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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
16/112

第15話航空隊出撃

内容はお楽しみです

「航空索敵を実施する。」

そう言ったのは、1945年5月21日の昼のことである。

ここまで艦は4628浬を踏破している。

「なぜです艦長?」

副長の渡辺大尉が言った。

「ここは、クック諸島やサモアの近くだからな、敵の警戒度を知る必要がある。」

確かに、どの程度の警戒が引かれているのか、知る必要があった。なぜならそれが、オーストラリア通商破壊戦の成否を考えるのに大きなウエイトを占めるからである。

即ち、警戒が強ければ慎重に行くもしくは、作戦を行わない、という選択肢がある。

そして緩かった場合は、決行と言うわけである。

なぜ、出撃しないとしていた航空隊の偵察とはいえ、出撃することになったかというと、逆探が幾度となく敵の電信波を探知したからである。

「よしゃ!出撃が決まったぞ!」

「本当ですか!生野中尉!」

「ああ本当だ吉川飛行兵曹。」

「しゃ-!」

鳥野飛行兵曹が鬱憤を晴らすように叫んだ。

「艦橋へ集まれ。」

艦長の声が伝声管を通して、聞こえてくる。

「 今の地点から、西へ300浬の地点まで、15度ずつ計3線決行する。即ち全力出撃だ。行ってこい!」

今からですか?」

「ああ浮上開始!」

あれよあれよの間に艦が浮上し出撃準備が始まる。

「いきなり出撃になってしまいましたね。」

吉川飛行兵曹が言った。

「まあ、偵察は必要だろうからな。しっかし今浮上するとは、艦長も度胸があるな。」

今は午後1時である。

今敵に見つかったら、即座に撃沈されるだろう。

そんな危険を犯してまで行く必要があるのだろうか。

これは、先に書いた通り的に警戒度を測るためである。

晴嵐の航続距離はおよそ800浬である。それに往復で200浬余分に取り、300浬となったのである。

これはパナマ攻撃と同じである。

そして巡航速度は、260ノットのため1時間ちょっとで引き返し地点につくのである。

なぜそこまで、安全を取っているのかというと、確実に帰還するためである。

晴嵐は、フロートを外すと、580キロと、零戦を超え、雷電や公試時の紫電と同じ速度である。

その速力によって、敵機を振り払うのであるが、その時艦を発見されないように、韜晦飛行をするため、多めに安全率を持たす必要があるのだ。

それに速度を上げれば、燃料消費量も増大する。そのため、燃料切れ防止という側面もある。

そして午後2時3機の偵察隊が、出撃した。

「たぶん何もいませんよ。」

吉川飛行兵曹が軽口を叩く。

こういう、ちょっと慣れた感じの時が慢心していて、危ないのだ。

「いるつもりで探さないと見つかるものも見つからないぞ。」

生野中尉が諭すように言った。

「でもまさかくるとは思ってないんじゃないですか?」

「だが、パナマを攻撃したんだ、俺たちが。だから、警戒を敵が強めていてもおかしくはないだろう?」

「それはそうですかど。確かに、マリアナや、レイテでは、警戒を強めたかもしれませんが、本土から遠い、オーストラリアにくるとは思ってないんじゃないですか?」

「確かにそう考えるかもしれんが、逆にオーストラリアの方が、危ないと思ってる奴もいるかもしれないだろう?」

「何故です?」

「要は、パナマが攻撃された。次に攻撃されそうなのは、パナマと同じ、本土から離れたいて、戦火とは慣れているところだと、考えることもできるわけだ。」

「そう考えてる人がいない事を願いましょう。」

「だから、油断してはいけないと言っているだろう。」

「だって、見つかったら一巻の終わりですよ?それでも良いんですか?」

「まあそれもそうだな。」

ちょっと感心したと言いたげに言った。

その時だった。

「敵機発見!」

吉川飛行兵曹が叫んだ。

「どこだ!」

生野中尉はまだ発見していなかった。

「3時の方向やく9000!」

「発見した。」

そう返した時だった。

「敵機がバンクしています。」

「もしかして、味方と間違えてるのか?なら・・」

機長は機体をバンクさせた。

「敵機が去っていきます。」

冷静な声で、吉川飛行兵曹が言った。


「こんなところで味方に会うとは珍しいな。」

艦上攻撃機アヴェンジャーの機長が言った。

「確かに珍しいですね。カタリナですかね?」

「ああそうだろう。」

「じゃあバンクしましょう。味方なら返すはずです。」

「よし。やってみるか。」

そしてバンクさせた。

「あっちもバンクしました。味方です。」

「よしもとの経路に戻るぞ。」

「はい!」

彼らは、サモア島の基地に所属する、艦攻で構成されている偵察隊の一員である。

彼らには、パナマが攻撃を受けたとの情報がきていたが、まさかサモアには来ないだろうと、たかをくくっており、見つけた機を味方機だと勘違いしたのである。

「しっかし、ジャップの奴らが、パナマを攻撃したと言ったときにはびっくりしましたね。」

「だが、戦争はもう終わる。緊張する必要もないだろう。」

「それはそうでしょう。ジャップに反撃する力は残っていませんもんね。」

「ああそしたら、こんな退屈な任務ともお別れだな。」

「そうなりますね。」

「よし帰還するぞ。」

機長が言って締めた。


生野中尉機の晴嵐は順調に飛行を続けている。

第15話完


出撃=偵察でした

今回は、最後ちょっと盛って、2000字に到達させました。

小説家になろう勝手にランキングで18位になりました。

集計法が違うためか?小説家になろうサイトのランキングでは、ランク外ですが18位嬉しいです!

これからもよろしくお願いします

感想待ってます

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