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閑話~クレイ・ローゼンハイムの1日(騎士団)

日(騎士団)


朝4:00 起床。


騎士団宿舎…女子寮の一室で目が覚める。


基本的には2人部屋だが、俺は元男なので1人で部屋を使っている。


起きてすぐに騎士服に着替え、身嗜みを整えたあと…木剣を片手で担いで…訓練場に行く。


そして入口の前で仁王立ちし、朝の訓練に来る新人達を待つ。


「お…おはようございますっ!副総長様っ!」


「おぅ」


続々と来る団員達の挨拶に返事をしながら、団員達の気の緩みがないかをこうやって毎日、確認している。


「おはようございますっ!」


「貴様!髪が乱れているぞ!出直してこいっ!」


こうして、心を鬼にして団員達に指導していく。


女体化した時…周囲は私を舐め腐った奴らが出てきた。


騎士団は実力主義。

なので、私は女体化しようと副総長にふさわしい強さを持っている事を証明する為


突っかかってきた団長達含め50人相手に模擬戦をして勝ってやった。


それ以来、言い返すやつはいねえ。


5:30


朝訓練の門限になったので、出入り口の門を締める。


時間厳守は騎士団以前に、人として当たり前。


守れない者が訓練を行う資格はない!


「うわぁ…間に合わなかったぁ~…」


「また貴様か!フレア・ネーリアスっ!今日で3回目だっ!」


遅刻の常習犯、フレア・ネーリアスが今日も遅刻してきた。


彼女は本当に遅刻の常習犯だ…通算40回目。


「すいません!すいません!」


「貴様に騎士の自覚はあるのかっ!今日も貴様には特別指導だ!」

「ひいぃ!!」


フレア・ネーリアスを模擬戦形式でビシバシと指導する。


「そこっ!脇が甘いっ!」


バシッ!


「大振りは敵に隙を与えると言ったはずだ!」


バシッ!


…今日も厳しく指導した。



6:30 食堂


「配膳!急げっ!」


第9騎士団の団員達がテキパキと食卓の前に並んでベンチに座る新人団員達に朝食を配膳していく。


新人達は寄宿舎で生活するが、騎士基礎試験をクリアすれば、各団に配属される。


配属された者達は、配属先の騎士団宿舎に移る事になっている。


ここは、いわゆる騎士団学校みたいな物だ。


巷では新人教育専門の第11騎士団と言われているが…うちは第10までしかない。


基礎訓練と騎士団の心得を指導するだけの教育場所だ。


教鞭を握るのは騎士団OBや一部の現役騎士団が新人教育を担当している。


「いただきます」


新人と一緒に私も朝食をいただく。


こ…これは朝の食費を浮かせる為ではない!親睦を深める為である!


「酷いですよぉ…クレイ様ぁ」


今日はビシバシ指導したフレアの横の席で食事をしている。


フレアは朝の訓練の事を不服そうに愚痴っている。


「お前が遅刻するのが悪いんだがな……まぁそれはさておき、フレア…お前は入団時と比べるとかなり成長してきているな、これからも日々鍛練しろよ?」


実際、フレア・ネーリアスに剣術の才能は間違いなく凄い早さで成長している。


しかも、2回だけ使用できるが、相手の背後を取れるという魔法も使える。


この魔法にあの剣裁き…。


…コイツは将来、前線の2、6、7のいずれかに推奨できるだろう


本人もアイリスに憧れてる様だし、第7に配属されれば喜ぶだろう。


「はいっ!教官様!」


「誰が教官様だ…副総長だ!」


8:00


今日も総長室で兄貴の補佐をしつつ、自分の仕事も行う。


「クレイ」


「ん」


執務中は基本的にこの二言しか会話しない。


互いにやることも何をしたいかもなぜか分からないが、手に取るように解るようになってきた。


男だった頃と比べて…事務仕事が手際よくなった気がする。


10:00


面倒くさい事務仕事が大方、片付いたら次は会議だ。


ほぼ毎日、騎士団長が会議室に集まって報告を受け取る。


治安、経済、人口、魔物…etc


あらゆる事を話し合って方針を決めたり様々な事に使う。


「…という状況です」


第10騎士団マルコの眼鏡が光る。


今月の運営費、各貴族達の動向を守銭のマルコがキリッときた顔で報告する。


七三分けかよ…。


「もっと配備できる魔動車は増やせないか?あれは…いいものだ」


第3騎士団…団長のチャールズ・ロックフォードが銭闘の口火を切った…!


しかも今現在、各国が頭を悩ませている'魔動車'について


ウェインズ連合国のドワーフ自治区が発明した魔石で動く馬車。


…いや、馬車と言うより車か?


