涙の基礎
10.ゴリ押し
日が真上に昇る頃、大型領の中心にある塔の頂上で小さな戦いが勃発していた。
(アゼロアはなぜか世界のことを何も教えてくれない。
いつもくれるプレゼントが唯一外を知る手がかりなの。
そんなの耐えられないわ!)
「アゼロア!私は勉強がしたいの。お願い。」
(多分アゼロアは教えてくれないから…………味方につけるのはシキよ!)
姫様の突然のお願いに常に微笑んでいる顔を一瞬歪め喋り出す。
「姫様!なんと可愛らしいお姿でしょうか!寝起きの儚いお姿からピンクの衣装をまとわれ、愛らしさが増加
しております!
わたくしが以前送りましたピンクの花々のカバーをかけてあるソファーに、ある領地の風景を模した
ゆめかわなクッション!使っていただいている現実に涙が出そうなほど感動しております!」
片膝をつき褒め称えて話題を変えようとする努力は虚しくーー
(もうひと押しかしら。)
「ねえ、べ・ん・きょ・う!」
「はぁー、姫様の凛々しいお顔!なんとなんと…………」
両者とも折れず膠着状態が続くと、救いの手が振り下ろされる。
『ベシッ』
「アゼロアさん暴走しないでください。
姫様が勉強したいと言っております。聞いてあげてもよろしいのでは?」
シキが姫様側につき決着はついたと思われる。
だがそこで諦める男ではなかった。
「はぁ……容赦ないですね。手刀を勢いよく頭に入れなくてもいいでしょう。
お勉強…………………………………………………………………………。外のお話などいかかでしょうか?
あーーーーーー振りかぶらないで!おろしてください!」
軽く痛む頭をさすりながら口元を手で隠して悩む。
受け入れたくはないのだろう。
文句を言いなんとか話を逸らそうとするのでもう一度入れれるよう準備をする。
「では」
シュンと縮こまったアゼロアさんに念を押すと渋々立ち上がる。
「では基本中の「基本時間の概念」からやりましょうか。はぁ。」
アゼロアは咳払いをして言葉を続けた。
「まず領地によっては時間経過とともに日が動き明るさがかわらない場所もございます。
ですのでどこにも必ずいる時間感覚で鳴く動物たちを基準にしております。
まず朝日が昇り月が沈むのがちょうど交わる時間帯から「火の時間」と呼び輝鶏というよく
食べられる卵を産んでいる動物が目印になっております。
日がちょうど真上に来て月が真下に来る時間帯からを「風の時間」と呼び魚牛という漆黒の大きな体躯に
ウロコを持ち、大きい角で攻撃をする動物を目印に。
よく召し上がるお肉はこのものたちからとれており味が濃く、脂も甘く、とろけるような舌ざわりが特徴
です。
日が沈み月が昇るのが交わる時間帯からを「水の時間」と呼び黒狼という犬に似て戦闘力が増したような
動物が目印になります。
我々は3つの時間を1日として70日まで数え超えますとまた1日と戻ります。」
今の説明で姫様の中に疑問が浮かぶ。
「ねぇ、私は16歳らしいんだけど……16日しか生きてないの?」




