表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
まだまだ現役
81/95

美咲、射られる

 スクラップ場へ向かう途中、美咲はビッグスクーターを運転しながら和代に召喚士の説明をした。


「おばあちゃん、召喚士は最初はリザード・アーチャーっていう弓使いが召喚できるんだ」


「リザード……?」


「視界の下にない?」


 和代が視界の下を見ると、今まで無かったスペースが出来ていて、「リザード・アーチャー(選択中)」となっていた。


「あ、これね。選択中って書いてあるわ」


「その下に、長い文章ない?」


 和代はその下に文章が書いてあるのを見つけた。


「あったわ」


「それを言うと、リザード・アーチャーが出てくるんだ」


「ええと……」


 和代は試しに文章を読んでみた。


「地底の割れ目より生まれし者よ、今こそ気高きその力を見せよ」


 ボワッ!


 するとリザード・アーチャーが現れて、美咲のビッグスクーターの後ろ端に立った。


「あら、あなたがリザード・アーチャーさんね。宜しくお願いします」


「え、おばあちゃん、ここで召喚したの?」


「え? ええ。ダメだったかしら」


「ううん、ちょっと驚いただけ。あ、ちょうどいい。おばあちゃん、わたしの頭の上に文字が浮かんでない?」


「ええ、緑の文字でターゲットって書いてあるわ」


「そうしたら、その『ターゲット』って文字をタッチしてみて」


「わかったわ」


 和代は美咲の頭の上の「ターゲット」をタッチした。


 すると、文字は「選択中」に変わり赤色になった。


 ヒュッ……、カン!


「えっ!?」


 なんと、リザード・アーチャーが美咲に矢を放った。


「美咲ちゃん!」


「大丈夫だよ、おばあちゃん。HP少ししか減らないから。矢も弾かれてるし」


 ヒュッ……、カン!


「美咲ちゃん、どうやって止めるのかしら!」


「もう一度、文字をタッチして」


 和代は慌てて「選択中」文字ををタッチすると、文字は「ターゲット」に戻り、リザード・アーチャーは手を止めた。


「美咲ちゃん、びっくりしちゃったわ!」


「ごめん、おばあちゃん。そうやって戦わせたい相手を選ぶと勝手に攻撃してくれるんだ」


「そうなのね。驚いたわ」


「それでね、召喚した味方を呼び戻す時は、さっきの文章の最後を『(おさ)めよ』にすれば消えるよ」


「あら、やってみるわ。地底の割れ目より生まれし者よ、今こそ気高きその力を鎮めよ」


 スッ


 リザード・アーチャーは姿を消した。


「おばあちゃん、簡単でしょう?」


「ええ、美咲ちゃんのお陰で分かりやすかったわ」


「ちょっと呪文覚えるのが大変だと思うけど、最初は下の文書を読めば召喚できるから」


「あら、このくらいなら、もう覚えたわよ」


「えっ!? おばあちゃん凄いね」


「だって、昔はお店にある1000個以上の商品の名前と部門番号と値段を覚えなきゃならなかったのよ。それよりは簡単よ」


「そっか、そうだよね。今は無人スーパーばっかりだけど、昔は人がやってたんだもんね……」


 そんな事を話しているうちに、美咲と和代はハーイム近くのスクラップ場に到着した。



 美咲と和代がビッグ・スクーターから降りると、すでに他の召喚士の男性が軍神零式と戦っていた。


 召喚士の男性は鳥の召喚獣「フレア・コンドル」を召喚して、軍神零式に空からの攻撃を仕掛けていた。


 フレア・コンドルはヒラリと軍神零式の頭上へ飛び上がると、勢いよく炎を吐いた。


 しかし、軍神零式は斧でガードしながら素早く身をかわすと、斧でフレア・コンドルを狙った。


 ブンッ!


 しかし、フレア・コンドルは空中に逃れ、軍神零式は斧を空振りさせた。


 その様子を見ていたフレア・コンドルを召喚した召喚士の男性は思わず声をあげた。


「よし、思ったとおりだ! あいつは空へ攻撃できないぞ!」


 召喚士の男性が笑みを浮かべた瞬間、


 ブンッ……、ドガン!


