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VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
まだまだ現役
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ようこ、店を開ける

 ロビが順調にイークラトの港へとバギーを走らせていると、突然空から咆哮が聞こえた。


 ギャァォオオオオ!


 バサッ バサッ バサッ


 なんと、もう少しで港に着くというところでレッドドラゴンが上から降りてきた。


 それを見たおばあさんがドラゴンに尋ねた。


「ドラゴンちゃん、あのドラゴンはお友達じゃないのかしら?」


「あのドラゴンと? 何をおっしゃいます、洋子様。あのような下等な者とはお友達にはなれません。はっはっは」


「じゃあ、倒せるかしら?」


「もちろんでございます! お役に立ちましょう!」


 パタパタパタパタ


 ドラゴンは小さい姿のまま飛び上がるとレッドドラゴンの前で静止した。


 ギャァオオォオオ!


 キィィィィ……


 レッドドラゴンは口を開けるとドラゴンの魔法使いに炎を吐こうとした。


 しかし、ドラゴンの魔法使いは鋭い真空波を繰り出した。


 シュピッ!


「……」


 ドラゴンの魔法使いの真空波は一瞬にしてレッドドラゴンの首を切断した。


 しかし、その首は胴体とともにバギーへと落下してきた。


 ヒュゥウウウ


「「わーー!」」


 それを見たドラゴンの魔法使いは慌てた。


「しまった!! 洋子様!!」


 ロビは逃れようと慌ててアクセルを踏んだが、レッドドラゴンが大きすぎて抜け出しきれなかった。


 その瞬間、黒猫が魔法使いの姿に戻って両手を広げ、バギーの上に大きな防御魔法陣を作り出した。


 ブゥ……ン


 ドサッ、ドザッ!!


