第73話連合艦隊の終焉17
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「なんという事だ!」
呉空襲による最終損害集計を聞いた金沢中将は、思わず叫んでいた。
「事実です。長官も屋上で見たのではないですか?」
「しかしな橋本中将、ここまでとは正直思ってなかったぞ?」
「しかし、事実は事実です。」
そこに書かれていたものは、悲惨としか言いようのないものだった。
そして其れの告げている事は、連合艦隊の終焉に他ならなかったのだ。
呉空襲で連合艦隊が被った損害は、次の通りである。
沈没
空母 「天城」
巡洋艦 「大淀」「磐手」
駆逐艦 「梨」
大破着底
戦艦 「榛名」「伊勢」「日向」
空母 「海鷹」
巡洋艦 「利根」「青葉」
標的艦 「摂津」
潜水母艦 「駒橋」
浸水擱座
巡洋艦 「出雲」
大破
重雷装艦 「北上」
中破
空母 「葛城」
小破
空母 「龍鳳」
断片被害
空母 「鳳翔」
無傷の艦は無く、全艦なんかしらの損害を受けていた。
空母が割と生き残っているのは、意外かもしれないが、事実は事実である。
そして、沈没は転覆した艦を含んでいるが、大破着底した艦は別枠で扱った。
それにしても、まだ艦が意外に残っていたのである。
レイテ沖海戦が、連合艦隊最後の艦隊決戦とするならば、呉空襲こそが連合艦隊最後の日であったのだ。
「もはや、まともな艦隊はないか。」
「そうなります。」
「この戦争、ここからどうなると思う?」
「皇国の必敗に変わりはないと思われます。」
「やっぱり、そうか。まあ、本土を空襲されてる時点で、勝ち目がなくなったと思ってはいたがな。現実にそうなると、受け入れがたいものがあるな。」
「受け入れてもらわないと、困りますよ。」
「分かっている。これは気持ちの問題だ。」
そう、理性では分かっているが、感情的に受け入れられない。
それが、軍の言う皇国無敗神話であり、面子の問題でもあるのだ。
上層部にもっと、現実を直視する勇気があれば、素直に降伏する勇気があれば戦争は終わっていただろう。
そう次は勝てると言って、負け続けるギャンブラーの様に。
彼らは、現実を直視したく無いばかりに、戦争を続けていたのだ。
「しっかし、航空隊は終ぞきませんでしたね。」
「仕方なかったのではないかね。上層部が本土決戦に向けて、燃料節制命令を出しているんだからな。」
「そうですが、そんなに本土決戦が重要なんでしょうか?」
「単純に、本土決戦ならば勝てるとでも思ってるのではないか?本土の一部である沖縄をすでに取られてるというのに。」
「もう勝ち目がないことぐらい、わかってるでしょうに・・・」
「今さら、負けましたって、言いたくないのかもしれないな。」
「自分たちが始めた戦争ですよ?後始末をするのが、道理なのでは無いですか?」
「仕方ないよ。今まで国として戦争に負けたことがないんだからな。ここで、負けたという歴史を残したくないのかもな。」
「このまま行くほうが、悪評を歴史に残すことになると思うのですが。」
「それは、俺たちが考えることじゃあない。」
「やってやりましたよ、提督!」
攻撃隊総司令官が、第38任務部隊旗艦ミズーリに足を運び、ハルゼー長官に報告を行っていた。
「よくやった。それは、俺が保証してやる!」
「光栄です。クレにいた奴らは、だいたい沈めてやりましたよ。それに、敵航空機の妨害もありませんでしたから、やり易かったです。」
「だが、被害が出ていると報告では聞いたが?」
「ジャップの対空砲火に殺られたのです。恐らく、敵は停泊していたため、照準を合わせ易かったのだと、思われます。」
「そうか・・・確かに、真珠湾の時も対空砲火で俺らが、何機か落としてるからな。貴官が気にすることではない。」
「分かりました、しっかりと真珠湾の借りは返せましたよ。」
「無線を聞いてたからな、分かってるぞ!今度こそは完勝だな。」
「レイテの時のような、ヘマはして無いでしょうからね。」
「あれは、ヘマじゃねえ当然の行動だ。単純に奴らに上手く、出し抜かれただけだ。」
「まあ、言っちゃえばそうですね。」
「やったぜ!」
「何を殺って来ましたか?」
「俺は、戦艦を沈めてきたぜ!」
「いや。、トドメを刺したのは俺だ!」
「いいや、俺だ。」
「なんだと?やんのか?」
「奴を沈めたのは、俺だよ!お前は、爆弾を当てただけだ!」
「ああ?」
航空隊は、血の気が多いのか殴り合いを始めてしまった。
聞いた整備兵が、
「どっちもすごいですよ。」
と言ったが、焼け石に水であり2人の殴り合いは、ヒートアップしていた。
「俺が沈めてやったんだよ。」
そう言いながら、1人がアッパーを加えれば、
「なんだと!お前より後に当てたんだから、俺が沈めたに決まってるだろ!」
と言って、ストレートを喰らわせる。
「貴様ら、何格納庫で喧嘩してるんだ!」
そう、この艦で一番腕っ節の強い整備班長が怒鳴ったが、2人には聞こえていなかった。
「いい加減にしろ、営倉にぶち込むぞ!」
そう言って2人を、一撃で気絶させ、営倉にぶち込んだのだ。
この瞬間、見ていた野次馬たちは、この人を敵に回してはいけない。そう思ったという。
「やはり、増えたか。」
「ですね。」
伊400の発令所で日下中佐と、渡辺大尉の2人は先日28日にあった、呉空襲による最終報告の電文を見ながら、そう呟いた。
第73話完
連合艦隊主力艦艇は大きな被害を被り、壊滅してしまいました
しかし!まだ戦い続けている部隊もあります
明日から、テスト直前になるため1週間程度1日1話投稿になります
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