42話 陰謀Ⅱ
卵を捨てて逃げるよう促す。
「でも、これは・・・」
・・・ああもう、
この時、何かがブチっと切れた。
「そんな事は後で幾らでも話せる!!命より大切な物は何だ!金か?名声か!?いいや!命だ!!」
「この龍は未確認だ!!どこの本を探しても載っていない危険度が分からない種類だ!!」
「説明は後でする!とにかくこいつは戦っちゃいけない種類だ!」
ここまで言ったら誰もが言葉に従うだろう。俺だってそうする。
皆逃げる。
俺が真っ先に逃げようとしそうになったが、ふと後ろを振り返ると
ただ一人、ノームが
「待ってええええ!!」
「ああ、担いでやるからこっちまでこい!」
泣きそうになりながらこちらへ飛び乗ってくる。
あれから数十分。
「さすがに・・・子供一人担いで走るのはしんどいな・・・」
息切れ。まだ龍は追ってきている。
相手は空だ。なんとかノームの召喚を盾に防いでいるがいつ破られるかわからない。
それに、ここは山。体力の消耗も半端ない。
「っく・・・このポーション、疲労回復もあるのか?」
一かバチか、ポーションを一口分飲む。
・・・いける。
そう確信し、今すぐポーションを一口だけ飲むように伝える・・・
だが、
「ただのポーションにそんな効果あったかしら・・・?」
各々が疑問に思いつつも一口飲んでみる。
もちろん走りながらだ。止まって飲もうものなら地獄の業火に焼かれるだろう。
「あの時・・・気のせいじゃなかった・・・・」
何か呟いているが後回しだ。それより疲労回復の効果を実感したところで全速力で突破する。
「(あのドラゴン、いや、ドラゴンは竜の巣の近くにしか居ないんだよな?)」
「(はい、普通のドラゴンなら賢いので深追いは禁物だと分かっているはずです。)」
「(代わりに、竜の巣に居る間は彼らのテリトリーですので・・・)」
どこまでも追ってくるってか。
そうこう言っている内にふもとが見えた。
ちなみに俺は最後尾を走っているから仲間を見失ったりはしていない。
「・・・っ!!」
あいつ・・・まだ追ってきている!?
「まだだ!気を抜くな!!」
「あの先は街だ・・・!龍を街に連れていくわけにはいかない!!」
「あっちへ逃げるぞ!」
指差し、逃げる。
「も、もう駄目じゃ・・・」
こんな時にダウンかと思ったが思いついたことを試す。
「これ飲め!」
「魔力ポーションじゃないのならそれは無理じゃ・・・」
MPポーションみたいなものか。しかしそうこうしている内に・・・
「洞窟・・・!」
さすがに追っては来ないだろう・・・そう安心したのも束の間。
「・・・ってクマか、楽勝だな」
そう思えるようになってしまった自分の感覚が怖い。
熊を退治したところで外の様子を確認する。
「いないみたいだ。」
「さっきの龍、何かおかしかったわね・・・それで?あの時の事・・・どうして?」
「ま、あ、・・・いいだろう、俺は叡智というスキルを持っている。色々な説明は省くが、敵の情報が見れる。」
このスキルについては俺もよく分かっていないが。
「このスキルでもわからない敵というのはさすがに怪しい。コイツもこのスキルで魔王ノームとわかったんだ。恐らく・・・新種・・・いや、違う。」
何と言い表せばいいものか・・・
「・・・つまり魔王以上の敵?」
「そうなるかもしれない。」
「変ね・・・」
「さ、あの龍がいないなら木の枝でも取ってきて、せっかくの肉なんだから」
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勇者・・・その称号に私はあまりいい思い出はなかった。
皆から尊敬、羨まれると共に、なぜ何もしていない娘が勇者なのだと軽蔑されることもあった。
父、母の目の届かないところでは冷たい目で見られる。
友達も居たはずなのに、いつの間にか居なくなっていた。
なぜ、勇者の称号など捨てたい、誰かに投げつけたいと思っていたのに・・・
――ナゼ、ワタシヨリツヨイヤツガイルノ?ナゼ・・・ワタシハヨワイノ?――
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夕方。現在は洞窟内で焚き火でクマ肉を焼いているところだ。
「この肉美味しいのかしら?」
「さあ?」
まあ、俺もクマ肉の調理法なんて知らないし適当に焼いて塩コショウ的なもので味付けしたらいいと思っている。
「ジョー、何してんだ?」
「ここがどこだと思ってな、前買った竜の巣付近の地図を開いて確認してるんだが・・・」
「・・・なるほど。」
つまり、地図はあてにならない。
「そういや、俺達が逃げてきた方角ってどっちだ?その方角辿れば戻れるんじゃないか?」
「確か、あっちだな」
ひょこっと追加の木の枝取りから戻ってきたラースが戻ってきた。
「まあ、そんなことは食べてから考えよう。そろそろ肉が焼ける頃だぞ」
肉を食べ終わり、本題に入る。
「どうやったら戻れる?」
実は「ログ」というスキルをララが復元したスキルの中にあるミニマップ機能だが、これは索敵用であって冒険や探検には向いていない。
・・・そういえばララ。世界地図的な物は出せるのだろうか。
ララはなにか危ない気がするので、本当に困ったときだけ使うと決めている。
・・・と、俺が言葉を発した後しばらく沈黙が続いたがそれも破られるようだ。
「明日動いたほうが良いと思うわ。」
「夜だと視界が確保できないからか?」
「私の炎で暗闇は照らせるけど、もしもの時には役に立たないわ。」
「確かに・・・ならこうすることはできないか?」
俺が提案した方法、それは・・・




