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真実

 【第9話】真実(しんじつ)




宇宙船の外には無限とも思える宇宙の広大さが、迫り寄るかのような中、綺麗に輝く星々が宇宙船の内で繰り広げられる争いとは無関係に、離れた火星でも地球でも平等に何億年も前の光を届けるのだった。




――――――――――――――――

B側(SR)    (TR)       A側(MR)

◎・・・・・⑮・・・・◎・・・⑦⑥・④③②①◎

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

――――――――――――――――



 反対勢力側はジークベルトを宇宙へと飛ばせた事により、形勢が一気に逆転した。それもそのはず、こちらは力は弱いにしても男4人と女性1人。ただ、生きた人間のジークベルトを宇宙へと飛ばす事の精神的なストレスは計り知れなくて、我慢できず嘔吐(おうと)するのは女性のアビーだった。


「どうして、あいつらはこんな酷(ひど)い事を何度も出来るの・・・?」


ブルースはアビーの背中をさすりながら


「人は生き残ろうと思った時、その良心の呵責(かしゃく)は無くなってしまうんだよ。だけど、そういう奴らに負けてしまったら、今度はおれたちがあいつらの手で宇宙へ捨てられてしまうんだよ。ここは踏ん張り所だ。」


 アビーは息を切らせながら目をつぶり、自分に言い聞かせるようにブルースの言葉を心の中で再確認する。決して自分は悪くないのだと繰り返し繰り返し心の中で唱えるのだ。しょうがないしょうがないのだと・・・


「よし、みんな今は気持ちが落ち着かないだろう。だから3時間は自分の部屋で気持ちの整理の為、しっかりと休むんだ!決して3時間経つまでは部屋からは出ないように。外で何か物音がしたとしても時間が来るまでは外に出たらだめだよ。」


 ブルースはとても冷静沈着で、みなの動揺とは裏腹に静かな闘志があるかのような男だった。彼はこのグループのリーダー的存在で、今冷静に判断できるのはブルースだけだったので、全員それぞれの部屋へいき、部屋からは出ずに休んだ―――



―――3時間が過ぎてブルース、コナン、そしてアビーが部屋から作戦続行とばかりに出てきた。あとはチャドとセシルを待つばかりだったが、いくら待っても二人は部屋から出てこなかった。おかしいと思い、コナンが二人の部屋のブザーを何度も押すが全く返事が返ってこない。


「どうしたの?」


 アビーがまた震えた声でコナンに聞くが、コナンもどうしたのか見当もつかない様子で首を振る。そこへブルースがコナンの後ろへ周り


「落ちつけよ。コナン」


といいながら、突然!コナンの首を背後から絞めた。何が起こっているのか解らない様子で、コナンは声も出せずに暴れるが背後を取られ首を絞められてはもがくしかなかった。アビーも驚いて


「なに!?どうしたの??」


と、問いかけるが今起こってる現状が理解できなくて戸惑うばかりのところ、ブルースの部屋B15号室から二人の男が出てきた。トロイとヴァルだった・・・!。

 コナンは必死に抵抗して、ブルースの首のあたりをかきむしるとブルースの首からチップらしきものが床に落ちた。その瞬間ブルースの3D画像で造られた顔が、なんとスポーツルームでトロイとボクシング勝負をした、韓国人のホンシクの顔に変わったのだった。落ちたチップは変身チップだったのだ。

 アビーは敵に囲まれ唯一の仲間だろうコナンが、今殺されそうになっているのを見ながら何も出来ずに床に座り込んでしまった。静かにコナンは動かなくなってしまい、ホンシク、トロイ、ヴァルが一緒に動かなくなったコナンを脱出ポットにいれて、ボタンを押すと3時間の間で先に亡き者にしていたのだろう反対勢力の仲間だったセシルとチャドも一緒になって、3体の死体が宇宙へと飛び出した。

アビーは何が起こってるのか理解できずに、ガチガチ歯が鳴って体は震えているのをみて楽しそうにトロイが説明をはじめた。


「確かお前の名前はアビーだったな。おれが全部説明してやるよ・・・。今俺たちの現状だと酸素が火星までもつには5人分だけの容量しか残されていない。それはお前も知ってる通りだ。そこで考えるのは残りの15人をどうやって処分するかって事になるよな?・・・。こっちはたった男4人。残りの男女15人を消すなんて、はじめから簡単に出来ないと思ってね。反対勢力が出来るだろと踏まえたおれたちは、どうせ抑(おさ)えれないなら、自分たちで作る事を考えたんだ。この宇宙船で最初の犠牲者はお前たちにブルースが報告したA側にいた奴らじゃない。このおれ、トロイとホンシクで、はじめに消したのはお前たちのリーダーだったはずのブルースなんだよ。そして、ブルースの顔を変身チップに記憶して、お前たちに近づいていったんだ。」


アビーはそれを聞いて驚いた!確かにブルースは反対勢力を作る前までは、おとなしい落ち着いたイメージする男だった。アビーは震えた声で問いただした。


「わ・・・わたしたちに声をかけた時から、ブルースはもう死んでたって事・・・?」


目を大きく開いて気持ちが悪い顔でトロイは顔を近づけ笑いながら答えた。


「そうだよ。お前たちの偽物のリーダーのブルースはもうすでにこっちの見方だった。3時間の休憩の間もブルースは信用されていたからチャドとセシルの部屋のブザーを鳴らしてドアを開けさせるのは簡単だったぜ。笑えるのはあいつらの顔だ。ブルースに、はめられ驚いた顔、いまのお前と同じだったぞ。本当に面白くてまぬけだったな。しかも、お前たちは3時間は部屋から出て来ないしな・・・w」


そして、トロイはゆっくりとアビーに近づくと、アビーが脅えすがりながら言った。


「お願いします。本当に何でもしますから、命だけは助けてください。トロイ様お願いします。」


トロイはそれを聞いてヴァルたちの顔を見て笑った。


「ヴァルー。どうしようか ?」


トロイはニタニタ気持ち悪く笑った。その時、A側からセラが歩いてきて、


「アビーさん!」


助けるようにセラはアビーに近づくと、アビーは突然近寄られ、怖かったのか、セラの顔をバシッと叩いた!


セラが殴られたのを見たトロイは怒り狂ってアビーの髪を掴み、脱出ポットまで轢(ひ)きづり、無理やり中にいれ、何の躊躇(ちゅうちょ)もなくボタンを押した。アビーは宇宙へと流れていった・・・。


それをみてセラが


「どうして・・・どうしてそんなことするのよ!彼女は女性よ・・・こんなヒドイことどうして出来るのよ!!?」


セラの叫びを聞いてトロイは、泣き叫ぶセラを抱きしめて


「僕たちが生き残る為だ。これはしょうがないことなんだよ。君の事はおれが必ず守るから、落ち着くんだ。」


過呼吸(かこきゅう)ぎみに混乱しているセラを落ち着かせるかのように、トロイはセラを抱きしめながら説明するのだった。


【第9話】完


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