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VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
あの日の記憶
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ひろし、寝坊する

 その頃、おばあさんたちは船で行ける火山島とういう島で「溶岩キノコ」を集め終え、ワンタイで小籠包と豆花(トウファ)を楽しんでいた。


 マユは豆花(トウファ)を食べながら満足そうに話した。


「あんまり溶岩キノコ集められなかったけど、これで攻撃強化薬が作れるね。攻撃強化薬はピンデチなら絶対売れるよ!」


 それを聞いたおばあさんも嬉しそうに答えた。


「そうね! ピンデチでは他に売っているお店も無いわよ」


「ほんとに!? うちらのお店が独占? じゃあ沢山売れたら、船で世界中の美味しいものを食べに行こう!」


「そうね!」

「いいね」

「ぅん」


 一緒にいたアルマジロも嬉しそうにした。


 するとメイがマユとナミに言った。


「うちら来年卒業なのに、フレア・ウィルスのせいで何もできなかったけどさぁ、みんなでこのゲーム始めて良かったよね」


 マユは(うなず)いて答えた。


「だよね。一応、外出OKになったけど卒業旅行もまだ行きづらいよね」


 ナミもウンと頷いた。


 すると、マユがおばあさんに尋ねた。


「洋子ちゃんは卒業旅行どこか行った?」


「えぇっと、どこだったかしら。『あさかぜ』で東京へ行ったのは覚えてるわ」


「あさかぜ?」


「ええ、国鉄(こくてつ)寝台特急(しんだいとっきゅう)よ」


「こくてつ?」


「はっ! あ、あらやだ、間違えちゃったわ。し、新幹線よ」


「あぁ~、新幹線ね。あたしたちも新幹線で大阪のUJS行きたいよね」


「だよね。でも夜行バスで予算ギリじゃない?」


「「はははは」」


 おばあさんは少し(あせ)ったが、みんなと旅行の話で盛り上がった。



 その頃、おじいさんたちはG区画の家で「肉だけバーベキュー」をしていた。


 めぐは肉を焼きながら嬉しそうに呟いた。


「はぁ~、いくら食べても太らないのにお肉の味するんだよね。最高」


 するとアカネは一番乗りで肉にかぶりついた。


「いただきまーす!」


 ガブッ!


 それを見たみんなも美味しそうに肉を食べ始めた。


 アカネは肉を食べながら気になっていたことを黒ちゃんに聞いた。


「そういえば黒ちゃん、最近ずっとウチらと一緒にいるけど、To The Topは大丈夫なの?」


「ああ。To The Top、辞めたんだ」


「「「えーーー!」」」


「ていうか、リーダーが辞めるってアリなのかよ」


「まぁ、この世界は契約でチームになるわけでは無いからな」


「そっか、それで気分転換で髪型変えたかったんだ」


「う、うむ」


「なんだよ黒ちゃん、女子かよ。で、何で辞めたの?」


「なんだか疲れてしまってな。仕事でも後輩たちに指示したり大変なのに、ゲームの中も同じようで」


「やっぱり大人は大変そうだな。ていうか配達の仕事って、そんなに後輩いるのか?」


「え、いや、交通機動隊の白バイ隊員なんだ」


「「「えーーー!」」」


 みんなが驚くとイリューシュが感心しながら言った。


「どうりでモトラジェットの運転がお上手だったんですね」


「はい。モトラジェットは、ほとんどオートバイですから。ですがイリューシュさんも速かったですね」


「あ、ええ。祖父の家にちょっとしたコースがありまして、よくスポーツバイクで遊んでいたんです。ふふふ」


 みんなは黒ちゃんにも驚きだが、ちょっとしたコースがあるイリューシュの祖父の家にも驚いた。


 こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ、明日のレースを楽しみに全員ログアウトしていった。



 おじいさんは現実世界に戻ってくると、おばあさんはまだVRグラスをかけていた。


「ははは。おばあさん楽しんでるなぁ」


 おじいさんは台所へ行って、得意のお好み焼きを作り始めた。



 ー 翌朝 ー


 おじいさんは昨夜、遅い時間に帰ったおばあさんと深夜までお喋りしていたので、なんと寝坊してしまった。


「あぁ、いかんいかん」


 おじいさんは庭の掃除や庭の水やりなど、朝の仕事を急いで終わらせた。


 そして、昨日作ったお好み焼きの残りを電子レンジで温めて食べ始めた。


 すると、おばあさんの声がした。


「あなた、ごめんなさい。わたしはお先にゲーム行きますね」


「あぁ、いってらっしゃい。楽しんでなぁ」


「はい、いってきます」


 おばあさんはVRグラスをかけた。


 おじいさんは、お好み焼きを食べながらつぶやいた。


「話に夢中になって寝坊するなんて何十年ぶりだろうか。ははは」


 おじいさんは少し嬉しそうに(つぶや)くと、急いでお好み焼きを食べ終えた。


「さて、早く行かないと」


 おじいさんは居間のソファに座ってVRグラスをかけた。



 おじいさんは時計台の前に出現すると、三輪自転車を出現させて飛び乗り、G区画の家まで飛ばした。


 すると、みんなが外に出て待っているのが見えた。


「あぁ、みなさん、すみません!」


 おじいさんは急いでみんなの前までやって来ると、めぐがおじいさんに言った。


「ぜんぜん大丈夫だよ、おじいちゃん。もし何かあったらアプリで連絡してくれればいいから」


「あぁ、その手がありましたね」


 おじいさんは手をポンと叩くと笑顔になった。


 おじいさんたちは一緒に村の外まで出ると、軽トラに乗ってメンテナンス中のコーシャタへ向かった。



 ー コーシャタ ー


 おじいさんたちがコーシャタの近くまで来ると、モトラジェット・レースの受付テントが見えてきた。


 コーシャタ自体は半透明の巨大なドームに覆われていて、「メンテナンス中」の文字が浮かんでいた。


 おじいさんはサーキットの受付テントの前で軽トラを止めると、アカネは荷台から飛び降りて一番乗りで走っていった。


 そしてエントリーの受付を済ませると、さっそく外に置いてあるモトラジェットに(またが)った。


「一番乗りで行ってくる!」


 アカネはスタートラインにモトラジェットを進めると、軽トラから降りたみんなに手を振って準備した。


「アカネー! がんばれー!」

「あかねさん、頑張ってください」

「お気をつけて」

「慎重にな!」


「わかったー!!」


 アカネがみんなに返事をすると、空中に「スタンバイ」の文字が浮かんでカウントダウンが始まった。


 3、2、1、Go!


 ファァァアア!


「おっしゃーー!」


 アカネはアクセルを全開にすると、矢のようにスタートしていった。


 空中に浮かぶ大画面にはアカネの映像が映し出され、スピードも表示されていた。


 それを見ためぐは心配そうに言った。


「え? アカネずっと全開じゃ……」


 すると黒ちゃんが答えた。


「そのようです。しかし、次の(ゆる)やかな左カーブは減速すると思いますが……」


 コースは緩やかな左カーブにさしかかった。


 しかしアカネは全開のままカーブに入った。


「うおおお! カーブも気合いだーーー! おりゃーーあ、あれーーー!」


 アカネは叫びながら華麗(かれいに)にコースアウトしていった。


 空中の大画面には「失格」の文字が表示さ、それを見ためぐは笑いながら言った。


「さすがに気合いでバイクは曲がらないよね」


「「ははははは」」


 みんなは笑いながらアカネが戻るのを待った。


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