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『ランクA(3)』

更新が遅れてしまい誠に申し訳ありませんでした。

それでは、お楽しみください。

 警護隊長である、リブロ・カーセル・バーシムは新たに現れたワイバーンに馬を走らせながら必死の迎撃を行っていた。


 初めに現れたワイバーンは森に潜んでいた妙な連中が惹きつけた。

 こちらの代わりに囮になったのなら少なくとも敵ではないだろう。誰も好き好んでワイバーンを惹きつけたいとは思わない。だが、もう1騎が問題だ。



「馬車に近づけさせるな。矢で牽制し注意をひけ!」



 弓を持つ部下たちが馬に騎乗しながら矢をワイバーンに向ける。しかし、かなりのスピードが出ている馬からの矢では熟練者でも当てるのは難しい。さらにワイバーンの強靭な鱗は弓兵の矢などでは少しの傷しかつけられない。


 この世界において竜種またはその亜種だとしても1騎を仕留めるのには膨大な戦力必要だ。竜種に会えばこの世界の生きる者は逃げるか隠れるしか助かる道はない。だが、ごく一握りの者は単独で竜種を葬り去る者がいる。

 こんなところに都合よく竜種を倒すことができる者がいない以上、騎士たちの考えは同じものだった。


 自分たちの命を囮にしフォレスター様を無事に町に向かわせる。


 騎士たちが命を懸ける物をアルフィー・ヴェラ・フォレスターは持っていた。

 伝統もある貴族。伯爵家でありながら貴族の権力を誇示せず、下級貴族、平民とわず気遣ってくれる。


 貴族の中には自分が特別な存在だと思い込み、貴族の権力を使い好き勝手にするものも少なくはない。

 下級貴族であるリブロもそんな貴族の話を聞いたことがある。

 そんな貴族がいる中で彼女は戦姫様と共に率先してそれをやめさせようとしている。

 

 自分たちの命で彼女が生き残れるなら命など惜しくはない。

 


「アスマーク、フォレスター様を連れ単騎で町へ迎え!!」



 ワイバーンからフォレスター様を無事に町に送り届けるための今とれる最善の方法だ。

 馬車ではどうしてもスピード、小回りで単騎の馬に劣ってしまう。



「自分も戦います!!」

「馬鹿者!! この中で馬を1番扱えるものは貴様だ!」



 アルマークス・スキウロスは、今年になり配属された新米の騎士だが馬の扱いには古参の騎士にも引けを取らない素晴らしい才能を持っていた。

幼少期から馬と共に育ったことが、アルマークスの乗馬の才能を開花させるきっかけになったことが大きい。



「アルマークス、貴様がなすべきことはフォレスター様を無事町まで送り届けることだ。我々ができる限り時間を稼ぐ」



 フォレスター様には馬車を走らせたままアルマークスの馬に飛び乗ってもらすしかない。危険ではあるが今、馬車を止めてしまった方がより危険だ。

 


「来るぞぉ!!」

「くッ! 何としても馬車を守れ!!」



 アルマークスの馬が馬車に接近しようとしたところで上空にいた2騎目のワイバーンが馬車に急降下する。すぐさま騎士達が自らの身を盾にして馬車を守ろうと展開する。


 ワイバーンは騎士たちの命がけの守りに目もくれず粉砕し、馬車を引く馬にかぶりつく。

 馬はワイバーンのするどい牙と顎によっていともたやすく胴体の大部分を食いちぎられる。それにより馬車のバランスが崩れかなりの速度で横転する。それだけでは終わらず馬車を守っていた騎士を数名巻き込みながら地面を抉り滑っていく。

 それでも馬車は粉々になることはなく原形を留めていた。

 普通の馬車ならばバラバラになってもおかしくない衝撃であったが、王族も使用する馬車は普通の馬車と違い優雅な中にも万が一、何者かに襲撃された際に備え実戦にも耐えられるしっかりとした造りとなっており、そう簡単には壊れなかった。







