ひろし、復活する!!
その頃、ミルネ近くの建物の裏では黒のメンバーたちとの総力戦になっていた。
「じいちゃん、あの道路の向こうの魔法使い頼む!」
アカネは黒の騎士を投げ飛ばしながら、詠唱を始めた魔法使いに気づいて、おじいさんに援護を頼んだ。
「はい!」
おじいさんは大きく振りかぶると、勢いよく石を放ち、魔法使いにクリティカルヒットを与えた。
「やあぁぁ!」
そこへ獣人の女性武闘家、受付の山本が駆け込んで膝蹴りを決めると魔法使いは消滅していった。
「おじいちゃん、うしろ!」
おじいさんはめぐの声で振り向くと、両手剣の騎士が、もうおじいさんの頭上まで剣を振り下ろしていた。
「あぁ、しまった」
ズザッ!
両手剣は完全におじいさんを切り裂いた。
「じいちゃん!」
アカネは素早く敵の騎士の懐に潜り込むと、一本背負いで騎士を投げ飛ばした。
そしてアカネはおじいさんを確認すると、HPがゼロになったおじいさんが足から消滅し始めていた。
「じいちゃん!」
アカネの声にめぐも駆け寄ってくると、おじいさんを斬った騎士に詠唱を始めた。
「聖なる雷を司る者たちよ。我にその慈悲と慈愛を与えたまえ。清く正義の力をもって嘆願する。あの者に裁きの雷を!」
ガガーン!
雷は騎士を直撃し、大きくダメージ与えて道路に転がるように吹き飛ばした。
その時、おじいさんの目の前に節子さんが現れていた。
「ひろしさん、復活チケットを使う? 【はい】【いいえ】」
おじいさんは、それを見て思い出した。
「最初の、がちゃの!」
おじいさんは迷わず「はい」を押した。
すると、おじいさんはHP満タンで戻ってきた。
「うおっ、じいちゃん復活した!」
アカネが驚くと、おじいさんは笑って答えた。
「復活チケットがありました」
「はっはー! じいちゃんやるじゃん!」
アカネは嬉しそうにすると、さっきおじいさんを斬った騎士が立ち上がろうとしている所へ滑り込んで腕ひしぎ十字固めを決めた。
「やぁっ!」
「ぐあああああ!」
騎士は大声を上げると、そこへおじいさんの石が飛んできた。
ガァン!
石は綺麗に騎士に当たり、騎士は消滅していった。
その頃、タマシリは前回戦った魔術武闘家と再び対峙していた。
魔術武闘家は魔法で両手足に岩を纏わせるとタマシリに言った。
「今日は最初から本気でいくぜ」
それを見たタマシリは両手のリストバンド、そして両足のアンクルバンドを外して投げ捨てた。
ズシン、ズシン……ドスン……ドスン
それを見た魔法武闘家は驚いて言った。
「おいおい、そんな重そうなモン付けてたのかよ」
「Yes.2トン!」
「はぁ!?」
「Hahaha, ジョークね。Come on.」
「はっはっは、いいねぇ! 行くブッ……」
魔術武闘家が最初の攻撃を放とうとした瞬間、すでにタマシリの膝蹴りが顔面をとらえていた。
「ああぁぁあい!」
ドゴッ!
「うぐっ!」
そこから足を踏み替えて鋭いミドルキックを放つと、魔術武闘家のガードが思わず下がった。
ヒュッ、バチン!
それを逃さずタマシリの右フックが顔面をとらえ、慌ててガードを上げた魔術武闘家にタマシリの渾身の前蹴りが炸裂した。
「ああぁぁあああいい!」
ドスッ!
「ぐふっ!」
魔術武闘家のミゾオチは恐ろしいほどに凹み、そのまま後ろへ吹き飛んだ。
ドシャァァア
「くそ……、あのムエタイ……、本気出したら馬鹿強ぇじゃねぇか……」
魔術武闘家は両手を合わせて挨拶するタマシリを見て呟いた。
「やっぱ武闘家は実戦も必要か……」
魔術武闘家も倒れながら両手を合わせると、笑顔で消滅していった。
この時点で、ほとんどの黒のメンバーが消えていた。
そして全員で残り4人の黒のメンバーを追い詰めていくと、突然4人が消えた。
「ぴぃぃ……、ガガガ」
すると、コーシャタのアナウンススピーカーで常務がアナウンスを始めた。
「みなさん、只今システムは完全に正常化しました! 我々の勝利です! ありがとうございます!!」
「「「わーーー!!」」」
おじいさんは少し涙ぐむと、アカネとめぐが抱きついてきた。
「やったね、おじいちゃん!」
「じぃちゃん、今日は大活躍だったよ!」
「あぁ、よかった。終わったんですね……」
すると、社長とイリューシュも走ってやって来た。
そして、社長はみんなの前に出ると大きな声で話し始めた。
「皆さんのおかげで、この世界は守られました! 素晴らしいバトルをありがとう!!」
そう言うと、深々と頭を下げた。
パチパチパチパチ
残ったメンバーはお互いの健闘を称え合って拍手が巻き起こった。
社長は表情を崩して笑顔になると話を続けた。
「消滅してしまった仲間のメンバーはデータが消えましたが、最悪先月のデータには復帰できるそうです!」
「「「おぉ~!」」」
「もちろん、エンジニアチーム総力上げて直近のデータまで戻すつもりです!」
それを聞いたアカネは喜んで言った。
「やったぜ! 黒ちゃんのデータも戻るな!」
おじいさんとめぐは笑顔で大きく頷いた。
すると、イリューシュがやって来て頭を下げながらみんなに言った。
「みなさん、本当に大変な事に巻き込んでしまって申し訳ありませんでした」
おじいさんは笑顔でイリューシュに答えた。
「イリューシュさん。怖かったですけど、今は最高の気分です。お誘い頂いてありがとうございました」
めぐもイリューシュに笑顔で答えた。
「みんなで戦えて良かったです。怖かったですけどね!」
「だな!」
アカネがそう言うと、みんな笑った。
その時めぐは、ふと思い出したように嬉しそうにイリューシュに尋ねた。
「イリューシュさん、あの最強姉妹を倒したんですね!」
「いえ……。今回は私の負けです」
「「ええ!?」」
「もし、ミドリが去って行かなければ、倒されていたかもしれません」
「「「えええ!?」」」
おじいさんたちは信じられないといった表情でイリューシュを見た。
しかしイリューシュは少し笑って答えた。
「ふふふ。わたしもスーパーマンではありませんよ。でも、もっと練習しなくてはですね」
するとアカネも帯を締め直して言った。
「おっし、黒ちゃん戻ったら、あたしも練習してもらおっ!」
それを聞いためぐは笑いながらおじいさんに言った。
「おじいちゃん、わたしたちもメインクエスト進めて強くなろう!」
「そうですね。がんばります」
おじいさんたちは笑い合って決意を新たにし、お互いの健闘を称え合った。