 レッドドラゴンの死骸は魔法陣で受け止められ、ゆっくりと消滅していった。


「猫ちゃん、さすがだわ!」


「ありがとうございます、洋子殿」


 黒猫が猫の姿に戻ると、ドラゴンの魔法使いはバツが悪そうにバギーに降りてきて、おばあさんの足の上に戻った。


 そして、みんなに謝った。


「みなさん、すみません……」


 するとロビがドラゴンの魔法使いに言った。


「すごい攻撃でしたね。一瞬でレッドドラゴンを」


「いやぁ、そうなんです! 私くらいになると一瞬で倒せるんです。はっはっは」


 ドラゴンの魔法使いが小さいドラゴンの姿のままポーズを決めると洋子がドラゴンの魔法使いに言った。


「ドラゴンちゃん。調子に乗ってはいけませんよ。みんなが危なかったんですからね」


「はっ! すみません。洋子様のおっしゃる通りでございます。面目(めんぼく)ございません……」


 ドラゴンの魔法使いはまた恐縮して、みんなに頭を下げた。


「ドラゴンちゃん。あなた強いみたいだけど、何だか抜けてるわね……」


「……はい、これからは気をつけます洋子様」


 すると洋子はドラゴンの魔法使いと黒猫を撫でながら黒猫に言った。


「それにしても、同じ魔法使いでも性格が全然違うのね」


「そうですね」


 こうして洋子たちは港に戻って船に乗り、ピンデチのロビのお店まで戻った。


 ◆


 おばあさんたちがロビの店に帰ると、ドラゴンの魔法使いはウトウトしながら黒猫の背中に降り、そのまま寝てしまった。


「あら、ドラゴンちゃん、寝てしまったわね」


 すると黒猫がおばあさんを見上げて言った。


「おそらく今日は彼なりに頑張ったのでしょうね」


「そうね……。そうかもしれないわね」


「洋子殿。(われ)が洋子殿にイークラトの魔法使いを会ってほしいと言ったのは、彼が永久に解放されないかもしれないと思ったからなのです」


「あら……、そうだったのね」


「我も長い間解放されずに主人を待つ日々でした。しかし我の解放条件も難しく、なかなか解放されませんでした」


「まぁ……」


「我は、彼の解放条件が相当難しいと知っていましたから、我を解放した洋子殿なら解放できるのではないか、と思ったのです」


「そうなのね」


「我々は主人の期待に答えることが喜びです。彼は今日一生懸命だったのだと思います」


「猫ちゃんは優しいわね」


「いえ……」


 するとロビが驚いた声でおばあさんに言った。


「洋子さん、今ツイッタグラムで話題になってますよ!」


「え?」


「とうとうイークラトの魔法使いを眷属にしたプレイヤーが出た、と」


「ええ!?」


 するとミツがおばあさんに言った。


「すごいです……。ぼく……は、ぁんなに……話せない……から」


「そんなそんな。ミツさんはお強いんだから、いいじゃないですか。うらやましいわ」


「ぁ……、ぃや……、ははは。でも、ゆぅ……のほうが……強いんで……」


 ミツは嬉しそうにして、ゆぅを小さく指差した。


「あら、本当に!?」


「ぇ……、ぁ、いや……」


 するとロビが言った。


「ゆぅは片手剣の名手なんです。彼の舞を踊るような攻撃は美しいんですよ」


「まぁ素敵ね! いつか見てみたいわ!」


「ぁ……、ぃつでも、ぉ手伝い……するんで……」


「ゆぅさん、ありがとう。とっても心強いわ」


「……ぃぇ、はは」


 ロビは嬉しそうに笑うミツとゆぅを見て、おばあさんに言った。


「洋子さん、本当に今日は嬉しかったですよ。ミツとゆぅもこんなに笑顔で」


「いえいえ、こちらこそ防具を買ってもらって本当に助かりました」


「いえいえいえ。こんなにドタバタと楽しかったのは久しぶりですよ。ねぇ?」


 するとミツとゆぅも笑顔で(うなず)いた。


「洋子さん、今日は本当にありがとうございました。ミツとゆぅはオンライン授業が始まりますので、私達はログアウトしますね」


「あら、授業があるのね。あ、そうそう、フレンド交換しましょう!」


 おばあさんはそう言うと、ミツとゆぅにフレンド申請を送った。


 フレンド申請をもらった2人はそれを受理すると、おばあさんは2人に笑顔で言った。


「お2人とも、勉強頑張ってくださいね」


「ぁりがとう……ございます」

「はぃ、がんばります」


 2人は静かに頭を下げるとログアウトしていった。


 ロビは笑顔で2人を見送ると、店の外に出て看板を仕舞い始めた。


「ロビさん、あのお2人は学校にいってらっしゃるんですね」


「ええ、彼らはプログラミングが専門だったのですが、もっと多くのプログラミング言語を勉強して就職に役立てようとしているんです」


「まぁ、すごいわね。でもロビさんも凄いわね。ゲームを仕事にしてしまうなんて」


「世の中には彼らのように能力はあるのに少しだけ会話が苦手というだけで困っている人達がいるんです」


「そのなのね……」


「僕はいつか、そんな人達を救えるような会社を作りたいと思っていて……」


「ロビさん、素晴らしいわ。特技は人それぞれですものね」


「そうなんですよ! だから、このお店を足がかりに! ……あ、す……すみません、つい熱くなってしまって」


「ロビさんは、本当にお2人を助けたいと思ってらっしゃるのね」


「はい。ですが、わたしはもうこの歳ですし、いつまで出来るのか……」


「何を言っているんですか、50代なんて、まだまだ働き盛りですよ」


「いやぁ、ははは。洋子さんに言われると何も返せないなぁ」


 おばあさんとロビは少しお喋りを楽しむとロビは店を閉めてログアウトしていった。



「さて、わたしはお店を開けようかしら」


 おばあさんはスマイル道具店のシャッターを開けた。


 そして、寝ているドラゴンの魔法使いをカウンターの上に置くと、いつものようにアルマジロたちが降りてきた。


「はいはい、岩キノコですね。ちょっと待ってね」


 おばあさんは岩キノコと小枝の束を店の外に置いてあげると、アルマジロたちは並んで店の外へ出ていった。


 そして1匹が小さく火を吹いて焚き火を始めると、アルマジロたちは岩キノコを焼き始めた。


 おばあさんは寝ているドラゴンを撫でながら呟いた。


「寝てるとかわいいわねドラゴンちゃん。でもいつまで寝るのかしら」


「洋子殿。ドラゴンは疲れやすく、回復するまで(しばら)くは寝ているはずです」


「あら、そうなのね。でも、そのほうが静かで良さそうね、うふふ。それにしても猫ちゃんは何でも知っているのね」


「はい。我はこの世界の多くの事をデータとして格納(かくのう)して頂いています」


「じゃあ、ドラゴンちゃんも色々知っているのかしら」


「いえ残念ながら、ドラゴンはあまりデータを持って無いようです」


「あら、なんだか不公平ね」


「我々は、人工知能の思考傾向から言葉使いまで、担当してくださった方々の趣味が出ますので……」


「あら、そうなのね。でも猫ちゃんはシッカリしてるから助かるわ。きっと担当さんもシッカリしてるのね」


「洋子殿にそう言って頂けるのが最高の幸せです。きっと担当者の方々も喜んでおられます」


 黒猫はすこし嬉しそうにした。

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