56話 猫も食わない(2)
目の前では戦闘継続中。
二人とも早くて全然見えない。
俺は実況に向かないな。
ガシっ!コハルさんの両手の斬激を田辺は手首を掴んで止めた。
「もう…部屋目茶苦茶だよ…あぁ…あの姿見気に入ってたのに…」
「殺す!」
「ちょっと君、コハルを止めてくれ。」
止めろと言われてもなぁ
「あの…コハルさん…」
グルッン!
コハルさんがこちらを向いた。
鬼みたいな顔してんな…
「お兄ちゃんは黙ってて…」
「はい…」
「黙らないでよ君…」
完全に膠着状態になった。
突如コハルさんが爪を引っ込めた。
田辺もコハルさんから手を離した。
コハルさんは田辺がソファーに置いていた缶ビールを拾い上げ気を失ったルシルの横に座った。
シュポッ
ビールをあけてそれを飲みほす。
「マズッ」
田辺もキッチンに向い一本開けて飲む。
「ひさしぶり…て程じゃないか」
「なんでこんなとこにいる?」
「いろいろあってやっかいになってる。」
「見つかったの?」
「まだだ。」
グシャっ!コハルさんが缶を握りつぶした。
それをタイミングにコハルさんの体がみるみる縮んでコハルちゃんになった。
「コハルちゃんだ!」
俺はコハルちゃんに抱きつく。
「わっ!ちょっ!」
コハルちゃんはバタバタ抵抗するが離さない。
離したらまたどっか行ってしまう気がして。
「離して!離してよぉ~!」
「なんだろう夫の前で堂々と若い男と浮気って
すごいね。」
「誰が夫か!」
「ってかコハル…ップ…その姿…プハハハハハハハハハハ!幼女!ッハハハハハハハハ幼女になってる!プハハハハハハハハハハ!」
「死ねっ!ゴキブリヤロウ!」
俺に抱きつかれたまま握りつぶした缶を投げつけた!田辺はそれを片手でキャッチ。ゴミ箱に投げる。
「いやぁ、笑うわぁ…かわいいなぁコハルちゃん!」
「クソォ…殺す!殺す!」
「コハルちゃん一体何があったの?田辺と?」
コハルちゃんがおとなしくなった…
「そんなに旦那さんを殺したがるなんて…」
「ゴキブリなんて旦那じゃない!」
「…お前たち五月蝿いぞ…ふぁっ!ゴキ…」
「ルシル!もうそのリアクションいいから話すすまないから!」
「あっ…でも…あれ…」
「田辺さん!なんか顔かくして!」
「えーわかったよ…」
田辺さんはすごすご寝室に戻るとヒョットコのお面を被るって出てきた。
なんでそんなん持ってるんだ?
「で、どうゆう関係なんですか?」
「嫁だよ。」「駆除対象よ!」
見事に意見が別れた。
「あの日ちょうど離婚話をしてたのよ。」
うわっこれ聞いていい話なの?
「この害虫はひどい浮気男でね。他にもいろいろあったんだけど、もう離婚待ったなしだったわけよ。」
「だからそれは誤解だと…」
「で、決定だがあれよ」
俺はヒョットコを見た。
「そうだなあれは愛せませんね。」
「ルシル!」
「でしょ?無理ですしょ?」
「生理的に受け付けません。」
「ホントは爪で斬るのもいやなのよ。」
「え?コハルさん手で触ったんですか?」
ルシルがコハルちゃんから距離をおいた。
「ちょっお姉ちゃんひどくない。」
「エンガチョってやつです。」
キャッキャ騒ぎ始めた。
俺が田辺を見ると部屋の角で三角座りして暗くなってる。
「ちょ田辺…」
俺が田辺を慰めようと近付く
「黒滝、それに触るんですか?」
「お兄ちゃん最低…」
俺は田辺に近寄るのをやめた。
「いいことあるよ!」
「君もなかなかヒドイね。」
話がそれてる。
「田辺の言い分としては?」
「離婚どうこうは置いといて」
「離婚してるの。だから私は今は遠藤コハルだもの。」
「…離婚の話は置いといて。」
「はい」
「私もコハルも探してるものがある。」
「私はそれを探すためにコハルを置いて家を出たんだ。」
「どうしてコハルちゃんを置いていったんですか?」
「私は移動出来たけどコハルは移動手段が無かったからね。」
「何を探してるんですか?」
田辺は口ごもる。
「私が話すわよ」
そうしてコハルちゃんが話始めた。