 なんと軍神零式が斧を空へ投げ、フレア・コンドルに命中させた。


 グギョォオオオ


 フレア・コンドルのHPは一気に無くなり、空中で消滅した。


 召喚士の男性が目を疑っていると、軍神零式が召喚士の男性に向かって突進した。


「うわっ! 地底に眠る大いな……」


 ドガン!!


「うっ! くそ!」


 召喚士の男性は詠唱が間に合わず、軍神零式のタックルを正面から食らって消滅していった。


 それを見ていた美咲は、和代の手を引いて言った。


「じゃあ、次はわたしたちだね」


「え、ええ。でもあのロボットみたいな大男さん、強そうね……」


「大丈夫、まかせて」


 美咲は攻撃力のあるバックソードに持ち替えると、軍神零式に近づいてゆきながら和代に言った。


「おばあちゃん。わたしが合図したら、さっきのリザード・アーチャーを呼んで。それまでは、ここで待っててね」


「ええ、わかったわ」


 美咲が軍神零式に近づいていくと、軍神零式は斧を構えた。


「いくよ」


 美咲は勢いよく飛び出すと、素早くバックソードを突き出し、軍神零式のヒザを狙った。


 ドッ!


 軍神零式はガードしようとしたが間に合わず、美咲の剣は見事にヒザを貫通した。


「ウォォオ」


 すると、軍神零式は膝をつきながらも即座に水平斬りを放った。


 バッ


 美咲は予測していたかのように攻撃避けると、素早く踏み込んで頭を狙った。


 バギン!


 しかしなんと、軍神零式は斧を素早く振り払いバックソードを防いだ。


 すると間髪入れずに軍神零式は背中のジェットエンジンを噴射し、鋭いタックルを美咲に食らわせた。


 ブワッ……、ドゴッ!


「っつ!」


 美咲は後へ吹き飛ばされたが、すぐさま体勢を整えた。


「美咲ちゃん!」


「おばあちゃん、大丈夫! ちょっと油断しただけ」


 美咲は今度は慎重に間合いを詰めると、軍神零式の出方を見た。


 軍神零式は斧を構えると、その時かすかにジェットエンジンの音が聞こえた。


「突っ込んでくる!」


 美咲が先読みして横へ回り込むと、軍神零式が一直線に突っ込んできた。


 ザッ ザザッ!


 美咲は予想していた通りに飛び込んできた軍神零式を避けると、軽やかにステップして背後から鋭角に踏み込んだ。


「もらった!」


 美咲はバックソードを突き出して、背後の制御ユニットを突き刺した。


 ドガッ!!


「ガ……、ガガ……」


「おばあちゃん! リザード・アーチャー呼び出して軍神零式を選択して!」


「はい! 地底の割れ目より生まれし者よ、今こそ気高きその力を見せよ」


 ボワッ!


 和代はリザード・アーチャーを呼び出すと急いで軍神零式を選択した。


 ヒュッ……、ガン!

 ヒュッ……、ガン!


 リザード・アーチャーの矢は、制御装置を破壊されて防御力が落ちた軍神零式にどんどんダメージを与えていった。


 軍神零式は立ち上がろうとしたが、そこへ美咲が飛び込んだ。


 ドガッ!


 美咲の剣は一直線に軍神零式の足を貫き、軍神零式はとうとう前に倒れ込んだ。


 ズゥウン!


 ヒュッ……、ガン!

 ヒュッ……、ガン!

 ヒュッ……、ガン!


「ウォォオオオ」


 そして、リザード・アーチャーの矢がトドメとなり、軍神零式はゆっくりと消滅していった。


『60ポイントのステータスポイントを獲得しました』

『軍神零式を召喚できるようになりました』


 それを見た和代は喜んで美咲に言った。


「美咲ちゃん! 召喚できるようになったって!」


「やったね、おばあちゃん」


「ありがとう美咲ちゃん! 美咲ちゃん、とっても格好良かったわよ!」


「ええ、そ、そうかな」


 美咲は少し照れて笑うと、思い出したように和代に言った。


「そうだ、おばあちゃん。あそこに見える町が次にクエストで行く町なんだけど、ちょっと下見してみる?」


「あら、いいわね。ちょっと(のぞ)いてみましょうかしら」


「うん、行こう」


 和代はリザード・アーチャーを呼び戻すと、美咲とモービルに乗ってハーイムへと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 本作品は現在カクヨム様にて最新話まで公開中です。

 【カクヨム様ページ】 https://kakuyomu.jp/users/014105me/works
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