殲滅では無く
その頃、松尾山では……。
平岡頼勝「……誰も居なかったか……。」
稲葉正成「警戒し過ぎてしまいました……。」
松尾山の奪取に成功した模様。
平岡頼勝「しかし大谷も急遽であったであろう。」
稲葉正成「はい。兵糧や弾薬はそのままになっています。」
平岡頼勝「本来であれば、補給したい所ではあるが。」
稲葉正成「今は殿を助けるのが先であります。」
平岡頼勝「善し!山を駆け下り、大谷吉継を挟み撃ちにせん!!」
その時。
小早川秀秋「ん!何の音だ!?」
「松尾山の山頂からであります。」
小早川秀秋「落としたか?」
「その可能性が高いかと。」
小早川秀秋「善し!あと暫しの辛抱であるぞ!!」
と自軍に対し、叱咤激励していた丁度その頃。
稲葉正成「弾薬と言う弾薬に火が!」
平岡頼勝「大谷の野郎!謀りやがったな!!火を点けた奴が近くに居る!!急ぎ捕捉せよ!!!」
稲葉正成「いえ。今やる事は殿を助ける事。あちらを見て下さい。火の手が回っていません。あそこの道を通れば大谷の背後に回り込む事が出来ます。」
平岡頼勝「……わかった。」
と隊を進ませた所……。
平岡頼勝「ん!どうした!?この叫び声は……敵襲か?」
「申し上げます。道の至る所に落とし穴が仕掛けられ、中に竹槍が仕組まれています。」
平岡頼勝「ぬ!奴が火を点けたのは、我らを罠に引き入れるためであったか……。」
大谷吉継「あの音は?」
「松尾山の山頂からであります。」
大谷吉継「火の手は?」
「想定通りであります。」
大谷吉継「と言う事は奴らは今頃……。」
「はい。我らの罠に嵌っている事かと。」
大谷吉継「本来であれば、あそこで殲滅出来れば良いのであるのだが……。如何せん火力が足りぬし、私が入ったのが前日。そこまでの仕掛けは出来ぬ。ただ奴らの動きを限定させるには十分。後は敵が進みたい道に罠を仕掛けて置けばそれで良い。目的は……。」
足留め。
大谷吉継「迫り来る火の手に主君を救わなければならない時間的制約が彼らの焦りを誘う。警戒している余裕が無い状況では被害は増えるばかり。ただ彼らの命を奪う事は出来ない。出来ないが、奴らの行動を止めるには足を奪うだけで十分。」
「これでは進む事は出来ませぬ!」
平岡頼勝「う~~~む。」
大谷吉継「それでも奴らは兵を進めて来るであろう。主君が危機に陥っている以上、多少の犠牲は覚悟の上で進まざるを得ない。そこで……。」
松尾山山頂から少し下がった場所で新たな爆発音が……。
大谷吉継「所々の落とし穴に火薬を仕込ませてもらった。これで奴らは……。」
平岡頼勝「これでは埒が明かぬ!来た道を戻り、殿に合流する!!」




