大火の津波
出会っていただきありがとうございます。
よろしくお願いします。
この世界はまるでゲームのようだ。
プレイヤーが輝くために都合のいい世界。
1.庇護地の陥落と動き
悲願じゃ、悲願じゃぁ……130年ぶりに動いたぁ
太陽が沈み月が出る。入れ替わるわずかな赤い時間にーー
誰もが続くと思っていた「約束された生活」の終わりを迎えた。
大型の庇護地の1つが、支配していた集団の交代を迎えたのだ。
≪庇護地≫これは半透明な膜で覆われた点在する潤沢な大地。
つまり神が人類をさらなる高みへと進化させるために用意した土地の制限である。
範囲により大型、中型、小型と分けられ、それぞれに「回復禁止」などの制限が付く。
昔はさらに暮らしやすいよう条件の良い大地に侵略などをしていたが何せ膜の外は地獄である。
乾燥のし過ぎでひび割れた地面に突発的に吹く強い砂風、極端な食料となる生命の少なさ。
日が出ている時間帯は暑く落ちれば極寒。
最近は誰も占領していない野良領を得ようとする集団と阻止したい集団の小競り合いが起きるぐらいだった。
なぜならこの世界には厄介な決まりがある。
小型が10陥落すれば中型のランダムな数と場所、防衛装置が崩れていく。
さらに中型が2つか小型が20落ちると大型にまで影響を及ぼす。
3つしかない大型のどれかが落ちればランダムな小型の領地まで被害が及びさらに小型が3つ中型が1つ
消えてしまう。
この世界は価値の高い人間のみ生きられるようになっていた。
「助けて!助け………………てよ。シルニス!仲間だろ。たくさん笑いあっただろ!」
(ふわふわでくるくるな金髪もプライドの高そうな琥珀の目も、右目の朱を引いたような赤いアザも
男の癖に小柄でヒョロイ、日に焼けていない白い肌。頼り甲斐のない癖に無駄に力があるからって迫害
され、幽閉され、良いように使われる異端だったお前を唯一、気にかけてやってたんだぞ)
大型が落ち、小型3つ中型1つの庇護地が消滅した。隣に位置していた小型が対象になってしまったらし
く奪うい取るために敵が乗り込んできたのだ。
地平線まで続く緑の草原に立ち並ぶ質素な住宅は燃え黒煙が上がる。
生命線である川ーー普段は透き通りそこまで丸見えだった水面は、血と土と欲で赤黒く濁っている。
普段は近寄らず邪魔者を追いやっている暗い穴座には懇願する人々が押し寄せていた。
昨日まで互いに笑い、酒でよっては歌を歌い、草の上で適当に寝転がって空を見上げた対等な人間は一瞬にして勝者と敗者に引き裂かれた。
(そこらへんに転がって救いを懇願しているやつらは俺だけを見下すなら助けてやった、
俺には力があるからな。
一人で勝敗を変えることができる。守り、裁き、導くことができる。
ただ無償の愛を知らないんだよね。)
「アルヒト、ミレイユ出ましょうか。」
静かになった肉が塞いだ活路を整備しながらシルニス一行は暗い洞窟から光の差すほうへ進んでいく。
(おい、待て!ミレイユ、お前まで見捨てるのか。お前は認められていただろう。
男らしい頼りがいのある大きすぎる体躯、太陽に焦げた働き者の証である焼けた肌。
女のようなサラサラなピンクブラウンの髪とエメラルドグリーンの目が気に入らないが、
髪は短く切ってやったし、頬には傷跡をつけてやった。
少しハブるぐらいで仕事は与えてやってた!
アルヒト!お前に関しては女のくせに、洞窟で物を作ることしか能のない引きこもりの集団にいたのに
偉そうに意見しやがったな。
チビで小柄なお前の紺色の長い髪を何度も梳かしてやると言ったのに、銅の色の瞳に、自分
を映してもらおうと頑張ったのに、お前は!後ろで一つにくくり、あいつらを、異端な奴らを
選びやがった。)
常に仲間外れにされていた哀れなお前らは常に注目の的だった。
小さい頃は大人から言われるがままに劣等種だとあざ笑っていた。
だが大きくなり恋愛だの家族などを意識し出すと状況は一変した。
(常に3人で固まる異端なお前らが、いつも視線と注目、命の選択までもを奪っていくのが気に入らない!
さっさと………………)
「死ね!」
「生きる」




