episode 1-7
5層のボスを倒して1週間、変なちょっかいもなく表向きは平穏に過ぎていく。
6~10層は石壁造りのダンジョンで主な敵はリビングデッド、ダンジョン内で死んで取り込まれた死体を魔石がその姿を模して出ることからこう呼ばれる。一部に武器だけが浮遊しているリビングウェポンってのも出るらしい。
弱点らしいところが無いので全身串刺しのオーバーキルで進んでいった。
7層に初めて入った次の日、ギルド職員に呼ばれ『青雷』と言う名のパーティにポーターとして参加した。
-------- オーランのダンジョン 第7階層 --------
「やっぱり収納持ちはすごいっすねぇ、あれだけの水の樽 テントなんかの野営道具を入れても重さを感じず運べるなんて。」
7層からボスまで一気に攻略したいが荷物を持って戦闘は辛いとポーターを探していたそうだ。
そんな時、俺が5層ボスの攻略でポーターをしていたのを聞きつけ仕事の依頼をしてきた。正直面倒なのだがあの時の嘘のつけが回ってきたと思い1度だけの約束で同行している。
「今日はここのセーフエリアで野営しよう、明日は早朝からアタックだ。」
「「おぅ!」」
テントや水の樽、調理器具、食料を出していく。皆で手分けしてテキパキと設営する 手慣れていて勉強になるな。
「リョータさん、一応夜の見張りに参加してもらえますか?2人づつの3交代にしたいので。」
「はい、構いませんよ。」
「ありがとうございます。キャスターを先に寝かせたいので1直目でお願いします。」
「わかりました。」
設営が終わり食事の準備を始めたころ別のパーティがセーフエリアに入ってきた。男3人、女1人のパーティで 女は俯き怯えているようで、男達はニヤニヤした薄笑いを浮かべていた。
「よーぅ、ご苦労さん。もう帰っていいぜ、ガハハッ」
一緒に来たパーティの面子が作業をやめ立ち上がり女を連れてセーフエリアから出ていく、リーダーの男が去り際に「すまない。」と言い残した。俺は嵌められたわけだ。
「オレ様の名前はザンザ、後ろの2人はダーゴとザーグ。今まで3人でやってきたんだが、10層以降は少々辛ぇってんでお前をスカウトしてやろうと思って呼んだわけよ。」
「ザンザの兄貴のパーティに入れるんだ、うれしいだろぅ?ヒャヒャ」
「お前、収納だけじゃなくなんか隠してるよな?結構稼いでるみたいじゃねぇか。」
「答えは『ハイ』でいいんだ簡単だろう?クククッ」
3人は武器を手に迫ってくる。ここでパーティに入ってもまともな扱いは受けないだろうと予想できる。
だがしかし、ガタイの良い男3人に詰め寄られ 頭では拒絶していても体が委縮する。声が出ず首を左右に振るのが精一杯だ。
「あーん?ビビっちゃって声も出ませんかー?そうじゃないだろぅ?お前の答えは『ハイ』なんだよ、わかるよな!?」ボクッ!ボクッ!
肩をつかまれ腹を殴られる。痛みと恐怖で頭が真っ白になる。突き飛ばされた拍子に転がりながら部屋の出口へ向かう、逃げないと最悪殺されるかもしれない。震える足で這いつくばりながら逃げ出した。
男達は追いついては踏みつけ、蹴とばし、転がした。それは強者の余裕、イジメる側の心理だった。
ドガッ!
「オラオラッ!こっちだ!」
バギッ!
「おネンネには 早いぞ?クククッ」
「早いとこハイって言っちまえよ。ザンザの兄貴が誘ってるんだからよぉ!ヒャヒャ」
何度も殴られ 蹴られ 転がされた。全身が痛くて痣だらけに違いない。
「・・・・」
「強情だなぁお前も ダンジョンでソロは危険だからオレ様のパーティに入って荷物持ちしてくれって優し~く言ってやってるのに ガハハッ」
3人に囲まれ暴行が続けられる。心を折られパーティに入ったら奴隷のように扱われるだろう、拒否し続ければこのままなぶり殺しだ。俺の人生終わったな。
ブゥォーンブゥォーンブゥォーン
「ちっ・・ モンスターの湧きか。お前ら!どうせ雑魚だ始末してこい!オレ様はこいつと話してくる。」
「ヘイ!」「ハイッス!」
2人が角まで戻りモンスターを迎え討ちに行き、ザンザは俺を引きずって奥の角を曲がる。
「収納持ち君 腕の1本でも折れば素直になってくれるのかなぁ?」
遠くに戦闘音が聞こえる、ザンザは仰向けになった俺の腕を何度も踏みつける。感覚がマヒしてきたのか痛みはあまりなくザンザのダミ声が煩わしい。
「ヤ・ヤベェ!こいつはまけヒュッ」ズバッ!
変な声がして戦闘音がやむ、ザンザも不審に思ったのか俺から離れて歩き出す。
「ん?どーした?ダーゴ?ザーグ?」
逃げるなら今しかないと立ち上がろうとするが思うように体が動かない。少しでも離れなければと這って進む俺に絶望が襲い掛かる。行き止まりだった。
「ぬぅ!」ドスッ!!
「クソが・・・なんでこんな時に・・・」ドサッ
ガリガリガリン!
俺は行き止まりの壁にもたれかかり通路を見る、地面を削る音が近づいてくる。
音の正体が角を曲がり姿を現した、光を吸い込むような真っ黒な刀身 黄金で作られた柄には宝石が飾られていた。
柄頭の宝石がキラリと光る、切っ先がこちらを向いて俺をロックオンする。こんな綺麗な剣に貫かれて死ぬならいいかなって思うのと同時にこの剣を俺の物にしたいとも思った。
ヒュン!!
剣が迫る、もっと見ていたいと無意識に『集中』を起動する。
あと10m。これで死ぬのか、誰にも看取られず一人ぼっちの最後だな。
あと5m。やっぱり綺麗な剣だ、こんな剣を手に冒険出来たらよかったなぁ。
あと3m。あきらめるのか?いやだ!この剣を手に入れてもっとこの世界を、俺の設定した『クライン』をもっと見たい!
あと1m。動け!動け!!動け!!!
0m ガキィン!!!
これが俺の、リビングウェポン類レアポップ「魔剣」との初めての遭遇だった。
やっとたどり着けました。
それはさておき、またブクマと評価が増えておりました。ありがたやぁありがたやぁ
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