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勝利戦隊ビクトリーレンジャー  作者: おおたこ


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第0.5話:学園承認! 正義研究部、発足せよ!

勝ったはずなのに、全員くたくただった。


希望研究所の医務室。

ベッドに寝転ぶ黄島あすはが、包帯ぐるぐるの腕を掲げる。


「いやー! 初陣で怪人ぶっ飛ばして、黄金合身して、世界救って、このあと普通に登校っておかしくない?」

「同感です」


岬かれんは椅子に座ったまま、氷嚢を肩に当てている。


「肉体的疲労より問題なのは生活導線です。私たちは学生です。欠席が続けば不自然。成績低下も将来的損失」

「言い方が投資家なんだよ」


紅かおるが笑う。

白田ちさとはカルテをのぞき込み、静かにため息をついた。


「もっと現実的な問題もあるわ。部活は? 練習は? 家族への説明は?」


そして部屋の隅。

森山はるこは制服の袖をぎゅっと握っていた。


「……みんな、ちゃんと元の生活に戻れるのかな」


 誰もすぐには答えられなかった。

 戦うと決めた。けれど、戦うだけでは人は暮らせない。


---


希望研究所・司令室


立花ジャンヌ博士は腕を組み、モニターに並ぶ五人の学生データを見つめていた。


「戦士である前に、生徒……」


勝にけがうなずく。


「このままだと学園側に怪しまれます」


天美利奈が補足する。


「無断欠席、突然の外出、謎のケガ。三日で生徒指導案件です」

「三日ももつのね」

「甘く見積もってです」


 博士は深く息を吐いた。


「……もう一つの戦いね」


 怪人ではない。制度と交渉。書類と責任。

 そして、会いに行かなければならない人物がいる。


---


希光学園 理事長室


 重厚な扉の前で、立花ジャンヌ博士は珍しく立ち止まっていた。


「博士が緊張してる……」


 にけが小声で言う。


「レア映像ですね」


 利奈もひそひそ返す。


「うるさいわよ」


 博士は咳払いし、ノックした。


「失礼します」

「はい、どうぞ」


 落ち着いた女性の声。 扉を開く。

 窓辺に立っていた女が振り向いた。上質なスーツ、凛とした姿勢、鋭くもやさしい眼差し。


「……あら?」


 立花博士の肩がぴくりと揺れる。


「だれかと思ったら……ジャンヌ?」

「……本山さん」


 希光学園理事長、本山まり。

 二十五年ぶりの再会だった。


---


再会


「そんな顔するのね、あなた」


 本山まりはくすりと笑う。


「昔はもっと図々しかったのに」

「人は成長するものよ」

「老成の間違いでは?」

「あなた相手だと否定しにくいわね……」


 にけと利奈は目を丸くした。


(博士が押されてる!)

(貴重!)


