第24話 過去の秘密
修行を続けるうち、私の月巫女としての力は急速に向上していった。
「素晴らしい成長ぶりです」
蒼は満足そうに微笑んだ。
「このペースなら、満月の夜の儀式にも十分対応できるでしょう」
しかし、ある夜、蒼から意外な話を聞かされた。
「実は、凛様にお話ししておかなければならないことがあります」
「どんなこと?」
「三百年前の月巫女のことです」
蒼の表情が、急に重くなった。
「彼女の名前は雪音。美しく、力強い月巫女でした」
「私の先祖ね」
「はい。そして、神楽様の…最初の愛人でもありました」
私は驚いた。神楽が三百年前の月巫女と恋仲だったなど、聞いたことがなかった。
「神楽様は雪音様を深く愛していました。しかし、雪音様は最後に神楽様を裏切ったのです」
「裏切った?」
「雪音様は月巫女の力を使って、獣人社会を人間の支配下に置こうとしました。月の力を人間の王に提供したのです」
蒼の話は衝撃的だった。
「その結果、獣人社会は大混乱に陥り、多くの命が失われました。神楽様も深く傷つかれました」
「それで、雪音はどうなったの?」
「月の女神の怒りに触れ、力を剥奪されました。そして、白狐の一族は散り散りになり、人間社会に隠れ住むことになったのです」
私の家系が人間社会で生きてきた理由が、ようやく分かった。
「神楽様は、それ以来誰も愛することができませんでした。三百年もの間、孤独に過ごされていたのです」
「だから、私のことも最初は警戒していたのね」
「はい。凛様が雪音様と同じ過ちを犯すのではないかと、恐れていらしたのです」
蒼の話を聞いて、神楽の複雑な感情が理解できた。
「でも、今は違います。神楽様は凛様を心から信頼し、愛していらっしゃいます」
「私は雪音とは違う。神楽を裏切ったりしない」
「その言葉を、神楽様も待っていらっしゃるでしょう」
お読みいただき、ありがとうございます!
まさか、三百年前の月巫女がそんな結末を迎えていたとは…。神楽の孤独の理由が、あまりにも切ないですね。
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次回、彼の傷を癒すため、そして本当の愛を伝えるため、凛が動きます。
二人の心が、本当の意味で一つになる夜。




