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完結への第一歩

「くっ……!」

 僕は銀弾の弾幕の中を潜り抜けてきた。

 洗練された銀の弾丸は僕の脇腹を突き抜けると同時に魔力を根こそぎ奪っていく。

 うまく村からシスティナが気を引いているうちに抜け出したのは良いのだが、すぐに見つかってしまい、そのまま僕は疾走している。

「あっちだ!追え!」

 暫くすると馬蹄まで響いてきた。くはっ、雪国なのに馬まで使うとは……!

 僕は血を流しながらただただ疾走する。

 このままでは失血死しかねない、どうにかせねば……。

 だが、疾走し続けて助けのある場所に向かうのは希望的観点だ。

 こうなれば……。

 僕は力を振り絞って木陰に隠れると、その木で銃弾をやり過ごしながら九尾の力を捻りだした。

龍の咆哮スーパー・ラスター・カノン!」


 ずどんっ!


 迫撃砲が鳴り響くような音と共に自分の腕から光線が噴出した。

 それはまさに弾丸、修練された魔力は追っ手達の真ん中に炸裂、そのまま爆ぜた。

「へっ、ざまぁみろぉ……かはっ!」

 だが、その代償は大きい。

 僕の腹から血反吐が噴き出た。

 しかし、こんなことで止まってはいられない。

 僕は地を蹴ると再び走り出した。


 それで追い払えた、と思うのはあまりにも愚かだとは分かっていた。

 だけど、少しは時間を稼げたとは思っていた。


 ……甘かった。


「くっ……!」

 追っ手は立て直すのが早かった。

 銃撃と共に追ってくるとすぐに自分を特定して銃口から火を噴かせたのだ。

「マジかよ……!ちっ、ステラ!」

 ステラをすかさず召喚する。

「もう少し休ませて欲しかったかなぁ……?」

「文句は後で聞く!」

 疾走する僕の脇に現れた妖霊はすぐさま現状を悟ると、狐に変化して併走しながら訊ねてきた。

「御命令は?」

「私を、助けろ!」

「畏まりー!」

 ステラは巨大な妖狐へとすぐさま姿を変えると、僕を背に乗せて颯爽と駆け始めた。

 まさに疾風。

 彼女は魔界で供給した力を余す所なく使って駆けていく。

 さしものイギリス軍隊も追いつけないようだ。馬蹄や銃声は遠くなっていった。

「ふぅ……。」

 助かった、ようだ。

 ステラは雪原を走り、途中に発見した洞窟に駆け込むとそこで僕を降ろした。

「助かったよ。ステラ。」

「どうもー。」

『隆史様。』

 と、ふわりと誰かの声が鼓膜に響き渡った。

 僕は笑みを浮かべるとその名を呼んだ。

「イヴか。どうだ?首尾は。」

『全て避難出来ました。』

 その精霊は僕の目の前に姿を現すと、妖狐の姿のステラは目を丸くした。

「あらら、精霊さん。」

「イヴだよ。初対面だったっけ?」

「うん。よろしく~。」

『新しい悪魔さんですね。よろしくお願いします。』

 一つ頷くとイヴは僕に向き直って言葉を連ねた。

『住民は避難を終了、ガンダーラは落とされましたが、最終的にクリスさんなど避難を完了し、船で今、フランスへと移動しております。故に、雪月花さんとジャンヌさんはもう戻ってこれるかと。』

「オーケー。じゃあ、雪月花、ジャンヌ。我が元に戻られし。」

 僕が声高にそう呼ぶと、目の前にふわりと二人の女性が現れた。

「ようやく呼んで頂けましたね。」

「お怪我はありませんか?御主人様」

「ああ、イギリス兵に見つかって撃たれまくったけど、まぁ大丈夫かな。」

「また無茶を……。」

 雪月花が呆れた様子で僕のボディチェックをする。

「……まぁ、三人が戻ってきてくれれば百人力だよ。」

「百人だけとは言わせませんよ。マスター。」

 素っ気なくケチをつけるジャンヌ。

 だが、その瞳はやる気に満ちている様子だ。

「……行くか、みんな。何としてでも夜会に辿り着こう。」

 僕は面々を見渡して言うと、従者達は力強い頷きを見せた。


 ……そして、数日後。


 無事に夜会の扉へつくと同時に単身で僕を捜していたシスティナと合流。そのまま夜会へと入った。

 さすが、自分の……この世界の自分の息子、娘だ。

 僕を認めると、生きていた事に驚愕し、だけれどすぐに僕を保護した。

 九尾や神炎を見て、僕を本物だと知ったものの驚きは押さえきれない様子であった。

 僕は息子、娘、孫、曾孫、そのまた孫(おい、自分、どれだけ子作りを頑張ったんだ)などの重役に面する人間、ヴァンパイア、ダンピール達には一部だけ真実を明かした。

 それに関して、驚かないものはいなかったが、理解するのは早かった。

 そして、最愛の妻、ルナーに再開する事も出来たのだが……それはまたの話にしよう。


 その後、すぐにフランスへと移動した。

 聖悪魔教会は改築が繰り返されていたが、依然として僕の部屋とライラ……司祭の部屋だけは残っていた。

 そこで僕は何だかんだあった後に司祭の座に落ち着いた。


 ようやく、原点に戻ったのだ。

 丈にも聞き質す必要性もある。そのためにも……。

 会いに行かねばならない。


 敵を打ち払ってでも。


「丈……美加……」


 それは大事な肉親の名前。

 そして、大事な意味を持つ、名前。



「今、行くからな」




 僕の冒険は……まだ終わらせてはくれないようだ。

ハヤブサです。


年越し前に中途半端なものを収めておこうと思いました。

これは……もう世界が崩れつつあります。

この世界は完結した話ですが、意図的に崩して立て替えています。

なので、これはもう終演させます。


そして、また、次の世界へ……。


その世界で、またお会いしましょう。皆様。

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