 本山はソファを示した。


「座って。積もる話もあるでしょうけど、今日は用件が先ね」


 博士の表情が引き締まる。


「……ええ」


---


現実の話


「暗黒至上主義集団ディフィーペア。ご存知でしょう」

「もちろん」


 本山まりの声色が変わる。


「学園周辺でも異常事象が増えているわ。昨日の海岸騒動も把握済み」

「話が早くて助かる」

「あなたが来る前に、こちらから連絡しようと思っていたのよ」


 博士は一瞬目を伏せた。


「……遅れたわ」

「まだ間に合ってる」


 本山はきっぱり言った。


「で、お願いは何?」

「ビクトリーレンジャーの五人は、この学園の生徒です」

「でしょうね」

「彼女たちの活動を、公的に認めてほしい」

「つまり?」

「出動時の欠席、負傷時の配慮、校内での集合拠点、情報秘匿……すべてを合法的に処理したい」


 本山まりは指先を組んだ。


「なかなか図々しいお願いね」

「昔からでしょう」

「認める」

「早いわね」

「ただし条件がある」


---


正義研究部


 本山まりは微笑んだ。


「部活動にしなさい」

「……部活?」

「正式名称、正義研究部」


 にけが吹き出しかける。


「正義研究部!?」


 利奈が肘で黙らせる。


 本山は続けた。


「活動実態は対ディフィーペア防衛部隊。でも表向きは社会貢献・地域安全・ボランティア研究」

「ずいぶん盛るわね」

「学校とはそういう場所よ」


 博士は思わず笑った。


「相変わらず、現実をねじ伏せるのが上手い」

「あなたは理想を暴走させるのが得意だった」


 一瞬、ふたりの間に昔日の空気が流れる。


 本山まりは書類に判を押した。


「予算も出すわ」

「助かる」

「ただし口も出す」

「やっぱり来たわね」

「生徒を危険に晒すなら、私があなたを止める」


 その声音に冗談はなかった。

 博士も真っ直ぐ見返す。


「必要なら止まりましょう。でも、彼女たちが進むと決めた時は支えて」

「……ええ」


---


部室視察


 放課後。旧校舎三階。


 五人は新設された部室の前に立っていた。


「正義研究部……」


 かおるが札を見る。


「なんか地味だな!」

「隠れ蓑としては優秀です」


 かれんが即答。


「あたし、もっとこう……勝利爆裂部とかがよかった!」

「あすは、それは即バレする」


 ちさとが苦笑する。


 はるこは扉をそっと撫でた。


「でも……なんか、うれしい」

「何が?」


 かおるが聞く。


「居場所ができた感じ」


 その言葉に、四人が少し黙る。

 昨日まで他人同士だった五人だ。

 戦った。傷ついた。まだぎこちない。

 でも、ここから始められる気がした。


---


事件発生


 ガタッ!

 部室の中から物音。


「……誰かいる?」


 ちさとが構える。

 かおるが扉を開け放つ。


「誰だ!」


 中には、段ボールを漁る灰色の兵士が三体いた。


「デデマン!?」


 敵兵たちも固まる。


「ミツカッタ」

「カエル?」

「トリアエズコワセ」

「雑!」


 あすはが叫んだ。


「変身する?」

「ここ校内です!」


 かれんが止める。


「なら生身でやるぞ!」


 かおるが飛び込む。 竹刀袋から木刀を抜き、一撃。

 ちさとが机を蹴って敵の進路を塞ぐ。

 あすはが一体をタックルで壁へ。

 かれんが消火器を噴射。


「視界封鎖完了」

「使い方が賢い!」


 最後の一体が窓から逃げようとした瞬間。 ひゅるるっ。

 リボンが足に絡む。

 森山はるこだった。


「逃げちゃ、だめ」


 そのまま引き倒す。 全員で確保。

 静寂。 五人は顔を見合わせ、そして笑い出した。


---


理事長室・窓辺


 本山まりは校庭を見下ろしていた。


「……騒がしい子たちね」


 隣に立つ博士が言う。


「でも、いい子たちよ」

「知ってる」


 本山はふっと微笑む。


「あなたが選んだもの」

「信頼しすぎよ」

「昔から見る目だけはあったでしょう、ジャンヌ」

「それ、褒めてる?」

「半分だけ」


---


 部室に新しい札が掛かる。


『正義研究部 活動中』


 中では五人が机を囲んでいた。


「部長って誰?」

「リーダーのかおるじゃない?」

「えっ、責任重いな!?」

「会計はかれんさんで」

「不正ゼロです」

「おやつ係やる!」

「あすは、それ係じゃない」


 笑い声が響く。

 はるこは窓の外を見た。

 夕焼けが、校舎を桃色に染めていた。

 戦いは怖い。明日も敵は来る。

 それでも、もう少しだけ思える。

 ここなら、頑張れるかもしれない。

 その瞬間、警報が鳴り響いた。


「ディフィーペア反応、校門前!」

「早いってば!」


 かおるが立ち上がる。


「正義研究部、初出動だ!」

「それ部活のテンションじゃない!」


 五人は駆け出す。

 学園生活も、世界の平和も、忙しくなりそうだった。


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