9可愛い貴方に祝福を
ブックマークありがとうございます!!
セオ様に抱きつき陛下にプンプン怒っていたらセオ様が私の手を掴んでいた両手の居場所を探して固まっていたが最終的に私の背中に回しポンポンと撫でてくれた。
い、今更ながら恥ずかしくなって来た…
「エレノア、セオ殿から離れるんだ。大丈夫、エレノアの望まない婚約は結ばないから。だから…私の前で男に抱きつくな。」
お父様が悲しそうな顔で私に近づきて来たけど今の私は恥ずかしさでいっぱいです。いきなり抱きつくとかいくら幼女だからってダメだよね!!!
お父様に離れろと言われるけどセオ様に恥ずかしくて顔向けできません。
オロオロしていると肩の方から声が聞こえます。
「エレノア嬢?」
ちょまっ!み、耳に息かかるから!
仕方なくそぉっと体を離すと至近距離でセオ様の顔が…うぅ…美しすぎですぅ。私なんかの顔を見せてしまってごめんなさい…あぁ、絶対今私顔赤い。もういやだぁ…
「ご、ごめんなさいセオ様…その、どうようしてしまって。」
頰を薔薇色に染め下を向きながらもじもじと言ってしまった私はしょうがないと思う。
だって恥ずかしいだもん。
なにも言わないセオ様に不安になってチラッと上を見るとセオ様は顔を片手で隠していたが耳が赤く染まっていた。
…照れていらっしゃる?
こんな幼女に?…
女性経験がないのかしら?それともとてつもない硬派な方。っは!まさか…怒りのあまり顔が赤く…
「セオ様?」
「あ、あぁ、すまない。エレノア嬢その誰彼構わず抱き着いてはいけないぞ。男は皆危険だと思っていた方がいい。」
危険って、こんな幼女に危険なことするって、騙して金を巻き上げるみたいな?
よく分からずコテンと首を傾げ曖昧に「はい」と答えました。そのあとはまぁ、お父様と陛下が二人っきりで少しお話をし私はお母様と医務室で本を読んでいました。
***
「…びゃっこ…あ、いや、そろそろハークライドルと呼ぶべきかな。」
月も上がりきった様な真夜中。一人きりの部屋で呟くと途端に部屋の一部が煌き出し白虎ことハークライドルが現れる。聖獣は神か私の呼びかけには絶対に現れる。(半強制的に召喚されるのだが)
「こんな真夜中にどうなされた。」
「どうも目が覚めてしまってね…というのは嘘でこんな真夜中ではないと私の部屋を監視している従者が居なくならないんだよ。なんせこの部屋私が熟睡するまで魔力で探知されているもんでね。しかもこの部屋に誰かが侵入するとこの部屋の結界が反応するし。ほんと困ったよね転移は大丈夫みたいだけど。」
「それはそうだろう。瞬間移動ならまだしも転移は魔法式が複雑すぎて精霊の類しか使えないのだから。それで何の用だ?」
「あぁ、精霊王の力がどこまで使えるのか確かめたくてね。どうやら精霊術は魂の問題だから使えると思うんだけど精霊王の力はまだ不完全な気がするんだ。まだ体に精霊王の力が馴染みきっていない。」
どうやら魂は体に馴染んだ様なのに力までは間に合っていない様だった。
だからおそらく体に力が馴染むまで精霊王の魔法は制限される。
精霊術の方は何度生まれ変わっても使えるから大丈夫だと思う。どれほど生まれ変わり精霊王の魂を隠しても精霊たちは自然と精霊王の魂には吸付けられるのだ。
精霊術は魔力を報酬とし精霊に魔法を発動してもらうこと。基本は精霊に魔力を分けて発動してもらうのだが数百年に一度現れる精霊の愛子は魔力をあげなくても精霊たちが力を貸してくれる。
ここでこの国の人は知らない事実〜精霊の愛子は前世に精霊の魂だった者の事ですね。精霊は同胞には優しくですから。力を貸してくれるのは下級の生まれ変わりばかりなので皆下級しか願いを聞いてくれないそうだけど。
っと、そんな話は置いといて、ハークライドルに視線を向ける。どこか良いところないかしら?
