壁掘り
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タイトルを少しだけ変更いたしました。
「サレ女」と書いたせいで「ドロドロサレ女の現代復讐劇」系の誤解を生んでしまったため……です。
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「嘘が下手ってことですよね。いいと思います。そういうの……あ、いえ、あの、私、婚約者にも友達にも嘘をつかれて、全部嘘で……その……」
何言ってるんだ、いくら婚約破棄されたサレ女だって知られているからって、聞かされたって困るだろうに。
「あはは、相変わらず焦ると失敗するね、有希。間違いにも気が付いてないよな」
「間違い?」
「婚約者にも友達にもって言ってたぞ?」
だって、事実で……。
「元婚約者と、DQN女だろ?」
元、婚約者と……。
「元友達ではなく……」
DQNって……。
志崎さんがにやりっと笑ったので、私もにやりと笑い返す。
「そうだ、魔力はまだ大丈夫か?大丈夫なら、防御魔法、結界を試してほしいんだ」
「問題ないですよ」
まだ穴を少し掘っただけだ。いや、クレイコーティングとクリーンもしたっけ。
志崎さんが拾った小石を投げる。
「【当たるな】」
バリアがはじき返すイメージで魔法を使うと石はバリアにはじかれて飛んでいく。
ところが、だ……。
結論。
「すいません、全然防御魔法でも結界でもなかったですね……」
「いや、分かっただけでも十分だ。なるほどな……っていうか、すまなかった……」
志崎さんが申し訳なさそうな顔をして私を見る。
はじき返せたのは石だけ。
志崎さんがその辺の草を引きちぎって私に投げたら、私は草間みれ。
志崎さんが風魔法を使えば私は風に吹かれて、髪の毛ぼさぼさ。
志崎さんが水をペットボトルの水を私に不利かかけると、私は水浸し。
「本当にすまなかった……」
申し訳ない気持ちは十分に伝わっているので、慌てて取り出したタオルでガシガシ私の頭を拭くのやめてもらっていいですかね……。
「土魔法だから、土だけはじける……石も、なんだな」
やっと、志崎さんの手が止まった。手櫛で髪を整えるものの、これ、草も絡んでどうにもならないよね……。
「そうですね。石が砕けて砂になり土になるってことを考えれば、石も土なんでしょうね」
「確かに……そうだな。ストーンパレットなんてストーン……石、だもんな」
そっか。もともと石も含んで土魔法だ。
「ん?まてよ?なんで、石をはじくことはできるのに、ストーンパレットはできないって言われてるんだ?いや、使い物にならないだけか?」
志崎さんが首をかしげる。
「あ、石といえば、壁も掘れるんですよ」
「は?壁を?壁って、……壁、だよな?」
志崎さんがダンジョンの壁を見た。
「ただ、地面を掘るよりも魔力の消費量が10倍かかるので、大きく掘るのはできないんですけど……」
志崎さんが目を白黒させている。
「いや、壁って掘れるのか?有希にしかできないとかじゃないのか?ほら、そのクレイコーティングとか見たことないぞ?」
え?
「まさか、誰も壁を掘ろうなんてしたことがないとか……?」
と考えてポンっと手を打つ。
「そういえば、ダンカリで墓石を出品している人がいましたよ?あれ、壁の石じゃないですかね?きっと、壁から掘り出したんですよ」
機械を持ち込んで石を切り出すなんてありえないだろうし、目出つからすぐに噂になるよね?
適当な大きさに壁をくりぬいて外にもっていって加工したのかもしれないけど、あれはもともと墓石の形で壁から掘り出したんじゃないのかなぁ?
雪像じゃなくて砂像を想像して作れたんだし。魔力切れで倒れたけど。
明確に形をイメージすればその形で掘り出せるよね。なら、ダンジョンの外で加工するよりも便利なのでは?
問題はその重たいものをどう運ぶか……。




