表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

不倶戴天の男

僕は思います。人には必ず何かしらの才能があると。信じてます。いや、信じてました。彼女を見るまでは。

まず、僕はある小国の貧乏貴族の息子です。子供には同じ思いをしてほしくないというエゴで僕はこのマクガフ学園魔王国に入学ならびに移住させられることになりました。

彼女は入学式の日、壇上に上がってスピーチをしました。どうやら副学長によりスカウトされて来た一般家庭の出の方のようで、幼い頃から教育を施される貴族とは違い、ただの天才というやつらしいです。

なぜか入試として解かされるクロスワードパズルを彼女はクロスワードパズルのルールを理解するのに1分かけ、残りの時間で5枚解いたといいます。

さらに彼女は美しい。女好きで知られる副学長がスカウトして来ただけあります。

彼女を見ると思うんです。自分が才能と呼んでいたものを才能と認めていいのかと。

そして僕は思います。一度負けたのだこの学園に来たからには彼女に勝てなきゃと。

「マクガフ学園学長兼マクガフ学園王国国王はこのあと控える授業のために睡眠中です。では、これにて入学式を閉会します。司会はマクガフ雑草研究室室長、グリン・ユーストマがお送りしました。」

その長々しい閉会の言葉で気がつきました。彼女が副学長なら私は学長の力を借りればよいと。こんなことを同じ国から来た他の貴族の子供に言っても相手にされませんでした。

放課後すぐ、僕は廊下を流れるカーペットの川を蹴り上げドアがノックしました。

「学長室」と書かれた戸が開いた。扉の正面には血色の悪い男が席に座って項垂れている。

あれ、反応がない。というか明らかに正常とは思えない顔色です。え、

こうして私は生まれて初めて地下牢に連れて行かれました。


しばらくして、完全に日が落ちた。新月の夜で月明かりのない日だった。牢の中は何も見えない。牢の方へ音だけが近づいて止まった。見たことのある顔が闇の中に輝くランタンの光で浮いて見えた。見たことのある顔は話しだす。

「君が私を殺したことになっている少年か。間が悪かった、あと1分早く私を訪ねていれば何も言われなかったのに。自分作った通仙散を試してたんだ。いや、正確には通仙山アリスバージョンと言ったところか。グリン君に温室を作ってあげたお礼に育ててもらったラパスアサガオ、マクガフトリカブトとを主成分に混ぜて作ったら想定より効きすぎて解毒してもらうまで仮死状態ならぬ本死状態だったらしい。ありがと。」

目の前にいる死にかけていた状態しか見てなかった男はまるで他人事のように話します。というか、まさかこの男が「学長ですか?」この若いのが?見たところ20歳といったところ。

「気のせいじゃない?」と男が返す。そのあとすぐに牢の護衛が「学長殿、副学長殿より伝言が。」と発言した。やはりこの人学長だ。

「あの、お礼の代わりに私にあの主席の女の子を超えるための力を貸してくださいませんか。」聞くと学長は言いました。

「欲と倫理観、これはいい具合にバランスがとれるようにできてる。例えば、ここから北西の国に私の故郷であるエルスという国がある。エルフの収める国だ。奴隷制を禁じる法案をある日突然通した。人間をその国は奴隷として売買していたが、この法案により奴隷商人は地位も権力も金も失い、奴隷は食うに困る。結果奴隷であった彼らは執事として売買されることになり、奴隷商人は元々のつてを使い、世界的に回復魔法のせいで治療目的でなく嗜好品としての研究が進んでしまっている薬や、魔法の使える人間を斡旋する裏ギルドのような真似をするようになった。この治安の悪化が原因で王族は一族郎党皆殺しになり今や共和国になった。このことからわかることは欲を無視して倫理観を優先させると欲に滅ぼされることだ。君だけを贔屓するという倫理観に反する行動が私に何かをもたらす可能性は十二分にある。かと言って君のような人間は嫌いではない。よって、君とともに贔屓にしたい人物と共に私がだすお題に明日より取り掛かってくれ。もちろん放課後に。」

学長の長い話を聞くのは別にどうってことないんですけど牢の鍵を開けてくれなかったことを私は一生恨もうと牢の中のネズミと共に思いました。

次の日指定された場所に行くと主席の女と手紙が置いてありました。手紙にはその主席の女と組むようにということと、そして最後にいがみ合っているもの同士が協力することの美しさを力説してありました。モヤモヤしながら彼女の名前を訪ね、マリーという名前を聞き出し自分の教室に入ると先に自分の教室に帰ったはずのマリーがいました。成績でクラス分けするタイプの本校。私はこの学校に次席入学していたので当たり前のことでした。貧乏貴族の息子でありながらあらゆる分野で神童と言われ、少しでも父に楽させようと特に得意な学問への道を志したというのに、一位を奪った敵と同じ教室で授業を受けることになりました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