episode 1-6
ダンジョン初日から約1ヶ月、俺は日銭を稼ぎながら攻略に勤しんでいた。
この階層は1~5階の広さに通路が縦横無尽に走り部屋へ繋がっていてマッピングが非常に困難である。
俺は部屋と通路に番号を振り空間認識で詳細なサイズを記録、ゲームブックのようなマップを作っていった。
マッピングも大詰めを迎え残るはボス部屋らしき大きな部屋とその先の通路のみとなった。
「さてさて、ボスの情報はナイトアント+ソルジャーアントのパーティか 極稀にクィーンアント+ソルジャー+ワーカーの大部隊って話だけど。中に入って湧いてこないとわからない か。」
ボス部屋へ入ると石壁がせり上がり入口を塞ぐ、魔力が集まり魔方陣を描く。なんかちょっと大きい気がする。
「キューーーーーーーーッン。」
クイーンアントが顕現して大音量で一鳴きすると部屋の四隅からわらわらとアリが出てきた。所謂『当たり』である。
大量に湧き出したアリが俺へと殺到する。かなり怖い、これを初日に食らったら漏らしていたに違いない。だが、1ヶ月アリと戦い続けてそれなりに耐性ができたのか落ち着いて『集中』起動する。
脳がクロックアップしたように周りの動きが遅くなり有効範囲に入ってきたアリを感知する、俺は次々に木の杭を出現させアリを屠っていく、消えたアリの魔石と木の杭を回収するのも同時に行う。1分後雑魚アリはすべて消え俺とクィーンアントだけが残った、俺が1歩踏み出すとクィーンは怯えるように身をよじる。
彼我の距離は20m、止めと思い走り出すとクィーンアントも決死の覚悟で襲い掛かってくる。巨体でもって押しつぶそうと迫るが俺にとっては悪手でしかない、大量の木の杭をその身にうけて断末魔を残しクィーンアントが消え後にはひと際大きな魔石が残っていた。
ボス部屋を抜けるとポータルのある部屋へ行けて登録することでショートカットが可能になる。俺は登録を済ませ地上に戻った。
-------- オーラン 探索者ギルド --------
「あら、リョータさんこんにちわ。魔石の買い取りですか?」
「こんにちわコーネリアさん。はい、お願いします。」
俺は袋から直径1cmの雑魚アリの魔石をざらざらと箱に出す。
そして、鞄から直径7cmのクィーンアントの魔石を取り出すと周りがザワッとした。
「リ、リョータさん。これソロで・・・」
「い、いや違いますよ?今日はポーターの仕事でボス戦だっただけです。ソロでボス戦なんてするわけないじゃないですか。」
「そ、そうですよね。失礼しました、買い取り額の算出をしてきます。少々お待ちを」
周りからチラチラと伺う視線を感じる、クィーンアントの魔石は今日出すべきではなかったか。失敗したな。
「お待たせしました。こちらが買い取り額になります。」
「ありがとうございます。では、また。」
俺は足早にギルドを出ると尾行を警戒しながら路地を歩く、何度目かの角を曲がったところで尾行は無いと判断し宿へ戻った。
これが俺の、オーランのダンジョン 初のボス戦だった。
お待たせしました。分けたのでちょっと短めですね。
そんなことよりもブクマが増えていた((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
拙作の続きが気になる奇特な方がいらっしゃるとはありがたいものです。
誤字、脱字、ご指摘、ご批判、ご意見、ご感想などお待ちしております。