37.
「クロエ!!ちゃんとクロエなのか!!?」
「ちょ、兄様、邪魔です!押しのけないでください!!無事ですか!?」
「レミー……とシトリー?」
「クロエ、戻ってこられたのか。本当に良かった」
肩を揺さぶってくるジェレミーと、寝た体制のクロエに抱き付いてきたシトリー。
勢いのある二人にクロエは若干気圧されながらも、今起こっていたことを整理する。クロエは女神を己の中に自分ごと封印した時から、自分の中から女神を出さないようにと女神と戦っていた。
しかしその状況はリオンが封印の中に入ってきたことで一変した。そして状況が滅茶苦茶になり、封印ごと壊されたことでクロエは解放された。
そこまで思い出して、リオンはどうなったのか分からないということを思い立ち、ガバリと身体を起こす。至近距離にいたジェレミーとシトリーを突き飛ばしてしまう形になってしまったが、今はリオンの行方だ。
焦って辺りを見回すと、エルヴィヒによって抱き起されている
「リオン!!」
「……クロエ、さん?」
「うっわ、俺が声掛けても起きなかったのに、クロエちゃんに呼ばれると起きるんだ」
エルヴィヒがごちゃごちゃと何か言っていたが、クロエもリオンもそんなことはどうでも良いと無視して、クロエはリオンの元に駆け寄った。
「ああ、やっと現実で再会することができた」
「ありがとう、救いに来てくれて」
「当然ですよ、貴女は僕にとって一番大切な人ですから。クロエさん、僕は貴女がエルヴィヒを好きだったとしても、貴女を愛しています」
「は?エルヴィヒ??」
クロエはリオンが言ったエルヴィヒどうこうの下りの意味が分からずに、聞き返す。
リオンは若干悲壮な表情を浮かべながらの告白だったが、クロエは別ベクトルで意味が分からなさ過ぎて困惑顔をしていた。
「はい。あんな最低な男のどこが良いのか、僕には分かりませんが」
「私もエルヴィヒは最低だと思うし、嫌いですが」
「ん?」
「っぶは!やっぱり、君達二人って面白い!!」
クロエの条件反射のように口から出た言葉に、今度はリオンの方が困惑した表情を浮かべる。
お互いにお互いの言っていることが分からず生まれた沈黙に、今までは黙ってやり取りを見ていたエルヴィヒが耐えられないとばかりに吹き出す。ある意味の中心人物にして元凶の男に、クロエとリオンの睨みつけるような視線が刺さる。それなのに、エルヴィヒは笑うのをやめようとしなかった。
「はあー、笑った。君達、なんでお互い好き合ってるくせに、そんなにすれ違いしてるの?」
「好き合っている?……答えにくいことかもしれませんが、クロエさん、貴女の好きな人は?」
「……リオン=イッシュベルク」
何故知っているはずのことをわざわざ聞くのか疑問に思ったが、クロエは素直に答える。
それを聞いた瞬間、リオンは『僕はなんて勘違いを――』と頭を抱えた。




