華だけだ。そして、本当の・・・ことはっ。」
「ん?」
本当の事ってあるのだろうか。琉陽照れてるせいか冷や汗までかいている。
「だからっ。」
「琉陽、それは私から話すから。・・・、苺佳。さっきの話は苺佳を試すための嘘だよ。貴方達の愛が本当ならば、誰が貴方達の間に踏み入ったとしても、跳ね返される愛。それがあるかないかで、貴方たちは強く慣れるにたる。苺佳っ、頑張るんだよ。誰にも負けない強さと愛を持っていれば・・・。」
私は自分に誓った。“この人を一生かけて愛する”と。
それから数日が経った。わたし達が付き合っている事は校内中に知れ渡っていた。そんなある日、転校生がやって来た。その子は、伊麻島萌名花。美人でスタイルが良く、前の学校では学年トップの成績だそうだ。わたし的には、可愛っ子ぶっていると思っていたが、内面も優しくて素直で運動神経もいい。
「なぁ、苺佳ちゃん。好きな人ていはる?」
「好きな人って言うか、こっ、恋人なら。」
「えー、誰なん?」
「魅那琉陽。」
私は正直にそう答えていた。確かに転向してきたばかりの人にこうしてこんな事を話すなんて、非常識だって分かっては居る。
「ええやんええやん。かっこええもんな。美男美女やわー。DELEのボーカルのMAIKAと、ドッキンパラダイスの琉陽やもん。お似合いやわー。夢みたいやわー、有名人と一緒に居るやなんて。」
「美男美女だなんて、大袈裟だよ。」
最初は萌名花ちゃんと仲良くなれたんだって思ってたけど、だけどそんなことはなく、平和な日々はある日音を立てて崩れ落ちた。