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ぼくと彼女の変わった日常。  作者: ねむ。
変わってしまった日常。
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十字の刃

死んでいるようにしか見えなかった。触手の動きが一段と激しくなったと思うと、クウヤの体から流れる血も激しくなった。彼の足元には広い範囲に赤黒い染みができている。


夜枷は触手に弾かれて地面に転がっていた愛刀を取り返す。それを杖の代わりにしてよろよろと立ち上がると、改めてクウヤに向き直る。


一応呼びかけてみるが、予想通り返事はなかった。十字を模した短剣を呼び出して構える。


「クウヤ。お前がアリスの兄で奏唄の友だってことは俺にだってわかる。でも、俺は…俺は殺し屋だ。雇い主から依頼を受け、金を受け取った以上、仕事はしないといけない」


夜枷の手から放たれた短剣は、矢のように飛び、少し離れたところに立つクウヤの額を射抜いた。


そして夜枷もまたその場に倒れる。致命傷は受けていないが、しばらく動くことはできそうになかった。クウヤの命は確実に尽きた。案外あっさりした最期だったようにも思うが、仕事はこなした。


依頼主、八皇剣のリーダーの満足気な顔が目に浮かんだ。



夜枷が奏唄に協力するという理由だけで動いているわけではないと感じてはいた。

そして、私をあの場から遠ざけた理由も知っていた。私の仕事は、「夜枷とクウヤは死んだ」と奏唄に伝えること。彼は言葉にこそしなかったが、長年共に戦ってきたロムにはわかった。


「ばか」


ロムは空間に開けた穴に飛び込み、奏唄の家へと走る。

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