第1話 お金が欲しいのでお仕事をください。
ひとりぼっちのぬいぐるみみたいな小さな子どものロボットの切株かみなり。黄金郷で金を掘る。
お金が欲しいのでお仕事をください。
そんな文字の書いてある手作りの木のかんばんを首からさげている小さな子どものロボットの切株かみなりはたくさんの人たちが歩いている大きな街の道のはじっこできょろきょろとしていました。
とってもぼろぼろの姿のかみなり。
そんなかみなりにお仕事をくれる人はどこにもいませんでした。(おなかもすごくへっていましたけど、食べものをわけてくれる人もいませんでした)
それでもかみなりは朝からずっと日が落ちて世界が橙色の美しい夕焼けに染まるころになってもまだ、たくさんの人たちが歩いている大きな街の道のはじっこにたってきょろきょろとしていました。(みんなとっても忙しそうで、かみなりを見てくれる人もいませんでした)
それから日が落ちて、世界が真っ暗な夜になると、かみなりはあきらめてお家に帰ることにしました。
お家といっても、ご主人様と一緒に暮らしていたときのような、ちゃんと屋根と壁があって、あったかい食事やお風呂のある、とっても明るいお家ではありませんでした。(なんだかひとりぼっちになってしまった今、思い出してみると、ご主人様と一緒に暮らしていた毎日がまるで夢のように思えました)
そこは大きな街の大きな橋の下でした。そこをかみなりは(ないしょで)自分のお家にしていました。
明日こそ、お仕事が見つかりますように。
夜空にきらきらと明るく光り輝いているたくさんの数えきれないくらいの(いくつあるのか少しだけかみなりは数を数えてみました)砂のような星たちを見ながら、そんなことをとっても綺麗な星の光りにお願いしてから、かみなりは静かに大きな瞳を閉じて眠りました。(かみなりは優しいご主人様の夢を見ました)
次の日も同じようにかみなりはお金が欲しいのでお仕事をくださいと書いてある手作りの木のかんばんをくびにさげて、朝からたくさんの人たちが歩いている大きな街の道のはじっこできょろきょろとしていました。
でも、やっぱりお仕事は見つかりません。
そんなときでした。
黄金郷に行けばいい。
金がとれるから仕事はいくらでもあるよ。
そんなお話がどこからか聞こえてきました。
黄金郷のお話。
そのお話はかみなりもなんどか(誰かが誰かとお話ししているのを)聞いたことのあるお仕事を探している人たちの間で、お話されている遠い遠いところにある大地を掘ると金のとれる(かみなりにとっては不思議な)土地のことでした。
そこではたくさんの金を掘るお仕事があるとみんなお話ししていました。
そのお話を聞いて、かみなりは少し悩んでから、ぐぅーとおなかがなった音を聞いたところで、金を掘るお仕事をするために黄金郷に行くことにしました。(おさいふはからっぽだったし、大きな街ではお仕事がぜんぜん見つからなかったからです)
かみなりは橋の下にあるお家に帰るとほんの少しのご主人様が買ってくれた、もうぼろぼろになってしまった小さな子ども用の背中に背負うことのできる荷物袋に全部入るくらいの荷物を持って、とっても嬉しそうな(希望に満ちあふれた)顔して、前を向いてとことこと小さな足で、いつもははじっこのところできょろきょろとしながら立っているだけのたくさんの人たちが歩いている大きな街の道の上を自分も(ゆっくりとだけど)歩きはじめました。
遠い遠いところにある、金のとれる黄金郷まで。
金を掘るお仕事をするために。
お金が欲しいのでお仕事をくださいと書いてある手作りの木のかんばんを、いつもみたいにくびからさげたままで。




