第二部 第87話 秩序崩壊 ―混沌の芽吹き―
皆様にお詫び
第2部終了までかけました。
ある人から、提案がありタイトル変更を致しました。
これからも、よろしくお願いします。
地下遺構。
先程の光の奔流によって崩落した、レグノル城の深部。
瓦礫の奥。
そこに――黒い塊が蠢いていた。
それは液体のように揺れている。
だが、生き物だった。
魔力を吸う。
石を吸う。
死体を吸う。
ゆっくりと。
確実に。
周囲のものを取り込みながら、進み続ける。
◆
地上。
レグノル城跡。
その気配を察知していたアルディアスは、地面を破って現れたそれを見上げた。
「……出てきたか」
黒い塊が地面を破り出る。
瓦礫を押し上げる。
兵が叫ぶ。
「な、なんだあれは!」
それは巨大だった。
人でもない。
魔物でもない。
ただ――黒い。
周囲の魔力が吸い込まれる。
兵の身体が崩れる。
魂が吸われる。
アルディアスが剣を構えた。
炎の魔力が爆発する。
「全軍、退け!」
炎の斬撃。
黒い塊を裂く。
だが――
切り裂かれた部分が再生する。
ミハイマールが空に魔法陣を展開した。
「魔導砲、全開」
光の砲撃が降り注ぐ。
エミリオが笑った。
「いいねぇ」
「やっと面白くなってきた」
魔導獣が突撃する。
だが――吸われる。
ジュリアが扇を閉じた。
「……盤面外」
「予測不能」
黒い塊が膨れ上がる。
さらに巨大化する。
◆
その時だった。
空が震えた。
雲の上。
二つの船影。
かつてファランシアを砲撃した――
鋼鉄の戦艦。
アルディアス旗艦
アーク=テンレア。
そして観測艦
オラクル。
二隻が空に並んでいた。
砲門が開く。
「主砲、展開」
光が集束する。
アルディアスが呟く。
「全力砲撃」
閃光。
二本の光柱が地上へ落ちた。
爆発。
黒い塊が閃光に包まれる。
だが――
消えない。
ジュリアが言う。
「完全撃破は無理です」
◆
その瞬間。
アンリエットから通信が入る。
「緊急報告!」
「テンレア同盟全域!」
「スタンピード発生!」
「魔物が溢れています!」
アルディアスの目が見開かれる。
「……何だと」
ジュリアが静かに言う。
「原因は恐らく――」
黒い塊。
「これ」
アルディアスが舌打ちする。
「全軍撤退」
「この戦いはここまでだ」
ミハイマールが問う。
「追撃は?」
アルディアスは首を振った。
「優先順位が違う」
黒い塊を睨む。
「世界が崩れる」
◆
空の戦艦が反転する。
砲撃。
さらに砲撃。
地面が崩壊する。
巨大な爆発。
レグノル城一帯が――
消えた。
煙の中。
巨大なクレーターだけが残る。
黒い塊は――
逃げたのか。
消滅したのか。
その姿は消えていた。
アルディアスが呟く。
「……逃がしたか」
だが振り向く。
「帰還する」
「テンレアを守れ」
戦艦が空へ消える。
そして――
世界は気付く。
秩序は崩れた。
混沌が
芽吹いた。
第二部完結しました。
第三部は世界規模の混乱編になります。
引き続きよろしくお願いします。
繋ぎの幕間もお楽しみに




