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リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


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第三部 第88話 崩壊する秩序 前編

テンレア同盟に属する国、ヴァスティラ。

その首都――テスラ城塞都市。

城塞都市の中心に建つ冒険者ギルドは、朝から騒然としていた。

普段なら依頼掲示板の前で笑い声が飛び交い、酒の匂いが漂う場所だ。

だが今日は違う。

血の匂いがした。

担架が運び込まれる。

「どけ! 治療班!」

血まみれの冒険者が二人がかりで運び込まれた。

鎧は裂け、腕は不自然な方向に曲がっている。

治療所の魔導師が急いで回復魔法を展開した。

淡い光が傷を包み込む。

だが、周囲の空気は重かった。

受付嬢が青い顔で呟く。

「またですか……」

ギルド職員が低く答える。

「今朝だけで三件目だ」

奥のテーブルでは冒険者たちが声を潜めていた。

「……おかしい」

「どう考えても数が多すぎる」

「昨日、三層でゴブリンが群れてやがった」

別の男が吐き捨てる。

「五層なんて行けたもんじゃねぇ」

「オークの群れだ」

「完全に増えてる」

その会話を聞いていた男が、ゆっくり立ち上がった。

ギルドマスターだ。

年配の男で、顔には古い傷がいくつも刻まれている。

かつて一流の冒険者だった証だ。

「静かにしろ」

その一言で、ギルドの喧騒が止まった。

ギルドマスターは机の上に報告書を並べる。

そこに書かれている内容は、すべて同じだった。

ダンジョン異常

魔物増加

負傷者多数

「昨日からの報告をまとめた」

「テスラダンジョンの魔物出現数が急増している」

ざわめきが起きる。

「二層から四層まで、すべてだ」

「数が異常だ」

一人の冒険者が叫んだ。

「スタンピードか!?」

ギルドマスターは首を振る。

「まだそこまでは確認されていない」

「だが――」

少し間を置いた。

「放置すれば、そうなる可能性はある」

空気が重く沈む。

スタンピード。

それは都市を滅ぼす災害だ。

ギルドマスターは続けた。

「すでに怪我人が増えている」

「調査が必要だ」

そして低く言った。

「最高戦力を呼んだ」

扉が開く。

重い音を立てて。

ギルドの視線が一斉に向く。

そこに立っていたのは――

五人の冒険者だった。

銀の鎧の剣士。

巨大な槍を背負った女戦士。

黒い外套の魔導士。

弓を持つ斥候。

そして白いローブを纏った回復術師。

ギルド内のざわめきが止まる。

誰かが呟いた。

「Sランク……」

ギルドマスターが言う。

「来てくれたか」

先頭の剣士が肩をすくめる。

「呼び出されたからな」

その男の目は鋭い。

幾度も修羅場を潜り抜けてきた者の目だった。

ギルドマスターは言う。

「テスラダンジョンで異変が起きている」

「調査を頼みたい」

剣士はわずかに笑った。

「調査、か」

「ダンジョンの管理魔導具は?」

「まだ機能している」

ギルドマスターが答える。

剣士は仲間を振り返った。

「聞いたか?」

槍の女戦士が肩を鳴らす。

「久しぶりの仕事だ」

魔導士が静かに言う。

「魔物増加か」

「嫌な予感がする」

弓使いの男が笑った。

「まぁ行ってみりゃ分かるさ」

回復術師の少女が小さく頷く。

「準備はできています」

ギルドマスターは言った。

「頼む」

剣士は剣を肩に担ぐ。

「任せろ」

そして名乗った。

「Sランクパーティー」

「白狼の牙」

そのリーダー。

レオン・ヴァルグ。

その頃。

テスラ城塞都市の外。

巨大なダンジョンの入口。

暗闇の奥で――

魔物たちが蠢いていた。

それは

今までのダンジョンとは

明らかに違う“数”だった。

(続く)

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