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<リピウスの頼み>

リピウスはドローンを操作して、目的の扉の前に移動させた。

リピウスは少し考えた後、非常に微細な霊気をドローンから発して、慎重に侵入禁止結界の中へと入り込ませていった。


通常の結界レベルでは認識できない程の微細霊気である。少し時間はかかるが、扉の向こうへと霊気を少しずつ送り込んで、扉の中で再度ドローンを構成したのである。


扉の中を確認すると、リピウスの予想通りの光景が目に映った。

(やっぱりワープゲートか……)


その後、同じように第四棟の扉の中にも侵入したが、やはりそちらにもワープゲートが設置されていた。こうなるとリピウスも行き詰まってしまう。


(さて……困ったな。どうするか)

ここでリピウスは、ハタと考え込んでしまった。


「リピウスさん、どうしたんですか?」

隣で作業をしていた真美ちゃんが声をかけた。

リピウスが何やら深刻な顔をして、だいぶ長い間考え込んでいるようなので、心配になったのだ。


リピウスはそんな声すら聞こえないのか、その後もしばらくは、こめかみ辺りを指先で軽く揉みながら思考していた。


「ん? 今何か言った?」

真美ちゃんの視線を感じたのか、突然リピウスが真美ちゃんに目を向けて聞いた。


「あの、ずっと考え込んでいるようだったので……。お邪魔してしまって、すみません」

真美ちゃんはおずおずと申し訳なさそうな顔をしている。


「いやいや、全然邪魔じゃないよ。ちょっと難しい事を考え出したのでね。俺って集中しだすと、周囲の事が全く見えないし、音すら聞こえなくなってしまうのだよ」


「凄い集中力なんですね」

真美ちゃんは、そんなリピウスも凄いと感心してしまうようだ。


「ははは。俺の悪い癖でね。少し気を付けないとね」

そう言った後、何かを思いついたのか、


「すまないが、ちょっと用事が出来たんで出て来るね」

そう言って小会議室を出て、自分の部屋へと戻っていった。


部屋に戻ると、今日もデュークとヨルダ爺が来ており、すっかり仲良くなったジャネットと楽しそうに談笑していた。


「お! ヨルダ爺、やっぱり来ていたか」

入るなりヨルダ爺の姿を見て、嬉しく声をかけた。


「ん? なんじゃリピウス、もうC国の研究施設は見つかったかの?」

口の中にメイさんが用意したケーキを含みながら、ヨルダ爺が聞いてきた。


「その事なんだけど、ヨルダ爺の力を貸して欲しいんだ」

リピウスが珍しく、真剣な顔をしてヨルダ爺に頼み込んできた。


「お! リピウスからの頼みって、珍しいじゃん」

デュークは相変わらず能天気な顔をしている。


「なんじゃろ? わしにできる事なら頼まれるぞい」

ヨルダ爺は頼もしい。が、実際にリピウスの頼みごとを聞いた途端に、その場にいたメイさん以外の3人は、同時に驚きの声を上げた。


「な・何じゃと! 天界の人間界管理システムを利用して、ワープ先を特定して欲しいと言うのかの?」


「ああ。確か以前確認に行った際に、そのような機能もシステムには有ると言っていたと思うのだけど」

リピウスは天界に同行した際、システム機能確認作業時に説明された内容を覚えていた。


「う〜む……。た・確かに、そのような事も可能とは言っておったように思うが……」

ヨルダ爺の記憶は曖昧であった。


「え? リピウスって天界に行った事があるのか? 私だってまだ行った事が無いのに……」

ジャネットにとっては衝撃であった。


「おいらだって行った事無いぞ。普通の霊界人では一生行ける場所じゃないからな」

デュークも同調した。


そんな二人に構わず、リピウスは詳細な事情をヨルダ爺に説明し、何としても協力して欲しいと頼み込んでいる。


結局、ヨルダ爺は了承して、一旦霊界に戻ってシステム管理センターへ連絡してみるという事になった。ただし、ヨルダ爺にも条件があった。


「一応、以前の障害でリピウスはセンターに貸しもあらからの。頼み込めば協力してくれるかもしれんが、その際にはわしと一緒にまた天界まで来てもらうからの」


ヨルダ爺はリピウスの同行を求めた。

システムでのワープ先特定に関しては、自分ではとても説明しきれないと思ったからだ。その点はリピウスが同行して、エンジニアと詳細な打ち合わせを行ってほしいと考えたようだった。

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