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『街道確保(2)』

お待たせしました。

どうぞお楽しみください。

 

 俺の横では姉のリルが観測手スポッターを務め,妹のルルが狙撃手スナイパーを担当している。 


 ルルが『ブレザー・モデルLRS2』のボルトを前後動し薬室から薬きょうが排出され新たな弾薬の装填が行われる。


 『ブレザー・モデルLRS2』は,コッキングハンドルの前後動だけでボルトのロッキングを解く独特な設計がされており,ボルト・アクションのようにボルト・ハンドルを回転させなくても直接後方に引き前方に推し進めるだけで弾薬の装填ができ素早い連発を可能とした。しかし,一方で不用意にボルトが開く可能性があるという指摘もされている。 



「ヒット。次の目標左に2・・・・・・撃て(ファイヤ)

「馬車に近づく(タンゴ)も狙撃しろ。ルル,馬車との距離を少し取らせろ」



 .338ラプア・マグナム弾による遠距離狙撃だ。距離として実に1200メートル。

 だが,どの弾丸も正確に敵を葬っていく。

 街道がある程度見渡すことができる丘の上に(じゅん)たちはいた。

 



「馬車の上の脅威はすべて排除した。追いかけている奴を仕留めろ。射線には気を付けろよ」

『了解しました』 



 無線で指示を出し,2台のハンヴィーが猛スピードで馬車に向かっていく。

 馬車の手綱を握る商人も猛スピードでむかってくるハンヴィーに驚いている。

 この世界の人にとってはハンヴィーも得体のしれないものになる。


『ハンヴィー』 全世界70カ国の軍隊で使用され,小型軍用車のデフォクト・スタンダードとなっている高機動多用途装輪車両こうきどうたようそうりんしゃりょうである。

 最大の特徴は,その驚くべき凡庸性だ。

 基本型の人員・物資輸送に加え,救急車,誘導ミサイル搭載車,通信車,衛星通信車,地対空誘導ミサイル搭載車など,あらあゆる特殊なバージョンを同じシャーシーから作り出している。


 ハンヴィーが街道を馬車が通れる隙間だけ開け塞ぐ様に停車する。ルーフにある回転式銃座に着く者以外が車外に出て,レッドキャップを迎え撃つ準備を整える。回転式銃座にはM2重機関銃『キャリバー』が据えられており射手が固いコッキング・ハンドルを2回引き,12.7mm×99弾が装填されグリップハンドルを握る。




 先ほどの狙撃で後続のレッドキャップの移動速度が落ちて馬車との距離が開いた。

 馬車がハンヴィーの開けた隙間を通過した瞬間に,レッドキャップに向いているすべての銃口が火を噴いた。弾倉に装填してある弾丸は最初と最後の弾丸数発が曳光弾(えいこうだん)になっており,弾切れが近いことを射手に知らせてくれる。


 曳光弾(えいこうだん)は射手に弾道を示すことから『トレーサ』とも呼ばれており,特殊な弾丸で発射の際に弾丸内部の硝酸バリウム,マグネシウムなどを含む化学物質が発火し,弾丸の速さにより光が線を描くように見える。射手はこれを目印に射撃を行うことができる。


 銃弾は容赦なくレッドキャップの命を奪っていく。

 12.7mm弾の薬莢がボンネットに転がり12.7mm弾に貫かれた個体は,体の部位を吹き飛ばされるかミンチになるほどの威力だ。

 瞬く間に追ってきたレッドキャップをすべて肉片に変えてしまう。

 馬車の商人と冒険者はただその圧倒的な光景を口を開けてみていた。


 ひとまず馬車は,大丈夫だろう後は護衛の冒険者か。

 無線をザックにつなげる。


「ザック,ハンヴィーを着けて,馬車を『ケリサ』まで護衛しろ」

『了解。カンヘルのチームで送らせます』

「よし。残りは足止めをしている冒険者を救出する。乱戦が予想される味方を撃つなよ」



 『ケリサ』は,首都までの街道にある町だ。

 人口は,5千人ほどで主に穀物を第一産業としており,ブリューナルの4割を補っている重要拠点だ。 


 すぐさま近くに止めておいたハンヴィーの運転席に乗り込みエンジンをかけアクセルを踏み込む。

 リルとルルもライフルを荷台に収納し,ルルが銃座に着く。助手席のリルは,冒険者が交戦していると思われるポイントの地図を広げる。

 精密な地図だ。


 この世界の地図は大まかな物しかなく、軍が所有している地図でもそれほど精密な物はない。測量技術がそれほど高くないのが原因だ。



「戦闘地点にレイヴンを飛ばせ。情報が欲しい」



 銃座に着いていたルルがハンヴィーの荷台から『RQ-11レイヴン』を取り出す。

 『RQ-11レイヴン』,米AeroVironment社製のRQ-11は小型固定翼機だ。

 手投げ(ハンド・ローンチ)により発進し,プロペラを回して推力を得る。上昇限度は海面高度で15,000フィート、また対地高度では約300メートルまで。飛行速度は45-97 km/h,航続距離は10 km。


 操作法としては地上からの無線操縦ラジコンによる飛行と,GPSを使用し,設定した場所を経由させる完全自律飛行を可能にしている。ノートパソコンを利用し,ボタン1つで発進した場所に帰還する機能を備えている。機体には,カラーのCCDビデオカメラと赤外線ナイトビジョンカメラを搭載している。



 ハンドルを握りながら片手でPDAでレイヴンを制御する。


 俺が持っているPDAは優れもので無人偵察機などを制御することもできる。


 




 ◆







 「傷の深い者は下がれ!!」


 ガルドは,バスターソードを使い何匹目かわからないレッドキャップを切り殺す。

 冒険者の中には幸い死者は出ていないが重傷を負ったものがちらほらと出始めている。

 彼らはまだしぶとく抵抗を続けていた。これは,前衛として剣を振るいレッドキャップを片づけているバルドのおかげでもある。前衛にはバルドの他に斧を使うジクルトと華奢な体格の双剣使いアリサが同じくレッドキャップを葬る。



(このままだと数で押し込まれる)



 ガルドは,焦っていた。

 最初は,優勢だったが次第に戦線を離脱する者が出始め今では前衛をほとんど三人で支えなければならない状態だ。

 ジクルト,アリスも大きな傷は無いが軽い切り傷を追っていた。



「ぐッ!?」


 

 アリスがレッドキャップの刃を左肩に受け,短剣を落とす。

 手負いのアリスに一気にレッドキャップが襲い掛かる。

 

 

「アリスッ!!」



 アリスは,レッドキャップの数多の斬撃を右手の短剣のみで防ぐ。アリスは死を覚悟するが,そこに轟音と共に見たことのない鉄の馬車が飛び込んできた。 

 



 ◆






 なんとか間に合ったようだ。

 前衛で戦っている冒険者の盾になるようにハンヴィーを突っ込む。


 レッドキャップがぶつかり車体が大きく揺れ,レッドキャップが宙を舞うか軍用タイヤに巻き込まれる。冒険者の前にハンヴィーを停車し,M2の銃口が至近距離でレッドキャップを捉え今日で2度目になる一方的な殲滅戦が開始された。





ご意見やご感想があればよろしくお願いします。

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