第四十話 ベニス28
クワッドが少し興奮気味に、アイテムを置きます。
「二人ともおかえり。さっそく観てみるね『鑑定』」
鑑定結果
「ガラスの小箱」
不良品(欠け)
【青白ガラスの宝石箱】
防水+0 (0/30%)
3,000ゴルド
ベネチアングラス。
「なるほど、宝石箱か。確かに楽しみだね『修復』」
鑑定結果
「ガラスの小箱」
良品
【青白ガラスの宝石箱】
防水+30%
900,000ゴルド
ベネチアングラス。
「じゃ、ピッピーノ。この宝石箱をそっと振ってみて」
「はい、トキン様」
ピッピーノが、慎重に宝石箱を振ります。
コロ♪
「トキン様」
「うん。これで宝石箱の二重底を開けてみて」
ピッピーノに【針職人の千枚通し】を手渡します。
ピッピーノが、そっと宝石箱の底を持ち上げます。
「トキン様、何かの欠片があります」
ピッピーノが、一つの素材を取り出して、テーブルの上に置きます。
「じゃ、なおすよ。『修復』『鑑定』」
鑑定結果
「白銀のナイフ」
良品
【ミスリルのナイフ】
力+20
体力+20
1,200,000ゴルド
「ミスリル製の短剣か。誰か使いたい人はいるかな?」
エリーゼ、クワッド、ピッピーノが首を振ります。
「誰もいないね。じゃ、思い切ってアルジェントにあけてみようかな。エリーゼ、お願い」
エリーゼが、鑑定室のカウンターからアルジェントの鳥かごを持ってきます。
「アルジェント、ミスリルだよ」
僕は、声を掛けながらミスリル製ナイフを、鳥かごにそっと入れます。
四人でアルジェントを見守ります。
アルジェントが金属の翼を、一度だけ上下にばたつかせます。
【ミスリルのナイフ】を弱い白光が包みます。
白光が、ゆっくりとアルジェントに吸い込まれます。
ついで、アルジェントが白光に包まれます。
ゆっくりと、白光がおさまります。
アルジェントが金属の翼を、ばたつかせます。
少しだけ浮いてるように見えます。
「あれ、飛べるの?」
僕は慌てて、鳥かごの小さな扉を開けます。
アルジェントが、小さな扉から飛び出します。
作業場の天井近くを、楽しそうにクルクル飛び回ります。
「アルジェント、君は飛べるんだね」
「お話出来て、飛ぶことも出来るなんて」
エリーゼが驚きの声をあげます。
アルジェントが、ゆっくり旋回しながら、僕の右肩にとまります。
「アルジェント、君は本当に可愛いね」
僕はにっこりしてしまいます。
アルジェントの変化が気になりますが、先にもう一つの素材をみます。
「こっちも、観てみるね『鑑定』」
鑑定結果
「ガラスの指輪」
不良品(割れ)
【レースグラスの指輪】
鑑定妨害R+0 (0/1)
「あっ、初めてみた。鑑定妨害アイテムだ。しかもスキルを覚えられるかも。なおしてみるね『修復』」
鑑定結果
「ガラスの指輪」
良品
【レースグラスの指輪】
鑑定妨害R+1
「でもスキルとして、覚えられるかな。試しに、はめてみるから、エリーゼ、クワッド、僕を鑑定してみて」
「はい、トキン様『鑑定』」
「いきます『鑑定』」
エリーゼとクワッドが、僕を鑑定します。
続いて、僕が自身のスキルを鑑定します。
鑑定妨害R1+1
「あっ、覚えた。みんなも、このスキルは覚えておいたらどう」
僕は、みんなに聞いてみます。
「オイラ、覚えたいです」
「トキン様、オレも覚えたいです」
「私も覚えたいです」
エリーゼ、クワッド、ピッピーノの順番で、鑑定妨害スキルを取得します。
「そうだ、ピッピーノ。他に『鑑定』『認識阻害』『弓術』『体術』のスキルを覚えられるけど、どれか覚えたいのはあるかな」
「はい、トキン様。『認識阻害』と『体術』を覚えたいです」
「うん、わかった」
ピッピーノが、新たなスキルを取得します。
そして、深々とお辞儀します。
「ありがとうございます、トキン様。今日だけで、新たなスキルを三つも手に入れることができました。トキン様の元で働けて、オレは本当に幸せ者です」
「ははっ、良かったね。ピッピーノには剣士としても期待してるから、鍛錬を怠らずに強くなってね」
「はい、もちろんです」
僕は頷きます。
「クワッドもピッピーノも、ヴェネート家の家人だから、僕がいない間もレオナルド様の力になる様、頑張ってね。それと今はいないけど、大司教の孫娘マルティーナさんが困っていたら助けてあげてね」
「わかりました」
二人が声を揃えます。
「じゃ、クワッドとピッピーノにお店を任せて、僕とエリーゼはドゥカーレ宮殿に戻って、旅の準備をしよう」
フォルトゥーナ号に乗って、エリーゼと一緒に、宮殿へ戻ります。
遅くなりました。ごめんなさい。
明日も間に合うかわかりませんので、
ストックがたまるまで、
投稿はお休みさせていただきます。
月内には投稿再開しますので、
ブックマークしてお待ち頂けると
嬉しいです。
よろしくお願いします。
(令和4年11月25日追記)
【本作につきまして】
だいぶブランクがありますが、現在続話の構想の修正が終わりました。
完結まで書き終えてから一気にアップする予定です。
よろしくお願いします。




