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シュウマイ味にはならない
◇
……放課後。
「ねーねーまおちん、一緒に帰ろ?」
帰り際にも魔緒の席に寄る仁奈。やはり、彼に気があるのだろうか?
「別にいいが……、宿題は終わったのか?」
「当然だよ。自習時間に全身全霊を込めて終わらせたんだから」
「ならいいが」
「はは~ん、さては信用してないな?」
「正直どうでもいい」
「またまたぁ、それなら最初っから訊かないでしょ?」
「妙なところで鋭いな……」
「ふっふっふっ、今日の仁奈ちゃんは一味も二味も三味も違うのだ」
「そんなに味があんのか?」
「やだなぁ、単なる言葉の綾って奴だよ」
「そんな言葉は聞いたことがなかったが……、まあいいか」
魔緒は立ち上がると、鞄を背負った。
「帰るならさっさとしろ」
「はいはい」
仁奈が魔緒の隣に来ると、二人は並んで教室を出た。




