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失恋

 ミカゲは屋敷の中をでたらめに走り回っていた。

 目的地などなかった。

 ただ、爆発的な混乱のままに足を動かしていた。


 廊下、階段、中庭、窓を越えて部屋、また廊下、階段と、家人に会うたびに方向を変え、ミカゲは走り続けた。



 すれちがった使用人のエリザベスは、あまりの勢いに唖然としてミカゲを見送った。

 そのすぐ後を、猛烈な勢いで屋敷の主人キングが追いかけていった。


 突き当たりの部屋に飛び込んだミカゲを追って、キングも部屋に飛び込んだ。

 つかまえたぞ!こら!暴れるな!というキングの大きな声が、半分開いたままのドアの隙間から聞こえてきた。


 エリザベスは、ミカゲの様子からして、キングから指示が来る可能性を考慮し、その場に待機した。





 部屋の中では、ジタバタ暴れるミカゲを、キングが押さえつけにかかっていた。

 キングは背後から手を回し、ミカゲの両腕を胸の前でクロスさせた。そのクロスした両腕を、右手できつく握った上で、ミカゲの上半身を抱きこんだ。


 キングに後ろから抱き止められたミカゲは、逃げることができなくなった。

 そのままキングは片膝をついて腰を落とした。

 ミカゲはわめきながら、自由な両足をしばらくばたつかせていたが、徐々に鎮まり、動きを止めた。


 ミカゲの荒い呼吸をキングは胸で感じとっていた。

 その呼吸が落ち着くまで、キングはミカゲを後ろから黙って抱き続けた。




 やがて、ポツリとミカゲが言った。


「騙されてたのか、俺」


 キングは端的に答えた。


「フロウは記憶喪失だ」




 ミカゲの頭は、クリアに働いてはくれなかった。

 衝撃を消化しきれずにいた。

 キングの言葉を上手く読み込めない感覚をおぼえた。




 キングはミカゲの頭の上から、ゆっくりと語りかけた。


「落ち着いて聞くのは無理かもしれないが、ちゃんと聞け。シェイドとフロウは恋人同士だ」


 フロウの記憶さえ戻れば、たぶん。という部分については、キングは伏せた。




 ミカゲは、体越しに伝わってくるキングの声を聞いた。

 意識が追いついていないにも関わらず、ミカゲはあたかも普通の状態であるかのように会話した。


「俺、ずっとシェイドと一緒にいた。シェイドがフロウに会ってるのなんて、見たことない」

「お前に出会う以前に、二人は将来を誓い合っている」

「そんなガキの頃の約束」

「シェイドを見てきたなら分かるだろう」

「フロウは初恋もまだだって」



 キングは左の義手で緩くミカゲを抱いたまま、右手でミカゲの頭をなでた。


「フロウは忘れているだけだ。たとえ、思い出さなかったとしても、あのシェイドが本気で口説きにかかる。そういう本気を見たことはないが、たぶん、間違いなく、すごいぞ。もともと相性がいい二人だ。どうなるかは目に見えている」


 やりすぎて失敗する可能性もある。という部分についても、キングは伏せた。




 キングは後ろからミカゲの頭をなでつつ尋ねた。


「フロウは嫌な女だったのか」


 ミカゲは小さく首を振った。

 キングは優しくミカゲの頭をなでながらも、きっぱりと言い渡した。


「なら引け。お前の相手はシェイドじゃなかったということだ」






 そこで突然、キングの腰についた飾りひもの先の小さな石が振動した。

 キングは眉を寄せた。


「物事が動く時は、いつもいっぺんに動く」

「何?」

「ヒルダが助けを呼んでいる」


 キングはミカゲを解放した。

 新たな事態を前に、少しだけミカゲの頭が働き始めた。



 石は、ヒルダからのメッセージを再生した。




『あたしにはキングがいるって言ってるのに、しつこい男がいるんだよ!ああもう、うざい!キング助けて!』




 石は振動を止めた。

 メッセージが終了した部屋の中には、しばし沈黙が流れた。




 ミカゲが先に口を開いた。


「これ、助けに行くんですか?」

「行く」


 キングの即答を受け、ミカゲはずっと気になっていたことを尋ねた。


「キングさんとヒルダは、本当は恋人同士なの?」


 キングは立ち上がりながら答えた。


「ヒルダのあれは、恋愛ごっこをしているだけだ」

「どういうことですか?」


 座ったまま怪訝な顔をしているミカゲを見て、キングは苦笑した。


「俺はある人に言わせると、男じゃないそうだ。ヒルダは、あんな態度だが、現実の男と向かい合うのを極度に恐れている。それでいて孤独で、寂しがりやで、一人を感じたくない。だから、ある意味、男じゃない俺にじゃれついているのが、ちょうどいいんだろう」


