辿り着いた真相
「そ、私」
入って来たのは、巫女装束に身を包んだ女性だった。
「この方が、雲外鏡です。彼女はお隣にある神社で巫女を勤めています」
「皆さん、初めまして。雲外鏡の蚤知桐といいます」
蚤知桐、そう名乗った女性はにこやかに、お辞儀をした。
その丁寧な態度に、僕たちもつられてお辞儀をする。
「早速で悪いけど、ここはもう安全じゃない。荷物を纏めて隣の神社に来て。私は
先に戻って準備しておくから。それと、そこに転がってる骸は持ってこないでね」
「分かりました、準備の方よろしくお願いします」
蚤知さんは、吉田さんの言葉に軽く右手を挙げて、カフェを後にした。
元々少ない荷物を纏めるには、少ない時間で十分だった。
各々、纏めた荷物を持ち、カフェの前へと集まる。
吉田さんが扉の鍵を閉めるのをみんなで見届けて、神社へと向かった。
神社へ着くと、桐さんが手を振りながら僕たちを迎えてくれた。
「荷物纏めるの早くない? もう少しかかるかと思ってたよ。さ、入って入って」
桐さんに促されて、靴を脱ぎ拝殿へ上がる。
「よし、誰も奸様側からの干渉を受けていないな」
「今の一瞬でそんなことが分かるのか」
「てか、あんな奴に様なんて付けなくていいだろ」
源十さんは感嘆の声を漏らし、一方で雷さんは嫌悪感をあらわにしている。
「私は一応、中立的な立場だからね。例え内心大嫌いで軽蔑してても、堂々と表に出すわけにはいかないの。お分かり?」
「中立って大変そうだな」
「そうかもね」
桐さんは短くため息をつくと、僕たちを拝殿の奥へと誘導する。
奥には幣殿という、本殿と拝殿を繋ぐ部分があり、僕たちはそこを進んでいく。
「奥には何があるんですニャ?」
癒麻さんの肩に乗った金茶が、桐さんに疑問を投げる。
「奥には私の本体があるの。此処の神社では御神体として祀られているのよ」
本殿は窓一つなく、暖色の灯りが中央に鎮座している丸い鏡を照らしている。
中央に祀られている雲外鏡の本体は、直径五十センチ程の、学校の教室の壁に掛けられている時計そのままの大きさと形をしていて、鏡面には傷、汚れは一つもなく輝いている。
「それじゃあ、鏡を囲むように座ってね。雅様は鏡の正面に」
鏡の正面に正座をする。桐さんは全員が座った事を確認すると、鏡の前に立って片手を鏡面に突っ込んだ。
「吉田さん、手鏡のサイズは分かる?」
「すみません、手鏡のサイズまでは把握していませんでした」
「ううん、気にしないで」
雷さんが「あ」と短い声を上げると、勢いよく立ち上がった。
「雷、座れ」
「悪い、でも思い出したんだよ」
雷さんは源十さんの言葉に素直に頷いて座ると、興奮気味に話し出した。
「悠斗が持ってた鏡のサイズ、分かる気がする。でも具体的なサイズがわかんねえ……」
「雷さん、大体でも大丈夫」
「よし、確かこんくらいだった」
雷さんは両手で丸を作ってみせた。
「ありがとう、鏡の記憶を辿る助けになる」
桐さんが記憶を探し始めてどれ位経ったのだろうか。ちらりと携帯電話の時計を確認すると、この神社に来てから十分程しか経っていなかった。
外の様子が分からないと時間の感覚が曖昧になる。
「あった、君達がお探しの記憶」




