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リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


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第二部 第68話 静寂の下で動くもの

リーデル先遣隊が、ロスヴァルを出立して二日。


リーデル砦は、静寂に包まれていた。


風は穏やかに吹いている。

城壁の上を巡回する聖導軍兵の足音も、乱れはない。


それでも。


「……静かすぎる」


カイは、遠くの闇を見ていた。


砦の火は灯っている。

周囲に敵影もない。


だが、空気が重圧のように重く感じられる。


それは戦場で感じる気配ではない。

もっと、内側から滲んでくるような違和感だった。



城下の地下水路。


魔導灯が、ほんの一瞬だけ明滅する。


誰にも気づかれずに。


人知れず、リーデル基幹層の監視盤に微細な波形が刻まれた。


《異常値:未満》

《継続観測》


数字は正常範囲。

だが、周期がある。



ファランシア。


アオトが眠る保存槽の内部。


呼吸は穏やか。

だが脳波は、わずかに高い。


《同期率:0.02上昇》


上がり幅は小さい。

しかし、連続して増加している。



リーデル外縁。


森の奥。


黒い染みのような影が、地面に滲んでいた。


動かない。

形もない。


だが。


土の下で、何かが脈打つ。


「リーデル先遣隊、異常なし」


報告は簡潔だった。


聖導軍側の動きも確認できない。


不気味なほど、均衡している。



再び、ロスヴァル。


セリナは城壁から、先遣隊の進む方角を見下ろしていた。


胸の奥が、ざわめく。


「……揺らぎは?」


「拡大していません」


だが、止まってもいない。



リーデルの森の奥。


染みが、わずかに広がる。


ほんの数センチ。


それは“外側”ではなく、

地下へと伸びていく。


ロスヴァル中央塔。


亀裂から、粉塵がひとひら落ちる。


誰も気づかない。



夢の中。


光の網、その深部。


設計外の空白が、

ほんの一瞬だけ脈打つ。


《鍵:未解放》

《外部同期……》


ノイズ。



夜は静かに更けていく。


まだ何も起きていない。


だが、地下で何かが軋み始めていた。

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