終わりそうで終わらない
ネタの伏線って面倒ですね。すぐ回収しないと忘れちゃう。
「ではまず、おぬし達の今の状態じゃが……おぬし達は一度死んでおる。」
「「「「「「……はい?」」」」」」
「まあ普通はそういう反応になるじゃろうな。」
「「「「「「へ~。」」」」」」
「詳しく言えば、一度死んでもらい、魂を別の強靭な肉体。激しい戦闘や、自身の能力に耐えられる肉体に移らせる予定なんじゃ。」
「「「「「「なるほど~。」」」」」」
「実を言うと、世界を渡るには肉体。すなわち物理的に存在する物は捨てなければならんのじゃ。今から行ってもらう世界には転移魔法というものがあるが、その原理は一定サイズの空間と、転移先の空間とを交換させてしまうというものじゃ。しかし世界というのはその世界単体で完全であることが前提としてできておる。よって世界と世界をまたぐ転移、空間を入れ換えるということは、双方の世界に異分子を紛れ込ませることになるのじゃ、そのため肉体は渡れん。」
「「「「「「ほうほう。」」」」」」
「……ぬしら、さっきからどうしてそう息ピッタリなんじゃ?」
さっきから息ピッタリの6人に疑問を持った神様(仮)。実はただ著者がいちいちバラバラでしゃべらせるのが面倒で、文字数が多くなってプロローグが終わらないと考えたため、こんな息ピッタリな反応をしているのだが、こんな著者の理由など知らない6人からの返答は……
「「「「「「いいから説明続けろよ。」」」」」」
もちろんこうなる。
『ってかこんな著者の考えの説明いらなくない?この説明のせいで結局文字数減らないじゃん。』と思ったそこのあなた……大正論だ。
『そもそもこの説明って誰視点?』と思ったそこのあなた……それは気にしちゃいけないよ。
「あっはい………では次はぬしらに行ってもらう世界。ルシフルについてじゃが…簡単に言えばもうすぐ終わっちゃいそうで終わらない、典型的な中世時代の剣と魔法の世界じゃな。」
「「「「「「終わりそうで終わらない?どゆこと?」」」」」」
「実はこの世界にも魔王と呼ばれる存在がいるんじゃが、ここ百年ほど、戦争や侵略をしておらんのじゃ。」
「え?それだけ聞くと全然終わってる感じしないんだけ…ごほ!?」
「今まで息ピッタシだったのに乱してんじゃねえよカニ。」
カニがここで一人で疑問を口にする。そこにすかさず炸裂するとーまの右フック!少し捻りのかかった拳が、腹の中心にヒットォォォ!
まさに一撃必殺!素晴らしい一撃です。
「質問ぐらい…したかったのに……」
遺言を残し、倒れるカニ選手!KO!とーま選手、見事な完封勝利を納めました!いつの間にか選手になってるのを気にさせない勝利でしたね!
「…続けてもよいじゃろうか?」
「あっどうぞ。」
謎の試合が終わりを迎え、神様が説明の続きを開始した。
「魔王が侵略をしておらんというたが、実は世界の半分ほどはもう魔王の領分となっておる。というのも、百年以上前までにそこまで領土を広げたのじゃ。人類の兵力もあまり残っておらず、魔王軍の戦力があればちょっと襲撃するだけでもう壊滅できるであろう状態じゃった。しかし魔王は世界を手中に納めるまであと少しという状況で、侵略を止めたのじゃ。」
「なぜだ?そこまで来たなら、新しい敵対勢力が生まれる前に攻めるべきだと思うんだけどな。」
大地は疑問を口にした。
俺だったらどうする?侵略したあと、敵対する者を根絶やしにするか?いや、それだとどっかの始皇帝みたいに長くは国を維持できない。それに部下から裏切り者が出るとも限らないしな……まさかわざと共通の敵として人類を残して…?
「ふむ。良い考えじゃが、それでは全く侵略する理由には繋がらんと思うぞ?」
ッ!いきなり心読んできやがって!