 ミカゲにはよく理解できなかった。


「あの人は何なの?なんでキングさんがそこまで、あのヒルダを構うのか分かりません」




 キングはミカゲに手を差し出した。

 ミカゲがその手を取ると、キングは引き上げてミカゲを立たせながら言った。


「下世話で、無様で、汚らわしいものを引き受ける。淀んだ薄暗い力をかき回す。ヒルダがもつ力だ」


 ミカゲは首をかしげた。

 キングは、足元がふらつくミカゲを支え説明した。


「薄曇りの暗さを知っているだろう。ヒルダの存在そのものが、あの自然発生的、破壊的力にアクセスし増強する。一人の人間がもつには、過ぎた力だ。そういう意味では、まことの黒直系と同様。あるいは、それを越えている。その脅威のため、存在を知られると確実に命を狙われる」


 まことの黒を引き合いに出され、ミカゲは目を見張った。

 キングはミカゲの頭をポンと叩き、琥珀色の目で遠くを見た。






「おとぎ話ではない現実において、魔女という存在を語り得るとしたら、それはヒルダのことだ」






 ミカゲは、どこかでヒルダを見下していた自分に気がついた。

 とてつもない衝撃を受けていた。



 キングはミカゲに視線を戻した。


「ヒルダは多くの人間に本能的に忌避される。ヒルダに言い寄る男がいるというのは、実際、緊急事態だ。ちょっとした仕掛けのつもりが、俺の計算ミスで、行きすぎたかもしれない。ヒルダを連れ戻し次第、ミカゲは出発だ」



