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だい21わ
「や、やましい?」
ケビンの反応が面白かったのか、ジュエリーヌはクスクス笑い出した。
「だあってえ、マスター、目を反らしましたりしたでございましょう?」
「べ、別に……」
口ではそういいつつも、内心をずばりと言い当てられてケビンも立つ瀬がないといった心境だ。
「もしもお、やましい事考えてなかったら、目を反らしたりいたしませんことでございましたりしますよね?」
「な-―」
またしても、ジュエリーヌは口を押さえながらクスクス笑い出した。
「マスターってば-―」
ジュエリーヌは甘ったるい、妙な慈愛に満ちたような目をケビンに向けた。
「ホント、マスターってばスケベさんでございましたりいたしますわね」
「スケベ-―」
ケビンは言葉を失った。
「うっふ~ん-―」
ジュエリーヌは、余裕綽々でケビンを往なしている。
「ジュエリーヌ、なんだか不安でございましたりいたしますことですのよ」
まったく安心しきった顔で、ジュエリーヌはしなを作る。完全におちょくられているのだ、ケビンは。
「そ、そんな事-―」
腕組みしながら、ケビンは何とか言い返そうと懸命だった。