大地が一瞬動揺したのを横目で見ながら、神様は魔王が侵略しない理由を口にした。
「百年以上人類に攻めこまない理由、それは魔王が……」
神様はゆっくりと、そしてはっきりと、一言。
「ひきこもりだからじゃ。」
「「「「「「…………は?」」」」」」
「魔王は人見知りがちのひきこもりでな、侵略するのはいつも部下に任せていたんじゃ。」
「それだとちょっと噛み合わないと思うんだが。部下に任せてるのなら別にひきこもりだからって戦争を途中放棄する訳がない。」
「それがな、けいちゃん。ひきこもりというのはそういう訳にはいかないんじゃよ。」
「ふむ、よくわからん。あと、お前がけいちゃんと呼ぶな。」
「うーむ、つれないのう。まあよいか。
うーんと、ひきこもりについてじゃったか、ひきこもりというのは自分の家や部屋を安全地帯だったりと考えたりする者が、決して全部ではないがまあまあおる。
この安全地帯というのが大事でな、『その限られた空間があり、そこに自分がいられるから安心できる。』そんな感じに、その空間がないといけないのじゃが、魔王は自分の領土を広げ過ぎて、その自分自身の領土に不安を持ってしまったんじゃ。
領土は自分のものではあるが、自分自身が管理している訳ではない。それどころか、自分の住んでいる城ぐらいしかきちんと把握できておらず、周辺の街などまるで知らない。これ以上領土を広げても、不安が増えるだけである。そういう結論に魔王は至った。その結果が百年の魔王軍の停滞ということじゃ。」
「ちょっと待てよ。それなら俺たちをその世界に送る理由ッてなんだよ。魔王がひきこもってるなら、別に助けなんて要らないんじゃねえの?」
とーまのいう通りではあるな、けど、問題は百年たってもまだ動けない、魔王軍の方だろうな。
「伊勢崎大地、おぬしの考えている通りじゃ。社員がせっかく頑張ろうと思っても、社長が仕事を寄越さないなら無駄なこと。それどころかストライキでも起こされるじゃろうな。といっても仕事自体がないから影響はでない。そしたら次に何をするか。自分で会社を立ち上げるか、それとも……「自分達で会社の仕事を作って、勝手にやるか。」
「そういうことじゃ、けいちゃ…そ、そんなに睨まなくてもよいじゃろ。」
「でも、それなら百年もの間、どうして我慢できてたのか、の方が気になるんだけど。」
一希が俺も少し気になってた点を口にした。まあ人類の状況を考えると大体予想がつくけどね。
「百年も我慢していた訳ではない。魔王の行い(といっても何もしていないのじゃが)に疑問を持ち、魔王の代わりをしようとする者もいた。いたが、そこは魔王軍、荒っぽい奴らの集まりじゃ、上に立つのは一人だけでいいと、魔王に喧嘩を売ったのじゃ。こうして一部の魔王軍が分裂。魔王と戦争を始めたのじゃ。ここで重要なのが人類の状態じゃな。人類はかなり厳しい状態にあり、攻めればすぐ滅ぼせられる。それならば、先に魔王を討ってしまおうと考えたのじゃ。」
「それだと魔王と元魔王軍が争ってるだけじゃん。俺達が必要な理由は?」
今度はセコが疑問を言った。それについては俺もよくわからなかった点だ。
「魔王とただ争ってるだけならよかったんじゃ。じゃが、奴らは魔王をなかなか打破できないことに苛だちを覚え、邪神を召喚しようと考えた。まあ邪神と言っては名ばかりの、負の感情の集合体じゃがな。他の世界から肉体の転移はできぬ故に……しかしそれには力だけでなく、知性があった。通常、生まれたばかりでは知性というものはない、それは神も同じじゃ。しかしその集合体には知性が備わっていた。何が起きたのかはわからぬが、それは魔王をも越える力を備えておる。この存在は危険すぎる。そのためにぬしらを呼んだ。というわけじゃ。」
なるほど……危険すぎないか?異世界転移で、邪神を倒す物語は聞いたことあるけど、そういうのって大体魔王倒した後に起こるイベントだよね?
「ぬしらの不安もわかる。いきなり邪神を倒せと言われても無理な話じゃ。じゃがな、ぬしらは6人おる、そしてぬしら一人ひとりに、個別の力を授ける。この力は、ぬしらの魂と合わさった時、自分に最も適した能力に変化する。さあ、受け取れ。」
神様の手から光を放つ球体が六つ放たれた。それは俺達の胸の辺りに近付いていき……吸い込まれた。
「ついでに翻訳機能を付けておいたから、言語で困ることはないじゃろう。というかなかったら言葉がわからず野垂れ死ぬじゃろうな。それと、お金じゃな、単位は……なんじゃったか?まあ翻訳機能でテキトーに翻訳されるじゃろ。とりあえず30万…うんちゃらかんちゃらじゃ、これで一月はもつじゃろう、受け取れ。」
神様がそう言うなり、じゃらじゃらと音のする袋を渡してきた。ってかこれ手で持っててきちんと一緒に転移されるのか?凄く不安なんだが。そもそもうんちゃらかんちゃらって何?
「ヤバい、そろそろ時間じゃ!転移させるぞ!」
「えっちょっまて!て、うおぉぉぉ?!」
そのまま問答無用で俺達は転移させられた。転移先の場所ぐらい聞いて起きたかったんだが……
「ふう。もう少し経っていたら、あやつらの魂がこの神域に適応できずに消えてしまうとこじゃったわ。だが渡すべきものは渡せた。個々の能力と、そして金。金については忘れてしまうか心配じゃったが、ちゃんと覚えておけていて良かったわい。あ………あれ一人で一月もつ分の金しかない。」
こうして俺達のドタバタな異世界物語は、結構。否、かなり厳しい状態からのスタートとなった。
プロットなんて知らんのじゃ~。
ちなみにルシフルの宿の料金はかなり安めの設定です。




