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VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
あの日の記憶
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ひろし、参加する

 ー コーシャタ内 ー


「くそっ! 壁壊してもすぐに修復しやがる!」


 黒のメンバーたちがコーシャタで暴れていると、第1陣の社員5名がミルネの前に転移してきた。


 黒のメンバーたちはそれに気づいて、その中の槍の騎士が前に出た。


「おまえら黒じゃねぇな」


 すると片手剣と盾を持った営業の山下が答えた。


「株式会社イグラア営業部の山下です」


「は? 制作会社? ってか止めに来たの? 俺ら黒だよ? バカなの?」


 ヒュッ……、ドッ!


 その瞬間、話をしている黒の槍の騎士に正確なヘッドショットが決まり、矢を放った弓使いが自己紹介をした。


「経理部の石田です。何事も正確がモットーです」


 経理部の石田が槍の騎士にヘッドショットを決めると、それを見た営業の山下は凄まじい速さで飛び込んだ。


 そして剣で黒の騎士の槍を弾き飛ばすと、盾で頭を叩きつけた。


 ドゴンッ!

 

「ぐわっ! やりやがったな!」


 騎士が山下の攻撃に(いか)ると、そこへ素早く人影が飛び込んだ。


「はぁいっ! はいっ!」


 ドゴォ! バキッ!


 なんと獣人の女性武闘家、受付の山本が膝蹴(ひざげ)りと肘打(ひじう)ちを炸裂(さくれつ)させると、槍の騎士は叫びながら消滅し始めた。


「こいつら絶対チートだ! クソ運営が!」


 シュゥゥウウウ……


 すると、ハンマーの騎士の営業、太田が残った4人に言った。


「言っておくが、社長を含めて社員も全く不正はできないぞ。倒せる自信があるなら、かかってこい!」


 それを聞いた黒の4人は一斉に社員たちに襲い掛かった。



 ー コーシャタ東入口 ー


 大きな体に盾を装備した社長と、細身で最軽量の防具を装備した専務の前にはプレイヤーたちが集まっていた。


 おじいさんたちが到着すると、ちょうどイリューシュから連絡を受けたタマシリも転移してきた。


 専務の大谷はみんなの前に出ると、大きな声で話し始めた。


「これからメンテナンス中のコーシャタへ入り、不正プレイヤーを殲滅(せんめつ)します。宜しくお願いします」


「「はい」」


「中には我が社の社員たちも居ますが、腕に白い布を巻くように指示しているので分かると思います」


 そして大谷はコーシャタを指差して話を続けた。


「今この中はメンテナンス中です。リスポーンした場合、セーブデータが消える可能性があります」


 それを聞いたプレイヤーたちはどよめいた。


 しかし大谷は、真剣な表情で話を続けた。


「そして不正が出来ないシステムゆえ、セーブデータの復旧は保証できません」


 それを聞いたプレイヤーたちは数人ほどログアウトしていった。


「もちろん、みなさんを強制する事はできません。しかし賛同して頂けるなら、共に戦って頂きたい」


 大谷が話し終わると、残念ながら次々とプレイヤーがログアウトしていき、結局半数くらいになってしまった。


 イリューシュも、おじいさんたちを気遣った。


「みなさん、ログアウトしていただいても大丈夫ですよ」


 するとアカネが答えた。


「別にたいした物も持ってないし、やられたら、また最初からやるよ」


 めぐも続いた。


「こんなに楽しい時間をみんなで過ごしたんだもん。いっしょに戦いたい」


 おじいさんは黙って大きく頷いた。


 黒ちゃんは笑って答えた。


「わたしは警官です。どこであろうと不正は許しません。それに船の借りもありますので」


 それを聞いたイリューシュは笑顔でみんなに深々と頭を下げた。



 すると大谷がプレイヤーたちに言った。


「みなさん、今から送信する白い布を腕に巻いてください。これで判別します」


 そこにいたプレイヤーたちは大谷から白い布を受け取ると、全員が腕に巻き付けた。


 社長はそれを見るとプレイヤーたちを鼓舞(こぶ)した。


「ここに残った勇気ある皆さんと共に戦える事を誇りに思います! 共に敵を殲滅(せんめつ)して平和を取り戻しましょう!!」


「「「おおおーーー!!!」」」


 社長がそう言うと、コーシャタの東入り口のバリアが開き、一斉にプレイヤーたちがなだれ込んだ。



 その頃、破壊活動をしている黒のメンバーの1人、両手剣の騎士がライブ配信をしていた。


「はーい、メンテナンス中のコーシャタを俺ら黒のメンバーが破壊してまーす」


 両手剣の騎士は店のガラスを割りながら配信を続けた。


「なんでもアリの無法地帯、いぇい! あ? なんだ?」


 両手剣の騎士が振り向くと、両手に盾を装備した体の大きい社長が歩いて来ていた。


 両手剣の騎士は社長が黒のメンバーでは無い事に気付くと、社長を茶化(ちゃか)した。


「見て見て、ヤバいのキターー! 両手に盾持ってる初心者キターー! だれか装備のしかた教えてあげて!」


 両手剣の騎士は笑いながら剣を構えて社長に言った。


「なぁ、両手に盾持ってどうやって戦うんだよ、ド素人が! 死ね!」


 ブワッ!


 両手剣の騎士が社長に斬りかかると社長は右手の盾で受けた。


 ガン!


 両手剣の騎士は、すかさずバックステップで離れると走り込んで突きを放った。


「おとなしく死にな、ド素人!」


 ドガン!!


 しかし社長は左手の盾で剣を叩き潰すと、右手の盾を平らに上げて叫んだ。


「大谷くん!!」


 すると、社長の背後に隠れていた大谷専務が社長の盾を踏み台にして空高く駆け上がった。


 それを見た両手剣の騎士は思わず声をもらした。


「なっ! 速えぇ」


 大谷は空中で背中から2本の日本刀を引き抜くと、美しく体を(そら)しながら両手剣の騎士を睨みつけた。


 そして空中で大きく両手を広げると、一気に体を回転させて両手剣の騎士に襲い掛かった。


「ぃやぁぁあああ!」


 両手剣の騎士は必死に剣を構えようとしたが大谷のスピードが速すぎて間に合わなかった。


 スパン!!


 専務の刃筋(はすじ)は正確に両手剣の騎士の首と頭をとらえて吹き飛ばした。


「う……、ぷわっ……」


 そこへ社長が盾を叩きこむと、専務が二本の刀でトドメの突きを放った。


 ドスドスッ!


「うそ……。なん……、なんだこいつら……」


 両手剣の騎士は消滅していった。



 ライブ配信は続いていた。


「いってぇぇぇ! くそっ! くそっ!」


 両手剣のプレイヤーはバリードレの街にリスポーンした。


「え? あれ!? なんで!!」


 両手剣の騎士は下着の状態だった。


 慌てて武器や防具を装備しようとアイテム欄を開くと、武器や防具はひとつも無かった。


「はぁ!?」


 両手剣の騎士は驚いてステータス画面を開くと「ステータス回復中」と書いてあったが、最大値は全て初期値だった。


「は? なにこれ、ウソだろ? データ消えてんじゃねーかよ!! 何だよこれ!!」


 両手剣の騎士は狼狽(ろうばい)しながら中継を切断した。


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