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09 やきもち

 ビュルクナーがトグ王国内のドワーフのリーダーたちを集めてくれることになった。



「今から使いの使者を出しますので、明日の午前中にもう一度こちらにお越しください」



 各部族のリーダーたちに王子から直接話をしてもらおうということらしい。

 王子はここでも両手で熱い握手を交わしていた。手を握るのが好きなのね。



「明日の会合には、旧イグザット王国領の反乱軍の司令官になる男を連れてくる」



「今後の作戦や具体的な連絡方法も決めねばなりませんからな。用意周到で頼もしいです」



 王子は何度も振り返りドワーフのアジトを後にした。



 翌日。私は宿で待機となった。

 ちなみに、私たちが三人一緒に行動しないのは万が一捕まった時のための保険だ。


 一人ごろごろしていても暇だし、何かあったら駆けつけないといけないので水晶でこっそり覗き見をすることにした。音は聞こえず映像だけだ。



 王子が熱弁をふるっている。ドワーフ一人一人にこぶしを突き上げ、何か叫んでいる。ドワーフ全員が剣を上に突き上げ何か叫んでいる。男くさい世界ね。私は紅茶を飲みながらクッキーを食べることにした。


 クッキーを食べ終わって水晶を見たら、お別れのあいさつで力強く握手をしていた。ドワーフを味方にできてなにより。


 二人はこちらに帰ってくるはずなのに、宿とは違う方向に向かった。昼間通った門だ。先日そこの門番に差し入れしたはずだ。ちょっと寄って仲良くなっておこうってことかな。



 ゴワンド、そして王子が門の守衛の控室のドアをノックした。中から門番が出てきた。大歓迎されている。まあまあ入れよ、そんな感じか。室内では差し入れの酒と仲良くなった美女たちで盛り上がっていた。王子とドワンゴは素面なので、あの場の雰囲気にはなじめなさそうだな。ぷぷ、かわいそ。


 そう思っていたけど、勧められるままに2杯3杯とお酒を飲み、美人のお姉さん方と楽しそうに笑いあって、むちゃくちゃなじんできた。


 どうして1本のポッキーを女の子と一緒に両端から食べる必要があるの?お酒を飲みすぎちゃって胸が苦しいポーズして胸を強調しすぎ。

 王子もデレデレ見てんじゃないわよ。

 女の子たち全員呪い殺してしまおうか?

 このまますぐに現場に行くのは簡単だけど、水晶で覗き見してたのがばれるのも嫌だし。

 水晶は見ないでおこうか。でも見たい。

 王子のバカ、バカ、私に結婚してだのかわいいだの言ってくれたのに何でこんなことしてるの。胸が苦しい。



 枕に顔をうずめて悶えていたら、宿の廊下に人の気配がした。二人は戻ってきたようだ。

 おつかれーとか、機嫌よさそうに挨拶してる。おめでたいよね。


 翌朝、宿の近くで朝食をとった。わたしは二人としゃべりたくないので、そっぽをむいてた。ピピがピーピー鳴いている。私が怒っていても関係なしか。



「リリア、怒っているなら理由を教えてほしい」



「別に怒ってないから」



「じゃあ、こっちを見てよ」



「そっちを見る気分じゃないんでいいです。王子は昨晩はお楽しみでようございましたねぇ」



「水晶で見てたの?」



「たまたま見ただけです」



「私が他の女性と仲良くしているのが気に入らないんだね」



「あれは仲良くっていうレベルではないと思いますけど?」



「リリアにやきもちを焼かせるようなことをしたのは謝るよ。すまない」



 この顔で真正面からじっと見てくるのはずるいよね。やっぱり許さん。



「そろそろ店を出ないと」



 この雰囲気にいたたまれなくなったゴワンドが席を立った。

 わたしと王子もそれに続く。



「ラクダ馬車を準備します」



 ゴワンドはそう言うと逃げるように消えた。



「でも、あそこの兵士たちと仲良くなることは大事なことだったんだ。仕事なんだ。本当にすまない」



 両肩を掴んでぐぐぐっと近づいてくる。イケメン男子の顔をこんな近くで見るなんて無理。恥ずかしすぎて横を向いたままだ。


「でも、やきもちを焼いてくれて嬉しいというのもあるんだよ。私も君だけが大事なんだ」


 うまく丸め込もうとしてる。言い返そうとして王子の顔を見たけど、恥ずかしくなって鎖骨のあたりに視線をそらした。


「わたし“も”って言わないでください。それにやきもちなんて焼いてませんから。ただ機嫌が悪いだけです」


「私にはリリアしかいないと思っている」


 そう言いながら私の手をぎゅっと握ってターレント王子は歩き出した。機嫌が悪くて怒っていたはずなのに顔がにやついてきてしまう。

 ゴワンドは、争いに巻き込まれないように避難済みだ。顔がにやにやしすぎて筋肉が痛い。


 しばらく歩いて気付いた。


「そうじゃなくて、私は悪魔で魂をもってかえらなきゃいけないのよ。偉大な悪魔の一族なのよ」


 つないだ手をぶんぶんふりながら訴えた。


 王子はにこにこしながら

「そうだね」

 と言って手をぎゅっとにぎってきた。


 どきどきした。



「そういえば、契約のことはどう考えてるのかしら?」



 恥ずかしすぎて話題を変えた。



「9割くらい契約の方向だよ。だから、もうほとんど契約したものと思っていいよ」



「そう、そうなんだ」



 あっさりと契約の話が進みそうで肩透かしを食らった気分だ。



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