ひろし、奮闘する
その頃、ホワイトドラゴンの炎を軽トラで防いでいたおじいさんとめぐは全回復薬で何とか難を乗り切っていた。
ホワイトドラゴンは炎を吐き切ると、一旦炎を吐くのをやめて空へと飛び上がった。
すると社長がおじいさんたちに大声で言った。
「お二人共、大丈夫ですか!!」
「「はい」」
それを聞いた社長は、即座に惹きつけスキルを発動してドラゴンを惹きつけた。
すると空に飛び上がったドラゴンは、今度は上空から社長めがけて炎を吐いた。
ブォォオオオォォオ
社長は盾をそれを受けると、懸命に炎を押し返した。
それを見たおじいさんとめぐは、それぞれ攻撃態勢を整え直した。
その時おじいさんは、予選の塔で個人1位だった美咲と専務の大谷がいる事に気がついた。
「あぁ、あの方のお孫さんと専務さんも……。わたしも、お力にならなくては……」
おじいさんはポケットから一際大きい石を取り出すと投球フォームに入り、めぐは杖を振りかざして詠唱を始めた。
「聖なる雷を司る者たちよ。我にその慈悲と慈愛を与えたまえ。清く正義の力をもって嘆願する。あの者に裁きの雷を!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
すると急に空に暗雲が立ち込め、空には巨大な雷の塊が現れた。
なんと、めぐは低確率で発生する雷の最高魔法を再び引き当てたのだった。
そして、おじいさんは腕をしならせながら石を放ち、その石は唸りを上げながらドラゴン目掛けて飛んでいった。
シャァァアアアァァア……、ズバン!
おじいさんの放った石は見事にドラゴンの目を捉え、一瞬視界がおかしくなったドラゴンは空中でふらついた。
パンッ……
ドガガガガガガガガガン!!
その瞬間、めぐが放った雷の最高魔法がドラゴンに襲いかかった。
ギャァァオオォオオオオ
ドラゴンは落雷を食らうと大放電をおこしながら墜落していった。
ドゴォォォ
ドラゴンは地面に落ちると、地上で待ちうけていた専務の大谷と美咲が走り込んで行き、同時に斬りつけた。
ズババッ!
ドスッ、ドスッ!
グゥォォオオオ
ドラゴンは二人の攻撃を受けると動かなくなった。
ゴーーン
ズドドドドドドドド!
そこへイリューシュがオロチの矢を食らわせると、ドラゴンはゆっくりと光り輝き出した。
おじいさんとめぐは走ってイリューシュと合流すると、めぐが光り輝くドラゴンを見ながらイリューシュに言った。
「イリューシュさん、ドラゴンが」
「ええ、HPを半分まで減らしたので、ドラゴンが本気を出します」
「ええ!? 今まで本気じゃなかったんですか?」
「ふふふ。残念ながら、これからが大変なんですよ」
ドラゴンは光り輝きながら、どんどん小さくなっていった。
そして一際眩しく輝くとドラゴンは消滅し、代わりに両手に1本ずつ剣を持った天使のような風貌の女性が立っていた。
「ひろしさん、めぐさん。あれがドラゴンの本気の姿ドラガです。気をつけてください。」
「「はい」」
ドラガは無表情のまま羽で飛び上がると、右手の剣に炎を纏わせた。
そして、急降下すると凄まじいスピードで社長を狙った。
ガギン!
社長は両手の盾でそれを受けると、ドラガは盾を踏み台にして社長の背後へと舞い上がった。
それを見て社長が振り返ろうとした瞬間、
ドスッ!
「ぐっ!!」
ドラガの剣が社長の足を貫通し、社長は大きく体勢を崩した。
「でやぁぁああぁぁ!」
それを見た大谷は、走り込んでドラガに斬りつけた。
ガッガキン!!
しかしドラガは社長に突き刺した剣を引き抜くと一気に大谷の刀を薙ぎ払った。
その隙に体勢を整えた社長は、大盾を振りかぶってドラガの背中にめり込ませた。
「ぬぅん!」
ドガン!