 ミカゲの口が無意識に動き、かすれた声が出た。


「俺は」


 それ以上、言葉が続かないミカゲに、キングは言った。


「俺が戻るまでに腹をくくれ。すぐに戻るから、そのつもりで。エリザベスに言っておくから、バカなことはできないぞ」


 ミカゲの逃走癖を危ぶんで、キングは釘を刺した。

 そして、猛烈な速さで部屋を出て行った。






 ミカゲは部屋に一人残された。

 ミカゲは、崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。

 頭が再び混乱し、体に力が入らなかった。


 自分こそ最下層の人間だと、それだけは明確に思えた。



 エリザベスが入ってきて、ミカゲの肩にそっと手を置いた。

 エリザベスはそのまましばらくそこにいた。




 時が経ち、ミカゲはふいにエリザベスの存在に気がついた。

 エリザベスは面差しの厳しい年配の使用人である。

 普段は怖い印象を抱いていた。



 しかし、なぜか瞬間的に、ミカゲはエリザベスの腹にしがみついていた。



 それはもう、必死の形相だった。

 エリザベスはそのまま引き受けた。


 ミカゲは溺れる者のように、腕も指も全力で、エリザベスにすがった。

 今のミカゲには、そうする以外、何もできなかった。

 本当に、何もできなかったのである。











 ヒルダは、王立魔術学院の食堂で働いていた。

 非の打ち所がない紹介状を提出し、寮の一人部屋を陣取った。


 朝昼晩と寮生や学院関係者に食事を提供する仕事なのだが、ヒルダには荷が重かった。


「早く起きろ!」

「支度が遅い!」

「早く洗え!」

「皿を何枚割る気だ!」

「イモの皮もむけないのか!」


 3日で、ヒルダのやる気はゼロになった。

 キングの屋敷の猛者たちにしごかれたヒルダにとって、どんな叱責も、うるさい小言程度にしか聞こえなかった。

 一応、キングに言われているので、ヒルダは面倒でも職場に顔を出すことはし続けた。



 若い女が気を使って、ヒルダに声をかけた。


「慣れないうちは大変だよね?手伝おうか?」

「よろしく」


 ヒルダはまったくためらわず、すべての仕事をその女にやらせた。

 結果、ヒルダは上長からこっぴどく叱られた。

 別にクビになっても構わないと思っているヒルダにとって、説教は何の効果もなかった。




 休憩時間、まかないを食べながら、皆で雑談をしていた。

 気のきく女が、ヒルダにも会話を広げようと声をかけた。


「あなた、今まではどこで働いてたの?」

「いろいろ」

「あ、ああ、そうなんだ。どの辺に住んでたの?」

「忘れた。山の中」


 ヒルダは大きなあくびをした。

 誰もが、ヒルダに話しかける気を無くした。



 ヒルダの配置に困った上長は、ヒルダを接客に回した。

 魔術学院の血の気が多い学生とやり取りすることで、懲りてもらおうという荒療治の発想だった。


 ところが、これが、おかしなことになった。

 一部の学生や教員までもが、妙にヒルダに関心をもつようになったのである。


 さぼって壁際に立っているヒルダに、数人の学生が近寄っていく。学生たちは何もせず、ただそこにたむろする。

 まだ人が少ない時間に、ヒルダの近くの席だけ妙に人が座る。チラチラとヒルダを見る。


 男も女も誰も直接ヒルダに話しかけないのが、また奇妙なのであった。




 上長は、日に日に化粧が濃くなっていくヒルダに、何が起こっているのか聞いてみた。


「あたしがかわいいからだろ。普通、恥ずかしいもんなんだよ。こっそり見てるだけなんだよ。そういうの、分かんないの?」


 ヒルダはまったく疑問に思っていなかったようだ。

 上長は聞く相手を間違えたことに気がついた。





 ある時から、学院の至る所で派手な争いが起こるようになってきた。

 食堂ではなぜか、争いがなかった。それも妙な話だった。


 そんな昼時に、とうとうヒルダに声をかける男が現れた。

 若く整った顔をした学生だった。

 皆と同様にヒルダを見ていた学生のうちの一人だった。


 きれいな顔だけど無表情が目立っていて不気味、とヒルダは思っていた。

 その男が笑いながらヒルダに近づいて来たのだ。


「あなたのおかげで私は私になれた。あなたと楽しいことがしたい」

「そういうの、やめておくれ。あたしには、キングっていう男がいるんだ」


 もてる女はつらい。

 しかし、キングの方がずっといい男だ。

 こいつには失恋してもらうしかない。


 ヒルダは、けばけばしい化粧ののった顔に隠しきれない優越感をにじませながら、そう思っていた。


 その男は最初はすぐに引いた。



 不思議なことに、その男が声をかけるようになってから、他の人間は逆に誰もヒルダに近寄らなくなった。


 ヒルダは面白くなかった。

 大勢に好意的視線を向けられる方が、ずっと気持ちよかった。


 しかも、徐々に男の踏み込んでくる度合いが大きくなってきたのだ。

 男はヒルダの目と鼻の先まで迫り、話しかけてくるようになった。


「私の名はイセ。とても興奮している」

「気持ち悪いよ、あんた。何度も言うけど、あたしのバックにはキングっていう強い男がついているんだ。下手なことしたらキングが承知しないよ」


 イセに近づかれるほどに、ヒルダの嫌な気分は膨らんできた。

 ヒルダに何を言われても、イセは笑っているのだ。

 ヒルダは、ポケットに入れたお守り袋を握りしめることが増えていった。





 ある日、朝から食堂は満員御礼だった。

 それは過去にないことだった。


 席がなくて座れなくても、学生や教員がどんどん入ってきて、食堂はすし詰め状態になった。


 食堂はフル稼働で食事を提供し続けていた。

 注文を取っている様子はなかった。

 ただただ作り、手渡しで提供され、座っている人も立っている人も黙々と食べていた。


 厨房にも客席にも、無言の熱気と興奮があった。



 ヒルダは客席に出ることができず厨房にいた。

 やたらと忙しい日だ、とは思っていた。

 勿論、ヒルダはそこにいるだけなのだが。


 朝からの状況は、延々と続いた。

 ヒルダは飽きてきた。

 かったるい。長い。疲れた。休憩まだか。

 事ここに至っても、ヒルダが思ったのはそれだけだった。


 うるさい上長も忙しいせいか、一度もヒルダを見ることがなかった。

 ヒルダが大きなあくびをしたとき、ヒルダの真横にある厨房のドアが開いた。




「ここにいたんだね、ハニー」




 イセだった。

 整った顔に不似合いなふざけた口調だった。

 笑いながらヒルダの前にやってきた。


 ヒルダは壁際にイスを置いて座っていた。

 目の前に立つイセは、大きく迫って見えた。

 ヒルダはゾッとした。



 ヒルダはものも言わず立ち上がり、イセを押し退けて横のドアから外に出た。



 ヒルダは逃げた。

 廊下も人であふれかえっていた。

 ヒルダは舌打ちをしながら、人をかき分けて走った。


 職員用の出入口から、食堂の外に出た。

 外は反対に、人の気配がなかった。

 外気は黄土色にくすんでいた。



 おーい!あー楽しいなー!今、行くよー!