馬車に次ぐ画期的な移動手段だが…高価過ぎて市場に普及できていない代物だ。


ラインツ王国じゃ、貴族か大手の商人達、王家くらいしか使っていない。


例の大型船に続いて、陸路での作戦展開が魔動車で替わるだろうとは思っているが…


いかんせん、制作コストが高過ぎる。


それに…俺達は'騎士'だ。

馬に跨がり、馬上で戦闘を繰り広げてきた長い歴史があるんだが…。


「…1月1台!それしか譲れません」


守銭のマルコが冷たく言い放つ。


それを聞いて、チャールズはまた反論をする。


「もし…もし、あれが各班に1台普及されれば、大量の物資、大量の兵士、大量の武器が現場や戦場で大いに役に立つ!各騎士に大きな恩恵を受けられる!そうなるとどうだ?いち早く驚異に対応が可能!しかも魔動車に応急手当の包帯から止血、替えの剣から防具まで載せられるんだぞ!」


あぁ…こいつ、この前に試験的に導入した魔動車に惚れ込んだんだな。


「そんなもの…馬車の荷車と一緒ではないか」


マルコのカウンターがきたぞ!


チャールズはどう返してくる??


「機敏性が全く違う!馬は急には曲がれんっ!魔動車は操舵を操るだけで左右に曲がるのだよ!」


こういった熱い戦いが会議室で繰り広げられ…


結局、マルコの勝利で1月1台という事が決まった。


付き合わされた俺達含め団長達はぐったりした顔で会議室を立ち去っていく。


12:00


やっと昼食だ…


会議後、私は単体で元老院に赴き…騎士団代表として議会に出席した。


老人と男の貴族ばかりの中で、あのガキンチョと一緒に'女性'という目立つ存在になっているのを改めて自覚した。


あの太った貴族め…いやらしい目で見やがって!


腹が立つ!


…今は元老院近郊の宿屋でガキンチョと一緒に飯を食べに来た。


「僕が見られる役目から解放されたなぁ~」


「ちっ…あいつ、俺の胸をジロジロ見やがって!」


あの貴族の顔を思い浮かべながら、焼いた鶏肉にフォークを突き刺した。


女になってから4回目の参加だが、毎回…こうやって不愉快な気分にさせられている。


「僕なんてピークになったらいつもそういう目で見られてるよぉ~」


「よく耐えてるな」


今は15歳のガキンチョ…じゃなくてオリヴィエ魔術師団長はやれやれとため息をつく。


14:00

冒険者協会に案件を持ち込み。


会長と軽く会談して1階のロビーに行って受付嬢と軽く会話する。


「お姉さんっ!俺、ヤナギ・コウタ!まだ新人冒険者なんだけど、良かったら一緒にパーティーにならないか?」


協会のロビーに降りると、熱心な事に新入りの冒険者が私を勧誘してくる。


ほぅ…?

コイツ、他所から来た冒険者だな。


私が着ている騎士服の腕章の意味を知らずに声をかけて来たか


「見たところ剣士かな?でも…うん、いいね!」


能天気な冒険者はまだ勧誘を続けていた。


他の冒険者達がざわつき始め、心配そうに見守っている。


「貴様…ヤナギ・コウタと言ったか?」


「おっ!やっと話してくれたか」


俺の返事を嬉しそうに頷いている。


どうやら、まだどういう事か解っていない様だ。


そいつの顔を睨み付けて、鼻を鳴らす。


この状況に痺れを切らした付近の冒険者が大声で少年に注意を促し始める


「おい新入り!その方は騎士団副総長だぞ!それも貴族様だ!」


「へ?…し…失礼しました!」


「その度胸は気に入った、今後は気を付けろ」


注意をして、冒険者協会から立ち去った。


15:00

騎士団に戻って、再び執務。


17:00

夕刻の鐘を聞き、新人訓練場に赴く。


終業の挨拶だ。


「今日もしっかり訓練したようだな!貴様達の汗水と砂埃にまみれた姿を見て感心した!本日の訓練は以上だ!明日も厳しい訓練が待っている、今日はゆっくり休め!」


ほどほどに挨拶を済ませて、俺はローゼンハイムの家に帰宅する。


明日は聖女役の職務を行わなければならない。


…あのマヌケのせいで、聖女役を任されてしまっているからだ。


押し付けて、アイリスはもう'あっち側'には来ないと思ったんだが…


あのバカ、自分からお立ち台に登ってきて目立ちやがった。


おかげで、私が代役になった意味が全くなくなっちまった。


…全くあのバカは。


聖女役なので、明日は騎士団には行かない。


週に2回は最低限行かなきゃならない。


18:00

向こうは時差があるので早めに飯を食ってシャワーを浴び… 眠りについた。


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