10話 危機
話動かします。
ここから脱出するにあたって、一度一階の端まで歩いてみることにした。
普段まず入ることが無いゾーンだけど高さ以外はさほど違いはない。
初めて入った一階廊下の景色は想像していた物とまったく違った。
っても想像してたのはひっくり返る前の世界だけど。
手摺越しに見える景色はなんとも言えない圧迫感だった。
コンサートホールや、体育館の天井付近。
天井が低い屋内施設ってのはこうゆう景色なのかもな。
まぁそうゆうとこはむしろ圧迫感より、秘密基地的な楽しさが勝っちゃうから、ワクワクしたりするのかもしれないけどな。
今はワクワクなんて何にもない。
すぐ上が塞がれている事が息苦しい。
まるで閉じ込められているみたいだ。
あの平な地面にぶら下がるとか張りつくとかそーゆースキル無いしな俺…
まあ、ここで指咥えて見ててもしかたない。
とりあえず駐輪場の屋根に上がってみよう。
床と手摺の間から登れたらと思ったんだけど、ぶっ倒れて積み重なったチャリが邪魔で塞がれている。
ってか、この屋根。
これだけのチャリ乗っかってて重量的に大丈夫なんだろうか?
普通のプラスチックで出来た屋根だしな。
とりあえず駐輪場の切れ目まで移動して端から登るかと思ったら、案の定な事態が起きた。
チャリの荷重が一番かかっていたからなのか、弱い部分だったのか、プラスチック屋根の一部が高い音をたてて割れ、ぶつかり合う金属音を響かせながら何台ものチャリが空に解き放たれた。
バラバラと落ちていく自転車の中に俺の愛機の姿を見た。
高校入学の時に通学用に買ってもらったマイママチャリ、その名も「アーバレスト!」
なぜアーバレストかと言えば…
まぁいいや。
話せば長くなる。
さよならアーバレスト…
落ちていくアーバレスト達はあっとゆう間に見えなくなってしまった。
あぁ…こんな別れ方をすることになるなんて…
俺も落ちればあぁなる。
だが、何が幸いするかわからないもので、
今の崩落で3分の2くらいの自転車が駐輪場の屋根から無くなった。
必然、屋根に登る隙間も出来たわけだ。
ただし想像以上に屋根にダメージを残している。
俺の体重は60キロ。
太くもないが軽量ってわけでもない。
この屋根が支えてくれるだろうか?
念のために足で残っているチャリを外に押し落として骨の部分に乗る。
すぐ近くにさきほどの破れ目もあるから
相当の恐怖である。
俺…何してんだろ?
こんなことして大丈夫なのか?
一歩二歩端に向かって歩いてみる。
世界は逆さまになってるけど、高度が高いわけではないからなのか、風もさほど吹かないし、地面に繋がっているから揺れも無いのが安心要素?…にはならない。
落ちたら死ぬのだ。
手足をついて這うように駐輪場の屋根の端を目指す。
あそこまで行けば向かい側に渡る目処がつくかもしれない。
端まで来て向かい様子を見ると、向かいの駐輪場は手前に向かって荷重がかかったのか、端のプラスチックを割って粗方落ちていた。
これは渡るの危険じゃないか?
屋根ヒビだらけじゃん…
その時今乗っている足場の付近で急激に軋む音が響いた。
不味い!落ちる!
戻ろうにも飛び込める体制にない。
俺は意を決して反対側の屋根に助走もなしに飛び移った。
その隙間は1メートル50くらい。
普段なら余裕で飛べる距離だ。
ただし安定した地面の上に限る。
そう今は普段ではない。
ここはしっかりした大地じゃない。
ヒョロイ鉄骨とそれに固定されたプラスチックの屋根。
俺の蹴り足に屋根が致命的な悲鳴をあげる。
お世辞にも美しいとはいえ無いバタバタした動きで跳び移る。
後で足場が断末魔の声をあげ崩れていくのがわかる。
飛距離は足りた。
しかし着地点の屋根を片足がぶち抜く。
「痛ぇっ…くない!」
イチイチそんなリアクションしてる場合じゃない。
崩れそうなバランスを建て直し、つんのめり気味に足場に転がり込んだ。
振り返ると、もといた足場は既に端と真ん中の骨をを残してプラスチックの屋根は外れ、残ってる自転車が滑り、裂け目から一気に駐輪場が崩壊していくところだった。
まずい…戻れなくなった…
やはり部屋から出るべきでは無かった。
いや!俺はまだ生きてる。
生きてるんだ!
なんとか戻るか進むかしなければ。
俺が回りを見回し進退を模索していると、
少し向こうの一軒家の角から何かが現れた。
「なんだ?」
目を凝らす。
「はぁ?なんだあれ?あり得んのかあんなの?」
俺の視界に想像を越える異物が現れた。




