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VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
白の脅威
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ようこ、大福を食べる

 美咲とマユとナミは船でゆっくりとピンデチに帰ってくると、もう夕方になっていた。


 3人はG区画の海岸から坂を登って時計台に出ると、そこには溶岩地帯で戦った召喚魔導士がいた。


 美咲が召喚魔道士に気づくと、召喚魔道士は作り笑いを浮かべながら謝り始めた。


「あ、こんちゃっす。さっきは失礼しました……」


 それを聞いた美咲は召喚魔道士の前までやってくると、召喚魔道士はオドオドしながら美咲に頭を下げた。


「あ……、えっと、持ってきました。へへ。じゃあ、溶岩キノコ100個渡します」


『マラツンさんから溶岩キノコ100個贈られました』


 すると美咲が静かに言った。


「確かに受け取った。今度やったら……」


「はい、すみません、はい」


 召喚魔導士はカクカクと頭を下げると、怖がりながらも美咲に尋ねた。


「あ、え、ええと、ちょっと聞いていいですか?」


「なに?」


「いや、あの、あまりにも強いんで、ええと、有名なプレイヤーさんなんじゃないかって……」


 それを聞いた美咲は小声で答えた。


「黒のカワセミ」


「ひっ!!」


 召喚魔道士が血の気の引いた顔をすると、美咲は少し笑いながら言った。


「レググリには、わたしの友達がよく行くから。もし、またあなた達の噂を聞いたら今度は容赦しないよ」


「え、いや、も、もうしません! ぜったい!」


 すると召喚魔道士は高速で後退りしながら、慌ててレググリへ転移していった。


 その様子を見た美咲とマユとナミはクスリと笑うと、そのままお店へ向かった。



「「ただいまー」」


「「おかえりー」」


 3人が店に着くと、全員そろって待っていた。


「はい、ドラゴン大福」


「わぁ、なにこれ」

「まぁ、初めて見るわ」

「あぁ、美味しそうですね」

「大福いいわね」


 すると美咲が溶岩キノコを100個、マユが13個出現させた。


「「「わーーー!」」」


 マユは驚くみんなに言った


「美咲ちゃんが上手くやってくれたんだ」


 メイは目を丸くしながら驚いた。


「まじ、すご!」


「これで、攻撃強化薬はしばらく大丈夫だね」


 すると哲夫が嬉しそうにみんなに言った。


「今日は岩キノコもたくさん集まりましたし、商品もたくさん売れましたよ!」


 それを聞いたマユは喜ぶと、みんなを2階へ誘った。


「ありがとうございます! じゃあ、今日はお店を閉めて2階へ行こう!」


「「はーい!」」


 ◆


 みんなは店を閉めると2階に上がってドラゴン大福の箱を開け、それぞれ1個ずつ手に取った。


「「いただきまーす」」


「あ、え? 濃厚生クリーム!」

「これ、やば」

「まぁ、クリームいいわね」

「あら、とっても濃厚で」

「うん……うん」

「おいし」


 するとメイが外箱の説明を読んだ。


「この大福はイークラトの破壊神ホワイト・ドラゴンにちなんで作られた濃厚生クリーム大福です」


 マユはそれを聞くと、ウンウンと(うなず)いて言った。


「なるほどね。それで白なんだ」


「てか、破壊神ホワイト・ドラゴンやばそうじゃない?」


 それを聞いた美咲は、みんなにホワイトドラゴンの話しをした。


「ホワイト・ドラゴンは、ほんとに強いよ。爪でやられるだけでHPほとんど無くなる」


「「ええぇ!」」


「しかもHPが半分になると、さらに強くなるんだ」


 メイは顔を(そむ)けながら言った。


「やば、絶対そんなドラゴンに会いたくないよ。ははは」


「「「ははははは」」」


 みんなは大福を食べながら、お喋りを楽しんだ。


 

 ー 現実世界 ー


 その頃、株式会社イグラアの社長はエンジニアを連れて哲夫と和代が住む介護マンションの管理棟へ来ていた。


「なるほど、バスの運転経験者はいらっしゃらないが、元自衛官の方たちがお住まいなんですね」


「はい、3人おりまして、もしかしたら大型車の運転も出来るのではないかと……」


「そうですか。それは期待できますね」


「あ、あと、たしか柔道のコーチをされていた大熊笹さんがマイクロバスを運転されていたとか……」


「ほう。では、その4人の方にはお願いしたいです」


「はい、ではお話しておきます」


「ええと、それと女性の方もお願いしたいのですが、何といいますか、物怖じしないような方だと助かるのですが」


「ああ、おりますおります! マンション内でバンドを組んでいる方が4人」


「なんと、バンドですか!」


「はい、みなさん足が不自由なのですがロックバンドを」


「それは良いですね! ぜひお願いしたいです」


「ちょうど今、練習している時間ですよ。覗いていかれますか?」


「ああ、いいですね!」


 社長は管理会社の社員に連れられて1階の音楽室へと向かった。



 社長たちがやって来ると、ちょうど休憩しているおばあさんたちが音楽室前の廊下でお喋りしていた。


 社長は笑顔で近づくと、おばあさんたちに挨拶をした。


「こんばんは、初めまして。わたくし株式会社イグラア社長、佐々木と申します」


「あら、社長さん?」

「口説きに来たのかしら」


「「「あっはっはっは」」」


 おばあさんたちは、とても元気だった。


「はっはっは! これはこれは口説きたいほどお元気で!」


「「「あっはっはっは」」」


「みなさん、もし仮想空間で自由に歩けるなら、行ってみたいと思いませんか?」


「あら、陽水さんの歌みたいでいいじゃない。 ♪行ってみたいと思いませんか~♪」


「おっと、わたしの隠れた歌心が出てしまいましたね」


「「「あっはっはっは」」」


 社長の軽快なトークに一緒に来ていたエンジニアも、つられて笑った。


 すると社長は1人のおばあさんにオフラインのVRグラスを渡して説明した。


「このVRグラスをかけると、新しい世界へ行けます。このコントローラーを(にぎ)って直感的に動かしてみてください」


 そしてコントローラーも渡した。


 おばあさんはコントローラーを片手で持つとVRグラスをかけた。


「あらあらあらあら! あっはっはっは。すごいわね!」


 するとVRグラスを外して他のおばあさんに渡した。


「どれどれ……、ああ、まあまあ! あはははは!」


 こうして全員がVRの世界を楽しむと、1人のおばあさんが社長に尋ねた。


「ねぇ、社長さん。この中で楽器は弾けるのかしら?」


「ええ、楽器を弾けるプレイヤー様たちが集まって近々バンド・フェスティバルを開催するんです」


「あら、ちょっと。いいじゃないの。わたしたちはゲスト枠?」


「それは良いですね! そうしましょう!」


「「ええ!?」」


 さすがにおばあさんたちが驚くと、社長が言った。


「みなさんはお達者ですから、すぐにVRの世界に慣れると思います。すぐにでも1台ずつお持ちしますので」


「あら、楽しみにしてるわ。わたし足が悪いけど、足が動けばドラムもちゃんと叩けるかもしれないわね」


「それは、もちろんですとも!」


「まぁ、頼もしい社長ね。あっちの世界でデートしてあげるわ」


「ぜひとも!」


「「「あっはっはっは」」」


 こうして、最初にゲームにお誘いするメンバーが決まった。

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