「ふむ、ならば我が山が良いだろう。我が山だからいくら壊してもすぐ再生するし人も夜だしいない。それに結界が張ってあり外に音が漏れない。しかも広い。あ、だがなんか教会があるから少し邪魔かも知れん。」
ハークライドルの提案でそこに行く事になり白虎に乗り転移で移動するとそこは見覚えのある森で、まぁ私が目覚めた森だったわけだ。
私が眠っていたところが山の頂点部分で教会は山を囲む様に立っていた。つまり、長い、でかい、広い。神殿である。でも白虎曰くほとんどが廊下らしい。
私はまず普通の魔法を使う事にした。下級魔法 中級魔法 上級魔法と全て使えた。
一応色々な魔法属性を使ったけど全部使える様だ。回復系どか時空系とか光・闇・火、水、風、土…とまぁこんな感じ。
精霊術も使えた、だが精霊王が使える魔法は少ししか使えなかった。簡単なものは発動したが超絶的な力は使おうとすると吐きそうになり発動出来なかった。まだ不完全の状態なのだろう。精霊王が使える魔法は複数ある。普通は解呪できない聖獣や精霊の怒りを買い受けた呪いや傷を治すことができる。
後はすべての精霊の視界と耳を借りることができるとか受けた魔法の吸収や分解瀕死のもう助からない様な怪我の絶対回復とか…色々と。人間にできない魔法は大抵できる。あ、蘇生とかは世界の断りに関わるからできないけど。
とまぁ、これらの魔法は似たような下位互換のものしか無理だった。
つまり今の私は少し変わった魔法も使える普通の魔法使いということだ。
実験も終わり帰ろうかと思ったがせっかく神殿があるのだし親愛なる女神様に祈りの一つでもしておこうと思い神殿に足を踏み入れたのだが。
ぴかかかかかああ!!!
私の周りが輝き足元に魔法陣が現れる。…女神の祝福というやつである。恐らく何か特別なスキルを授けてくれたのだろう。
「…女神の祝福だな。」
「…そうね。」
「鑑定魔法で何を授けられたか見ないのか?」
「みないほうがきゅうにはつどうしたときおもしろいでしょ?」
それにスキルが欲しくてここに来たわけじゃない。スキルは気持ちばかりのお土産として持って帰るだけ。
白虎の背に乗りゆったりと歩く。大きな窓から差し込む月明かりが美しい。
礼拝堂大きな間に出た。そこには見たことある女神の像がいて、よく似ているなと思った。
白虎から降り女神像の前で祈りの体制に入る。
ーやぁ、女神様。
ーまぁ久しぶりね?元気そうね。
あ、やっぱり女神様とコンタクト取れた。自由な彼女なら私が祈れば話せるのでは?と思ってたのよね。
ーあ、そうそうさっきスキルを授けたでしょ?確認しないみたいだから教えとくわね《自然の祝福》を授けたから。貴方がいる領地の植物はよく育ち貴方が祈ればなんでも新しい植物を作り出すことができる。例えばこの世界にはお米がないからお米が欲しければ米を作り出すこともできる。どう?最高じゃないかしら?
ーいや、まじ最高!女神様、神!!!
ー知ってる〜!!あ、そうだついでに言っとくわ。貴方がどうするかはわからないけどこの神殿にある書庫の「暗黒の伝染病」は読んでおいた方がいいわね。じゃ、そろそろ切るわね。白虎が暇そうだし。
ー了解。またね〜
ーまたね〜
そして通信を切った。
また白虎にのり書庫まで運んで貰う。この神殿無駄に広いせいでいちいち遠いのだ。
ついた書庫は狭く、前世の小学校の図書室くらいの広さだった。そこで白虎に出してもらった本を手に取る。
「暗黒の伝染病」
著者は書いていないがさして古い本にも見えない大体二十年前くらいの本だろうと察せられる。
ぱらっと読めばどうやら今から大体23年前のでき事を綴ったものらしくなんとも悲惨なことが書いて合った。
とある小国が滅ぶ程多くの民は死に、特効薬は見つからなかったそうだ。
異世界なんだから回復魔法とか浄化でなんとかなるんじゃない?と思うかも知れないが病気にも効くほどの回復魔法や浄化の魔法が使えるほどの魔法使いは多くない。光魔法の使い手でしかも上級魔法が使えるほどとなれば世界中探しても片手で数える程だろう。
症状は発熱、強い倦怠感、筋肉痛、頭痛、咽頭痛等の症状から始まりこれらの症状に続いて腹痛、嘔吐、下痢等の消化器症状や発疹、腎障害、肝機能障害等がみられるようになり重症化してくると出血傾向が現れてきて、吐血・下血をきたす。と書いてある。感染してからの潜伏期間は2〜21日、平均一週間程。
このことから私はかの有名な病の確率が高いと思った。
それは前世私が所属していた研究チームが研究し特効薬を発見し医学の最先端に立てるようになったきっかっけの感染病。実はこの発見で私が所属していた研究チームのリーダーのおじさんがノーベル生理医学賞もとっている。
何でとったかというとエボラウイルス病の特効薬の発明で。
そう、恐らくこの何人もの死者を出した感染症はエボラウイルス病。昔はエボラ出血熱と呼ばれていたけど最近では必ずしも発病者が出血症状を伴うわけではないことからエボラウイルス病と言われている。特効薬を見つけるとともに予防注射も出来たため時折はやるアフリカ方面には特に感謝された。
で、わざわざ神様が読んどけと言ったということはそのうちこの世界でも流行るという事かなぁ?
感染病が広がらない様に感染者に触ったらダメとか注意事項を広めとかないとダメかな。
今日は色々考えながら屋敷に帰りベットに潜った。
あ、薬を錬金術で作れないかやってみよ。
でも…今はもう眠たいから、寝る。
すう…
評価ブックマークしてくれると嬉しいです!