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女神の忘れ物

 理沙が帝国に来てから、数年の時が過ぎた。

 帝国は拡張路線、戦争による領土拡大を続けているが、それでも瓦解することなくその勇名を馳せ続けている。

 領土拡大に伴う幾多の苦労は重みを増しているが、帝国を発展させていく皇帝の手腕に支配される国が従う形だ。


 最近ではダムから水を引くのに使った水路を使い、冬場に氷が貯蔵される事業が始まった。

 帝国内の各国王都に作られた氷室からは、夏場に氷を提供できる。これで食材の保存が効果的に行われ、食糧不足解消の一助になっている。

 帝国内の自給率は低いのだ、どんな形であれ食材を有効活用できるようになるのは好ましい話である。



 なお、この氷室を作り出した理由は、理沙の語った日本にある冷蔵庫を何とか帝国の技術で再現しようと学者などが頑張った成果である。


 理沙本人は冷蔵庫に使われる技術など全く分かっていないが、「こんな物がある」と知っているだけで技術は大きく発展する。

 さすがに飛行機については分からないことが多すぎ、たとえ実現できたとしてもそれは帝国崩壊後の、数百年後であろうが。それよりも金属板を使った船の方が先に就航するであろう。




 帝国の改革において、理沙が挙げた功績は誰もが認めるところである。

 内心で面白くない者は大勢いただろうが、それを口にする不利益は誰も行わない。少なくとも、皇帝の側近衆にいる者はその程度の愚行をするほど頭が悪くなかった。


 そしてその理沙を帝国の物とするべく、皇帝との結婚話が上がるのは必定である。

 いつの世も絆を結ぶ場面で婚姻が強い意味を持つことに代わりは無い。

 オーグと理沙は周囲に祝福されて結婚した。


 この時のオーグは32歳、理沙は9歳である。

 歳の差に対しツッコミが入る前に、理沙の年齢は帝国であろうと普通ならアウトである。そもそも初潮前の娘と結婚というのはやらないのが常識だ。

 ただ、早期の婚姻が決まったのは、それだけ理沙をよそに出したくないからだ。他の国に理沙が渡るくらいなら殺すことも辞さないだろう。それほど理沙の有用性は評価されている。


 そして理沙の年齢が歴史に正しく残ったため、オーグは幼女趣味(ペド野郎)という評価を受けることになる。

 実際は巨乳好きだし、他のハーレムメンバーはそのような人選が行われているが、それでも他とはインパクトが違うため、どうしてもそのような、ロリコン疑惑が残ってしまうのだ。と言うより、他のハーレムメンバーの容姿が歴史に記されていないのが一番の原因だろうが。

 多くの歴史研究家からオーグは高い内政能力を評価されつつも、同時に帝国の乱れた性事情の象徴のような扱いを受けることになる。哀れ。


 ついでに、理沙の評価はオーグの功績になり隠れたため、全く評価を受けていない。

 ロリコンに手を出された幼女(被害者)としか認識されていない。

 中途半端に歴史資料が残っているというのも考え物である一例であった。





 後世の評価は横におこう。

 それは今を生きる彼らには関係の無い話である。



「陛下! お魚を捕まえました!」

「リサ! 魚捕りなど、帝国の妃がする事ではないぞ!」

「えー? お魚、美味しいですよー」

「余はそんなことを言っているのではない! 妃としての自覚を持てと言っているのだ!」


 帝国、帝都の城ではオーグと理沙が軽い言い合いをしていた。

 言葉だけをとればはしたない理沙をオーグが諌めているのだが、オーグの表情は皇帝としての厳しさの無い、優しげなものだ。

 オーグは皇帝としてではなく、一人の人間として理沙と接している。それはオーグにとって心の休まる、かけがえのない時間であった。


 なお、城の中に魚がいるのは、水に毒物が混入したときに、すぐに分かるようにする為だ。魚の異変で水の状態を見ている訳である。

 そんな魚も理沙にしてみれば食材にしか見えず、「つい」捕まえたくなってしまう対象なのだが。まるで動く物をつい追いかけてしまう猫の習性のようである。



 二人の関係は、親子のようであり、兄妹のようであり、恋人のようである。

 歳の差と常識の差が二人の関係を曖昧にしているのだ。

 ただ、その関係はどちらにとっても不快な物ではなく、心地よくていつまでも続けばいいと思わせるものであった。


 理沙の中で、日本の記憶は次第に薄れていく。

 彼女はいずれ帝国が故郷と思うようになるだろう。日本の知識を帝国に持ち込めなくなる日も近い。


 しかし、二人の絆はそんな事と関係なく続くのであった。

 二人がこの日の笑顔を忘れぬ限り。

最後は「知らないこと」が逆に有効に働くパターンです。

知識チートは知っていることを有効活用する者ですが、知らないことが有利に働くこともあるという事です。今回の例はよくあるパターンですが。

そういった意味では、ダムのように環境への配慮が出来ない事も、知識チートを有効活用するうえで邪魔になるという話ですね。知らない・考えが及ばないというのも一つの武器です。思い切りの良さになりますし。若さ・無謀さも、高校生主人公が持ちうる特性なんですよ。


これにて「小学生(7歳)と始める内政チート」は終了です。

ここまで読んでくれた読者の皆様、お付き合いいただきありがとうございました。

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