 ◆






 護衛対象、アルフィー・ヴェラ・フォレスターらしき姿はまだ確認できない。

 まだ、横転している馬車の中に取り残されているようだ。 護衛の騎士が馬車に近づこうとしているがワイバーンに吹き飛ばされている。



「馬車に近いワイバーンを『エネミー1』とし偵察隊が抑えているワイバーンを『エネミー2』とする」



 無反動砲を使いたいがワイバーンが馬車に近い。

 最悪、馬車に乗っている護衛対象まで巻き込みかねない。護衛対象が負傷し馬車から連れ出す事ができなければ馬車を中心に防衛に回るしかないか。



「全員聞け。ワイバーンが馬車に近いため無反動砲の使用は控えろ。騎士たちの様子から護衛対象は、いまだに馬車の中にいると思われる」



 速やかにこのワイバーンを片づけなかればグレータ達の偵察隊が全滅する。



『エネミー1、有効射程内です』


「攻撃開始」



 掘削機のような音が鳴り響く。ハンヴィーのボンネットや銃座にマジックペンほどの太い薬莢とそれを繋げていた金属製ベルトリンクが転がり落ちる。

 M2キャリバーはその性能を遺憾なく発揮していた。


 ワイバーンの体の表面では激しく火花が散り、鱗が他の部分より比較的薄い下腹部などからは銃弾が穴を穿ち血液が流れ出ている。



「機動力と火力を活かしてワイバーンを誘導しろ、馬車の上に落とすなよ」



 ハンヴィーはその機動力を生かしながら馬車を襲っていたワイバーンに銃撃を加え馬車から引き離す。 馬車から引き離しさらに銃撃を頭や腹部に集中させる。


 ハンヴィー、4輌からの激しい銃撃でワイバーンが上空から落下する。

 この光景を一般人がみればとても信じられないでことだろう。数百名の兵士がやっと1騎落とすのに対して20人弱でワイバーン1騎を落としたなど。 



「1号車、2号車、『AT-4』。その他はキャリバーで援護しろ」



 個人用携帯無線機でそれぞれに指示を出す。

 1号車と2号車のハンヴィーの銃座から無反動砲を持った兵士が上半身を乗り出す。

 

『AT-4』・・・スェーデンのFFVデイフェンス社が開発した対戦車ロケット・ランチャーである。

 運搬コンテ兼発射チューブにロケット弾が収められている構造で、一発撃ったら使い捨てる方式のロケット兵器だ。


 AT-4を持った隊員は発射チューブからショルダー・レスト(構える際の取っ手)を起こし発射チューブ(AT-4本体)を肩に担ぐ。折り畳み式の照準器を起こして安全ピンを抜き放つ。


『1号車、照準よし!!』


『2号車、照準よし!!』


「撃て」



 AT-4から発射された弾頭2発は地面に落ちたワイバーンの右の翼と腕、右胸部に命中する。



「ガャァァァァァァァ!?」



 ワイバーンは断末魔の叫びを上げながら息絶える。

 どうやらようやく死んだようだ。

 流石に竜種の亜種だけある。生命力が一般の魔物と比べようもないほど強い。



「1号車、2号車、3号車はそのまま『エネミー2』を排除しろ。4号車は目標を確保する」


『『『了解!』』』



 4号車の車輛に乗っている俺は、ハンヴィーを馬車のなるべく近くに停車させ銃座に1人残して3人の隊員を連れて車外に飛び出す。


 馬車に低い姿勢を保ちながら走る。

 馬車の周りには護衛だった騎士が倒れている。どの騎士の傷も重傷の様だ。すでに死亡している者もいる。しかし、彼らが必死で囮になっていたからこそ馬車は今も原形をとどめているのだろう。


 重傷な騎士を助けてやりたいがひとまず目標の安否を確認しなければならない。

 走っていた勢いのまま横転した馬車の上に飛び上がり手をかけ一気に上がる。身体能力が上昇したうえに毎日鍛えているだけあり20キロ近い装備と自分の体重を持ち上げるのにも苦にならない。


 横転した馬車は外交用でもありそれなりに大きい。


馬車の扉は横転した時の衝撃で歪んでいるようで開けようとしてもびくともしない。

 騎士が使っていたバスターソードを拝借し扉の隙間にねじ込み梃子の原理でこじ開ける。


 馬車の中には長い白い髪の少女が倒れていた。

 白いドレスが少女にとてもよく似合っており、可憐さの中に儚さを感じさせている。 


 この少女が、アルフィー・ヴェラ・フォレスター。

 伯爵家フォレスター家の長女。若干18歳にしてこの国の外交を担当する少女。

 

 外交は銃弾のかわりに言葉が飛び交うもう1つの戦場。


 2人の隊員を馬車の外に残し、もう1人の女性隊員と馬車の中に入り込む。

 少女の首に触れ脈をとる。



「脈は正常。目立った外傷なし」



 特に目立った怪我もない。軽い脳震盪だろう。

 彼女の様態を確認している時に馬車と地面が大きく揺、残ったワイバーンの悲鳴と共に聞こえた爆音で更に馬車が揺れる。


 どうやら仕留めることができたようだ。

 弾薬、燃料の消費がどんどん増えていくな・・・・・・・。


 思わずため息が出そうになるが隊の仲間の前ではしたくないな。

 自分なりの意地だ。


 そんなことを考えている時に無線機に声が入る。



『状況終了』


「了解。負傷者は?」


『こちらの負傷者はいません』


「よし。まず、目標ケリサに届ける。その間に護衛の騎士の応急処置を行うぞ。緊急搬送が必要な騎士は残ったハンヴィーでケリサに運び込む。最後まで気を抜くな」



 悪いことはまだ続くなと思えてくる。

 勘ではあるが最近その勘がよく当たる。気が沈んでしょうがない。 

 面倒事でないことを祈ろう。


 

 

 

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