反対勢力
【第8話】反対勢力
アンドロメダは、広がる宇宙の中でも薄く、紫色にぼんやりと姿を現して、暗闇の宇宙の中にも希望をまだ残しているかのように、その存在感で訴えているようだった。
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B側(SR) (TR) A側(MR)
◎・・・・・⑮・・・・◎・・・⑦⑥・④③②①◎
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トロイ、ヴァル、ジークベルトの三人が残り酸素量3日と15時間になった時だった。B側に一斉に向った。B側で何気なく廊下を歩いていた男に出逢うと、捕まえあからさまに、B側脱出ポットに押し込んだ。
「がッ!!?な・・・・なんだ・・・お前ら!!や・・やめてくれ!!」
という男の言葉は、三人の心には届くはずもなく何の躊躇もすることなくオレンジボタンをおした。一瞬で息が出来なくなった男はマイナス270度の外の世界で、少し白い息を出し宇宙へと流れていった。そして、何事かと何も知らず近づいてきた他の男に、トロイは振り向きざま殴りかかった。突然襲われた男は何もする事も出来なかった。それもそのはず、トロイのような大柄な男が、命を取る事を目的に見境なく殴るのだから声すらも出せずに男は意識を無くした。その体を三人は、脱出ポットにいれて二人目を宇宙へと飛ばした。見境なく殴ったトロイの手は大きく腫れた。殴られた方はもちろん殴ったほうも硬い顔を殴ったので、拳は腫れてしまうのだ。
「トロイ大丈夫か?」
と、ヴァルは自分の服を破り、その布をトロイの拳にぐるぐるとテーピングをつけるように巻きつけるのだった。
「よし!次いくぞ!」
と、トロイは声をかけて、B13号室のブザーを鳴らした。平然と何も無いかのような慣れた口調でトロイが女性の部屋を開けさせた。ヴァルが空いた瞬間、彼女に襲いかかり髪を掴みかかった。すると襲いかかって来た男たちに驚いて
「ぎゃっ!きゃぁぁーーーーーーー!!」
と、いう大きな叫び声が鳴り響いた。ヴァルは彼女の口を塞ぐが、その叫び声に気付いたスポーツルームにいた二人の男が廊下を覗いた。
「トロイ。スポーツルームの男が気付いたぞ!」
と、慌てふためいたようにジークベルトがトロイに報告するとトロイはジークベルトの肩を叩いて
「行くぞ!」
と、命令した。ヴァルはスポーツルームに向かう二人を横目に、一人で女性の口を塞ぎ、暴れる彼女を脱出ポットに連れて行く。トロイとジークベルトは、男二人いるであろうスポーツルームに向かった。いままでは不意を突いて襲いかかっていたが、今度は違う。相手も身構えているのだ。広いスポーツルームに4人の男たちが2対2で対峙するかたちになった。トロイのほうは、もう相手を亡き者にする心構えが出来ていて、方や相手はどうしたらいいのか解らずに、戸惑っている様子だったので、トロイは勢いに任せてタックルをして相手をたたき潰す。ジークベルトのほうは逆に相手が優勢で押されていたが、ヴァルがさっきの女性の仕事を終えて、スポーツルームに来てジークベルトと二人で男を取り押さえた。二人の男に襲われたらひとたまりもなく、男は力尽きて脱出ポットに引きづり込まれたのだった。トロイとの闘いはすでに終わっていて、相手の首をねじり息の根を止めて男の片足を持って脱出ポットまで引きずってきていた。
「残る人数は5人だ。少し休むぞ!」
不思議と残りのB側の5人の姿が無く、廊下での騒ぎに気付いていないのか部屋から出てくる様子もなかった。一息ついたトロイはB15号室のブルースの部屋のブザーを鳴らした。すると部屋の中のブルースが眠たそうな声で
「どうした?君はトロイだったね。何かあったのかい?」
と、聞いてきた。トロイは前と同じように話をしてドアを開けさせた。そして、空いた瞬間ジークベルトが中へ飛び出すように入ると、大きな声で
「クローズ!!」
と、いうブルースの声が鳴り響いて、ジークベルトだけが部屋の中に残され、トロイとヴァルは部屋に入れずに萱の外になってしまった。トロイがヴァルに言う。
「おい。部屋の中見たか ?」
聞かれたヴァルも気づいていた。
「中に何人も待ち構えていた気がする・・・」
「まずい、一旦A側に戻るぞ」
と、トロイは一人部屋に入ったジークベルトを置いて、ヴァルと戻っていった。ジークベルトを見捨てたのだ。
B15号室には反対勢力のブルース、コナン、セシル、チャド、女性のアビーが作戦通りといったように、ジークベルトを見事一人この部屋におびき出すことに成功させた。
たった一人で取り残され5人に囲まれたジークベルトは全部ばれていると気づき引きつった顔で
「お・・俺はトロイに脅されて、仕方なくやっただけなんだ・・・頼む。おれも仲間にいれてくれ・・・」
と、頼み込むが、ブルースはジークベルトの話を聞かないような顔で近づいてきたので、ジークベルトはすぐさま後ろのドアから出ようとする。だが、全員に取り押さえられた。さすがのジークベルトも4人の男たちに取り押さえられ、ひとたまりもなく殴られて動けなくなるのだった。ジークベルトは数人に引きずられるように今度は逆に自分が脱出ポットに入れられた。
「お・・おまえーー!」
とジークベルトは叫ぶが、オレンジ色のボタンを押されて宇宙へと飛ばされていった。
トロイとヴァルはA側の窓から、ジークベルトが宇宙へと飛ばされ宇宙船にコツコツと体が当たる姿を確認するかのように見てA01号室へと戻っていった。
セラとオスカルはジークベルトがいないことに気付いて問いただすが、トロイは不敵な笑みを浮かべて事情を説明するトロイがまた、不気味に映るのだった。
そしてセラは考え込みながら言った。
「でも・・・おかしいわね・・・どうしてブルースたちは、あなたたちの行動を知っていながら、他の5人には教えなかったの ?助けようと思えば助けれたはずよね・・・」
トロイはそれを聞いて笑いながら言った。
「あいつらも俺たちと同じって事さ。あいつらも生き残れるのは5人だけだと解ってる。酸素量が足りなくなるからな。だからおれたちが、他の人間を宇宙へと飛ばすのをじーっとB15号室で見てただけだったんだ。何のことはない。あいつらも同じ穴のムジナなんだよ」
【第8話】完