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リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


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第二部 第79話 軍の再編と王都の影

新生レグノル軍――

聞こえはいい。

だが兵士達の練度の差は大きかった。


この日もアルヴァ砦の訓練は、日が傾くまで続けられていた。


剣の音。

槍の衝突。

怒号。


砦はまるで生き物のように動いていた。



訓練場の中央。


ヴォルコフが若い兵を叩き伏せる。


「甘い!」


木剣が弾かれ、兵は尻もちをついた。


「戦場では今の一瞬で死ぬ」


白髪の騎士団長は息も乱していない。


周囲の兵が固唾をのむ。



その様子を見て、バルドが笑う。


「年寄りってレベルじゃねぇな」


横でカイが言った。


「レグノル第三騎士団長だ」

「伊達ではない」



倒れた兵にヴォルコフが手を差し出す。


「立て」


若者は慌てて起き上がる。


「もう一度だ」


その声には怒りではなく――

誇りがあった。



少し離れた場所。


エリーナが空を見上げていた。


風の流れを読む。


谷の上空。

異常はない。


だが。


胸の奥に、微かな不安が残っていた。


「……あの黒いもの」


昨日の光景が頭をよぎる。


地面から這い出した染み。

兵を飲み込む影。



同じ頃。


中央塔の作戦室。


カイが地図を広げていた。


「現在の兵力」


副官が報告する。


「約九百」

「民兵含め千に届きます」


バルドが口笛を吹く。


「倍以上じゃねぇか」



カイは地図を叩く。


「だが問題も倍だ」


指が補給路をなぞる。


「食料は十日」

「武器は不足」

「鎧はほぼ無し」


そして静かに言う。


「それでも――」



外から歓声が聞こえる。


民兵たちの訓練が終わったらしい。



カイは窓の外を見る。


兵。

農民。

騎士。


混ざり合っている。


「軍になり始めている」



バルドが笑う。


「いや」

「もう軍だろ」



その時だった。


見張り兵が駆け込んでくる。


「報告!」

「北街道に斥候を確認!」


カイが顔を上げる。


「敵か」


「不明」



カイは少し考えた。


そして言う。


「放置しろ」


バルドが眉を上げる。


「いいのか?」


「いい」


カイは静かに言った。


「見せてやる」

「アルヴァの今を」



谷には旗が立っている。


レグノル王家の旗。

その下に集まる軍勢。



その様子を遠くの丘から見ている者がいた。


黒衣の影。


七聖聖導軍の斥候だった。



ジュリア直属の斥候が呟く。


「情報は正しい……本当に軍の形になり始めている」


ジュリアに報告するため、踵を返す。



報告はすぐにジュリアへ届く。


新生レグノル軍。


その存在が――


ついに七聖の前に突きつけられる。

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