「グァァア!」
そこへ美咲がレイピアを突き出しながら飛び込んだ。
「もらった」
しかし、ドラガは一瞬で体勢を整えて美咲のレイピアを弾きにいった。
ガキン!
レイピアは弾かれたが、美咲は軽く力を抜いてレイピアを1回転させると、素早く握り直して再び鋭く突き出した。
ズドッ!
「グァアッ!」
美咲のレイピアは見事にドラガの喉元に命中した。
シャァァアアアア……バチン!
そこへ、おじいさんが放った石がドラガの頭に命中すると、ドラガは堪らず飛んで後ろへ下がった。
そしてドラガは少し警戒したような素振りを見せると、離れて様子を伺い始めた。
すると社長がみんなに来るように手でジェスチャーし、みんなは社長の元へ集まった。
社長は離れたドラガと目を合わせたまま、みんなに言った。
「次の攻撃で決めましょう。まず、わたしがドラガに突っ込みますので、剣士の二人はわたしを盾にしながら付いてきてください」
「「はい」」
「遠距離攻撃のみなさんは距離を取りながら回り込んで横から攻撃してください」
「「はい」」
「いきますぞ!」
「「はい!」」
社長が一直線にドラガへ走り出すと、大谷と美咲が後ろに続いた。
イリューシュとおじいさんとめぐは大きく距離を取りながらドラガの横へ走り込んでいった。
ドラガは両手の剣をクロスして構えると、一気に社長へと飛びかかった。
ガギン!!
「しまった!」
ドラガの渾身の攻撃を受けた社長は、予想以上の力に、片方の盾を弾き飛ばされてしまった。
しかし、すでに飛び出してしまっていた大谷は社長の守りが無いままドラガに斬りかかった。
「でやぁぁああぁぁ!」
バキン! ドスッ!!
「うぐっ!」
なんとドラガは中途半端に飛び出した大谷の刀を片腕の剣で弾き、もう片方の剣で大谷の体を貫いた。
そしてドラガはそのまま剣に炎を纏わせると、大谷に火をつけて投げ捨てた。
ズザァアアア……
「くそ……、ここまでか」
大谷は静かに消滅していった。
「大谷くん!!」
社長が大谷に目線を移した瞬間、
ドスッ!
「しまっ……、た」
ドラガの剣が社長の腹に突き刺さった。
「ぬぉぉおおお!」
ドガン! ドガン!
社長は最後の力を振り絞り、盾でドラガの頭を叩きつけるとそのまま消滅していった。
ドラガは社長の攻撃でダメージを食らうと、一瞬怯んで膝を突いた。
「ほんと、強いね」
美咲はその隙を逃さずにレイピアを突き出すとドラガの頭を狙った。
ガキン!!
しかし次の瞬間、ドラガは異常な速さで剣を振り抜くと美咲のレイピアを弾き飛ばし、美咲のレイピアは宙を舞った。
「くっ!」
美咲は急いでバックステップで逃れると、イリューシュが放った矢とおじいさんが投げた石がドラガに襲いかかった。
シャァアアァ
ヒュッ
バサァッ
しかしそれに反応したドラガは羽で飛んで石と矢を避けると、体を翻してそのまま美咲に突っ込んでいった。
美咲はその時、他の武器を装備するためにアイテム欄を開いていて、動きが止まっていた。
美咲は急いでバックソードを装備すると、
ドスッ
ドラガの剣が先に美咲の体を貫いた。
「うっ。でも……、ただじゃ、やられない」
ズブッ
美咲はそう言うと、ニヤリと笑いながらバックソードでドラガの腹を突き刺して消滅していった。
「グァァア!」
ドラガは美咲の剣で大きくダメージを食らったが、まだ消滅はしなかった。
ドラガは体の動きを確認するように両手の剣を握り直すと、めぐに向かって歩いていった。
「めぐちゃん!」
それを見たおじいさんとイリューシュは急いでめぐの元へ走っていった。




