決着2
アミスからの合図を受けたフタミは短機関銃を車内に落とすと、サンルーフから跳び上がるように身を乗り出した。そして、瞬時にシーノの下のセダンに照準を合わせ、安全装置を解除する。
「ぶっ飛べ。」
そう言ってフタミは引き金を引いた。
その瞬間、ランチャーの後方から多量の煙を吹き出し、同時にロケット弾が白煙でフタミの視界を奪いながら飛翔していく。そして、ロケット弾はセダンに直撃し、シーノを車ごと吹き飛ばした。
「うお!?ちょ・・・おお!?」
運転席ではアルカがバックブラストによって視界が奪われたことに困惑し、直感でハンドル操作を行っていた。
ガコン
下方からの激しい衝撃。
衝撃で車内に引き戻されるフタミ。
車内を覆う浮遊感。
そして、そのまま上下が逆さまになり、車は屋根から地上に叩きつけられた。
「・・・下手くそ。」
ジャーマンスープレックスを食らった直後のような、奇妙な姿勢のままフタミはアルカに吐き捨てる。
「いやいや、バックブラストで前が見えなかったんスよ。」
アルカはヘラヘラと弁解しながらシートベルトを外し、逆さ吊り状態を解除した。
「二人とも、かなりまずい状態よ。」
完全にオフモードの二人とは対称的に、片膝を着き両手で拳銃を保持していたアミスが警告する。
「ああ・・・」
フタミとアルカは体勢を戻し、フレームだけになった窓から外を確認すると声を漏らした。
三人が乗っていたスポーツセダンが横転した交差点は、警察による強固なバリケードによって封鎖され、多数のパトカーや警官、シーノファミリーの構成員によって包囲されていた。
「フタミ、どうするの?」
「どうしたものか・・・」
この状況を打破すべく思案するフタミだが、完全に詰んでいる。
その間にも警官と構成員は銃を構えにじり寄って来ていた。