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勇者と魔王の共同生活  作者: ダヴルでんでん丸
一章 魔王が住む森
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1話 逃げた!勇者が逃げた!

「忘れないで」


 彼女は俺にそう願った。

 この言葉を、彼女を、生涯忘れる事は無い。

 いや、忘れる事など出来はしない。

 彼女が俺に、そうさせたのだ。

 

 成長するにつれ少しづつ、殺人に対しての抵抗感が増していった。

 俺は魔族との戦争から、人を殺すことから、逃げたかった。


 俺を見ると敵は狂い叫ぶ。その狂気は距離が縮まる程に、増していく。

 俺が少年と呼べる頃には、そんな事は気にならなかったのだが。


 16歳になり、人の恐怖の(みなもと)について考えるようになった。

 17を迎えると、死体から恨みを感じ取れるようになった。

 18を越え、人間を握り潰した(てのひら)に残る汚物がそいつの人生であった事に気付いた。

 そして20には、遂に神をも疑い始めた。

 あの兵士達の魂は、どこへ行くのだろうか?


 魔族との戦争が始まり、馬で駆けるのに難しい森の中で、魔族の補給拠点を破壊する役割を任せられた。

 それは殺しのターゲットに非戦闘員が追加されることを意味し、俺の中の殺しへの恐怖を増大させた。


 殺しへの恐怖?恐怖を与えているのはこちらであると言うのに、なんと情けないことか。

 そう、俺が俺を罵った。

 他人にこの悩みを話した事は無かった。

 俺を罵るのは俺だけ。

 それでも他人に罵られるよりはマシだと考え、他人に罵られない分自分を責め続けた。

 他人に頼らず、自らを律している俺は、偉い。

 そう思い、必死に自分を支えていた。

 《《それ》》が他人に罵られるよりずっと辛い事を、この時はまだ知らなかった。

 ああ、なんと...なんと情けないことか。


 殺しをやめる事を考えると、一番の戦友の顔が浮かんで俺に囁く。

「無理をするな。」

 そう。あいつならきっと、そう言ってくれる。

 だから俺は一層、敵軍を弱らせる事にいそしんだ。

「裏切り者」「残念だ」

 そう囁く仲間もいた。

 だがそれが当然の反応で、俺が残念な裏切り者である事に違いは無かった。

 魔族を殺さなければ、仲間を間接的に殺す事になる。

 だが、魔族を殺すのも嫌だった。

 死体に睨まれるのが嫌だった。

 辛うじて繋がっている下半身を引き摺る魔族を見るのが、心底嫌で堪らなかった。


 子供の頃からこう教わった。

 戦うのは偉い事だと。敵を殺すのは悪い事ではないと。

 敵も覚悟をして戦場に来ており、そいつらは皆兵士であり、戦士であり、戦場で死ぬ事を誇りに考えていると。 そしてその教えを説いていた俺の恩師は、敵の魔族に敵として殺された。

 彼はああ言っていたのだから、死ぬ時も高潔であった筈だ。戦場に来た事に後悔などせず、自らの死を誇りに思い死んでいった筈だ。

 魔族との戦争が始まる前、恩師は死なずに引退するか、敵兵士と勇敢に戦って死ぬのだと思っていたのに。恩師は敵の姿すら視認できず、夏に凍死した。その死体を見て、俺は地に伏せて泣いた。それが恩師を侮辱する行為だと分かっていながら。いや、それを理解しているからこそ、泣いてしまったのだろう。そんな自分を、彼を、情けなく感じてしまった事に罪悪感を抱いた。


 俺はどうすればいいのか、何が俺のやるべき事なのか、分からなくなってしまった。

 少しでいい。少しだけ、休みたかった。


 そうだ!!海を見に行こう!!


 何も考えずに海岸へ走った!!

 いや、仲間と敵の目を掻い潜る事だけは考えていた。


 かつて見た絵本の海を頭に思い描いて走った!!

 どんな風景なんだろう!!どんな匂いがするんだろう!!

 海を見たら、すぐに帰って殺しを再開するつもりだった。


 山を跳びながら走った!!

 川を思いっきりジャンプ!!


 その時、視界の右隅に綺麗なピンク色の髪の毛が現れた!!

 ああ...!!なんて美しいんだろう!!


 それは魔王だった。


 ピンクと白が混ざった髪。先代も、二代目もそれを持っている。それが《《唯一》》の判別方法だと何十回も軍で聞かされていた。

 いや、軍以外でも周知されていた。

 この辺境で遭遇する事はまず無いだろうと高を括っていたが故に驚きと焦りが強く、すぐさま全身が戦闘態勢に入り、先程まで虚ろだった意識が俺を包み込むように襲いかかる。

 脳がギュッと、引き締まった。


 浮いていた両の足が土を踏み、鎧と手に持つ戦斧の鉄が擦り合いぶつかり合い、シャガンと音を立てる。

 その瞬間に踵を返し、跳ぶように右足で一歩目を踏み出す。

 水流の数センチ手前に着地し、魔王を視界内に捉えた。距離は、およそ10m。

 水と川の砂利で足が滑るのを防ぐため、左足で二歩目そして右足で三歩目の順で川底に足を深く差し込む。

 大きな音が、水飛沫が、二度上がる。

 魔王の首がこちらを向くが、その眼球の焦点はまだ合っていない。

 地に差し込んだ足は戦斧を投擲するため、魔王の体を二つ以上に分けるために。

 襲い掛かれば、空へ逃げられる可能性がある。


 右側から腕を9時方向まで回して投擲の構えを取り、全身の筋肉を全て使って己の身長程もある戦斧を遠心力に乗せ振り抜いた。

 互いの視線が交錯した瞬間、「()った」と確信した。

 

 後は手を離すだけで斧が奴を両断する。

 そんな状況になりやっと、果たして魔王を殺して良いのだろうか?という考えが脳裏によぎる。

小説初心者です。

ほぼ悪口でも全く構いませんのでダメ出しガンガンして欲しいです。待ってます。

私生活が少し忙しく執筆スピードは遅いと思いますが、応援よろしくお願いします。

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