どうやらピンチみたいです!!
……とりあえず…先生がやばい人だと言うこと事が分かったので2人と合流しないとヤバイ気がします。
先生、特殊だけど戦闘能力が微塵もない。
「と、とりあえず……2人と合流しないと……」
「そうですね〜たとえば……たまたま戦闘系のおふたりと離れてしまってたまたま魔獣に遭遇してしまったら……一溜りもありませんね?」
いざとなれば影遊びで逃げようかな……
あれ、影がある所にはどこにでもいけるらしい。
「不吉ですね。」
「そうですかねぇ〜有り得ますよ〜ほらっ!!」先生が指さす方に目をやると茂みから魔獣が飛び出してきた。
「う…ひっ…先生!!なんて事してくれてるんですか!?本気で、どうにもなりませんよっ!?」
ニコニコと笑を崩さない先生に恐怖を感じつつどうするべきかと考えを巡らす。とりあえず…影を縫い付けて…でも、ろくに日も当たらない暗い森の奥だと少し影が薄い。もし間違えて変なところを縫い付けでもしたら(主に自分や先生の影とか)…大惨事では済まない。
「スピカさんは知ってるはずですよ〜?この事態ごと無かったことにできるような魔法を!!」
先生の言葉に一種の崇拝的な感情が込められていることに気がついた。それと同時に異常操作が使える事を思い出した。使い方次第で毒にも薬にもなる様なこの力を私は恐れている。いつ、この力でヒロイン…ヒロインは既に居ないけども!!とにかく、誰かを死に追いやってしまうかもしれない事に。だが、その方法以外に思いつかないし…恐る恐る祝詞を口にする。
「有るべきものは有るべき場所へ…出会わざる魔の獣とは出会わざるままに。神の御心のままに魔の獣を有るべき場所へ導きたまへ…」
ふんわりと優しい風が私の頬を撫でつけた。間違った使い方をするとこの風は鎌鼬のように私の頬を切りつける。まぁ、間違いに気づいたとて変わってしまった事象は私が書き換えない限りそのまま進んでいくんだけど…風に誘われたら魔獣が来た道を引換して行く姿を目にし腰から力が抜けた。立っておくことさえ出来ずにヘタリと地面に座り込んだ。先生は何かを熱心に語っていた。だが、疲れきった私の耳には全くもって入って来なかった。