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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
呉空襲 連合艦隊の終焉
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73/112

第72話連合艦隊の終焉16

空襲は終わりました

そこには、大小複数の艨艟の骸があった。

彼がパッと見ただけでも、艦内が満水となり着底した青葉、傾斜が激しくなって転覆した天城、着底した伊勢、日向、それらの艦艇の惨状が望見できた。

まさに、艨艟の墓場とも言えた。

そこには、全盛を誇った頃の連合艦隊の威容はない。ただただ被弾し着底、沈没した大多数の艦と、この空襲を切り抜けた少数の艦が、見えるだけであった。

ここに連合艦隊は壊滅し、その栄光の歴史の終焉を迎えたのである。

それに対し、敵に与えた損害は艦載機数十機から十数機の撃墜のみだった。

この空襲において、海軍航空隊は飛来してこなかった。24日の際には来たのだが、戦力が激減したことや燃料の節約による、燃料不足によって応援に迎えなかったのだ。

もはや、軍港に対する直掩隊すら出せないほど、帝国海軍は疲弊し、落ちぶれていたのだ。

「これが現実なのですか?」

彼はかろうじてそういった。

「残念だがそうだ。みんな急降下爆撃にやられていた。全く反撃できなかったんだ。さぞかし無念だったろうな。」

「もし敵艦隊がきてくれれば、艦隊線を行えたんですよね?」

「いや、燃料がないからそれも無理だろう。できて敵艦への遠距離砲撃程度だろうな。もし湾内まで入ってきたら、こちらが有利だが敵もそこまで馬鹿じゃないだろう。」

「それにしても、なんという皮肉でしょうね。世界最強の戦艦2隻が帝国海軍で唯一航行中に航空攻撃で沈められた艦とはな。」

そう、魔のレイテ沖海戦でも実は航空攻撃で沈められた戦艦は、帝国海軍最新鋭戦艦である武蔵ただ1艦だけだったのだ。

扶桑と山城の2隻は、スガリオ海峡沖海戦にて6隻の米旧式戦艦群そして多数の魚雷艇、駆逐艦、巡洋艦との死闘の末撃沈されていた。

また、金剛は日本に帰還中に台湾海峡で、アメリカ潜水艦シーライオンの雷撃で沈められていた。

また、日付は遡るが比叡、霧島の2隻は第3次ソロモン沖海戦に於いて、米艦隊との死闘の末に沈められていた。

そして、洋上で最後に沈められた戦艦である大和は、坊ノ岬沖にてアメリカ空母艦載機の攻撃を受け撃沈されていた。

その時の、第2艦隊が帝国海軍が送り出した、最後の艦隊であった。

そして今、呉空襲によってあのレイテ沖海戦を生き延びた、伊勢、日向が着底し、榛名もいつ着底してもおかしくない状況であった。

そして、世界のビックセブンとして睨みを利かせていた、帝国海軍の象徴である長門型戦艦2番艦である、陸奥は1943年6月柱島泊地にて停泊中突如爆発を起こし、戦局に寄与する事なく虚しく沈んでいた。

今帝国海軍に残っている戦艦は、世界のビックセブンと呼ばれ、ポストシェトランド沖海戦戦艦の嚆矢となった、長門ただ1艦であった。

長門は、横須賀軍港に停泊していたが、燃料不足によって軍港防空艦に格下げれ、寂びしくその巨体を横たえていた。

もはや、帝国海軍の主力艦は一隻も航行する事はない。

あとは、長門や葛城などわずかに残った艨艟共があるだけだった。


「やられたか!」

伊400司令塔で艦長日下中佐は、呉空襲の報告書を読むなり、そう怒鳴った。

伊400は現在、シンガポールのセレター軍港のドックにて、艦体の修繕作業を行っていた。

「24日の時は耐えられたので、今回も平気だろうと思っていましたが、甘かったようですね。」

副長の渡辺大尉が言った。

まだ確定してないとのことだったが、増えることはあっても、減る事はないだろう。

それは確実だった。

「それにしても、ここまでやられるとは、正直思って無かったが、甘さがあったと思うか?」

「確かに、甘さがあった事は否めませんが、恐らく24日の時の被害が無ければ、ここまでの事にはなっていなかったのではないでしょうか?」

「ああ、24日の被害を入れてなかった訳ではないが、過小に判断してたかもしれんな。」

「そういう事ですね艦長。これで、帝国海軍に残された戦艦は、長門だけになってしまいましたね。」

「そうだな。栄光の連合艦隊ここに壊滅せるか・・・」

「そうですね。もう連合艦隊に戦力は残ってませんからね。潜水艦や駆逐艦を除いて。 」

「ああ、我が艦もまだ戦えるからな。問題は、戦争がいつ終わるか、それだけだ。」

「最低でも、今年中には終わるのではないでしょうか?」

「前と変わらない答えだな。」

「そりゃ、変わりようはないと思いますが。どうしたんです?」

「いやな、今回の空襲で態度を硬化させちまうんじゃないかと思っただけだ。」

「態度を硬化させる事は無いと、考えますが?」

「まあ、ちょっとした可能性の話だよ。」

「確かに、可能性を考えることは、必要だと考えますが、要らないことは考えなくても良いのでは、無いですか?」

「この話は、なかったことにしてほしい。」

「分かりました、と言うべきなんでしょうねこの場面では。」

「そうしてもらえると、ありがたい。」

連合艦隊の終焉は、実に呆気ないもので終わった。

まだ、戦争は終わってない。

だが、終わりは近い。

第72話完

そろそろ、呉空襲編も終わります

投稿遅くなりました

少しプラモで苦戦してました・・

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