 イセの浮かれた声が、後ろから迫ってきた。


 いくつかある職員寮のうち、最も食堂に近い寮にヒルダの部屋はあった。

 ヒルダは他に知る場所もなかったので、寮に走って行った。


 自室に駆け込むや否や、ポケットからお守り袋を取り出した。




 お守り袋には小さな石が入っていた。

 袋が開かれると石はジジジと震えだした。


『キングへのメッセージをどうぞ』


 石が言った。

 石が急に言葉を発したのである。ここは驚くところなのだが、ヒルダはそういうものとして受け流した。

 ヒルダは石に言われた通り、キングに言いたいことを言った。


『承りました。お守り袋の中に入っている紙をご覧ください』


 石が言った。

 見ると、お守り袋には正方形の紙が5枚入っていた。

 ヒルダにはそれが何かは分からなかったが、実は魔術を展開する呪符なのであった。


『その紙には、魔術が込められていて、あなたを守ります。無駄遣いせず、1枚ずつご利用ください』

「意味分かんない」

『ムカつく相手に1枚、その紙を向けて、「やっちまえ」と言ってください。できますか?』

「そんなのできるに決まってる」

『以上です。キングが迎えに来るまで、その紙を使って、お待ちください』


 石は沈黙した。

 ヒルダは呪符を1枚持ち、残り4枚と石を袋に戻した。




 ヒルダがお守り袋についたひもを首にかけ、エプロンを脱ごうとした時だった。




「来たよー」




 イセが笑いながらヒルダの部屋のドアを開けた。

 イセは足を止めず、部屋に侵入してきた。


 ヒルダはエプロンをそのままに、呪符をイセへ向けた。


「やっちまえ!」


 ヒルダは即座に呪符を使った。

 呪符はキーワードに反応し、白い煙を噴き出すと、霞のようになって消えた。

 白い煙はあっという間にイセを取り巻き、イセの視界を奪い、イセの動きを拘束した。


 ヒルダは狭い部屋の中で、イセを避けるためにベッドを踏んでドアへと走った。

 後ろを振り向かず、ヒルダはとにかく逃げた。

 寮を出て、当てもなく走った。





 ヒルダは運動不足だった。

 そもそも運動は大嫌いだった。


 息が切れて、足がもつれ、腹が痛んだ。


 それでも必死に走った。



「おーい!もう、捕まえちゃうぞー!」



 どこまでも楽しげなイセの声が聞こえてきた。


 ヒルダは方向音痴でもあった。

 どこを向いても見慣れない建物の群れが並び、どの道を通るのが逃げ道としてよいのかも分からない。


 何にしても、もう走れない。


 ヒルダはぜいぜいと肩で息をしながら、大きな木の陰に座り込んだ。

 二つ目の呪符をおぼつかない手つきで取り出し、握り込んだ。




「みーつけた」




 イセの声が頭の上からして、ヒルダは見上げた。

 瞬間的に、怖いと思った。

 ヒルダに限っては、イセの不気味さの為ではない。イセが若い男だから怖かったのだ。


「無理。あたし、こういうの無理。キングだけでいい」

「興奮する。あなたに会えてよかった。もっと一緒に遊ぼうよ」


 ヒルダは怯えた。

 呪符を握りしめた手が開かなかった。


 イセは頬を上気させながら、ヒルダに手を伸ばしてきた。

 ヒルダの目に涙がたまった。






「来い!」






 突然、別の男が現れた。

 ヒルダが何も理解できない内に、ヒルダの右手首は握られて、引っ張り上げられた。


 ヒルダは小柄な男に手を引かれ、再び走っていた。

 誰こいつ、と困惑もありつつ、イセよりは何でもマシに思えた。


 もう走れないと思ったのが嘘のように、ヒルダは走っていた。

 小柄な男は、建物間の細い隙間を通ったり、時には建物の正面口から入って裏口から抜けたりもした。

 ヒルダはただ引きずられるようにしてついて行った。




「おーい、一緒に遊ぼうよ!仕方ないなー」




 イセの声が追ってきた。

 今までと違うことに、何とイセは呪文を唱え始めた。


 小柄な男が、魔術師かよ、とつぶやいた。

 ヒルダは足を止めた。

 小柄な男が、おい、と慌てたが、ヒルダは手に握り込んでいた呪符をイセに向けた。


「やっちまえ!」


 イセの詠唱が終わる前に、ヒルダの呪符は発動した。

 銀の鎖が細く長く鋭く飛んだ。

 イセはがんじがらめにされ、膝をついた。


 小柄な男はすぐさまヒルダの手をとって走り出した。

 ヒルダも懸命に走った。












 どこかの建物の裏手で、ヒルダは座り込み、両手を地面について、ぜいぜいと息をしていた。


 イセから逃げ延びた。


 小柄な男は立ったまま周囲を警戒していた。

 少しだけ息の整ってきたヒルダは小柄な男を見上げた。

 先ほどまでは、まったく顔を見る余裕もなかったのだ。


 細身で小柄な男は、短髪、キツネ目で、なぜだろう、ヒルダの中に少しの警戒心も湧かなかった。

 なぜだろう。

 なぜかというと。


「お前!」


 ヒルダは気がついて声を上げた。

 その声に驚いた小柄な男は、初めてまっすぐにヒルダを見た。

 小柄な男の顔が、衝撃を受けて固まった。





「ウソだろ!ヒルダじゃねえか!」

「タタだろ、お前!」





 二人はとんでもないところで再会した。

 あまりのことに、ヒルダとタタはそろって言葉を失ったのだった。

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