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Veil lady ~転生美少女は、異世界にえっちな衣装を広めたい~  作者: 緑茶わいん
第五章

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【後日談】王弟殿下の第二夫人

 新領地開発へ本格的に乗り出してからの一年は本当にあっという間だった。

 街の外壁は少なくともしっかり整えないと魔物の脅威から防衛がしづらいし、そもそも人がごっそり減ったこの土地をなんとか維持していかないといけない。


「この際、強引に街道を整えようと思います」


 領都の周囲から徐々に、奇跡を使って地面に石畳を敷いていく。

 最初は『神の石』にしようかと思ったが、テオドールから「盗まれたら面倒だ」と言われたため普通の石に。

 延々同じサイズに揃えた石を敷き詰め、疲れてきたら転移で領主の館まで戻る。

 次の日は転移で昨日終わったところまで移動して作業を開始すればよく、とんとん拍子に領都周辺の物流がやりやすくなった。

 石畳が破損した時は普通に職人に頼めばいいので、彼らの仕事が消えることもない。というか、普通に事業としてやってたらいつ着手できるかわからない。


 それから、一日一匹ずつ羊を増やした。


 手が足りずに草地が増え始めていたのでちょうどいい。

 温厚で頭の良い彼らはあまり遠くまでいくことはなく、さりとて過度に人を気にすることもなく、のんびりと草をはむはむしていた。

 そんな感じでかわいいので勘違いされがちだが、これでも神の眷属、ゴブリンとかスケルトン程度の魔物ならタックル一発で葬れる。

 また、いるだけで微弱な浄化効果を持つため、増えて領地内に広がっていくほどに魔物の発生率が抑えられるようになった。


 魔物素材による収入の減少は羊毛その他の生産でカバー。


 俺たち、協力者たちの努力のおかげか、領地の運営はなんとか形になってきて。

 最初は関係者の家族がほとんどだった街にも、ちまちまと移住者が増え始めた。


 元隣国の民の中には孤児もいたので、そうした子たちは『神の石』で神殿を建設し、そこで受け入れることにした。

 生き残りの聖職者たちが協力してくれて、こちらもぼちぼち軌道に。

 もちろん、俺が請われて奇跡で治療を行った際も正規料金を取って、その分は神殿に納めている。


 そうして、一年半ほどが過ぎ。

 領都に大きな羊牧場ができた頃、王弟テオドールは第二夫人として魔女ヴァイオレットを迎えた。

 俺の時と違って内々の小さなパーティではあったものの、婚礼用に仕立てたドレス姿の彼女はとても美しかった。


「おめでとう、ヴァイオレット。とても綺麗よ」

「ありがとうございます、アヴィナ様。これもアヴィナ様のおかげです」


 にっこり微笑んだ、娼館時代の姉は、少しだけ涙ぐんでいた。


「結婚なんて正直、諦めていたのですけれど」

「そんなこと。なれる可能性があるなら、女は幸せになるべきよ」


 『瑠璃宮』時代の生活習慣のせいか、ヴァイオレットの身体は妊娠・出産にあまり適した状態ではなかった。なので、俺はゆっくり時間をかけて彼女の身体に癒やしを施し、身体機能を理想的な状態に近づけた。

 聖印を携帯するようになって神の加護も受けているからだろう、すっかり回復した今は、以前にも増して肌の張りと艶が増し、文句なしにテオドールの妻となれる器である。


 元娼婦ということで多少のやっかみはあったものの、それ言ったら俺もだし。

 吸血鬼討伐の際の功績があるため、強く抗議してくる者はいなかった。


 まあ、テオドールはかなりギリギリまでぶちぶち言ってはいたのだが。


『私は、アヴィナ様と同じように愛して欲しいとは思っておりません。あなた様と研究について話し合い、時には喧嘩もする、そして、性欲のはけ口に困った際には抱いていただく。そんな関係でよいと思っております』


 と、ヴァイオレットが素直な言葉で説得したことでようやく折れた。

 なんだかんだ言いつつも強く拒否してこない時点で気に入っているのである。

 わりと律儀な男なので、夫人ごとに愛情の優劣がついてしまうことに抵抗感があったのだろう。俺へ向ける愛情とは別の方向性でも良いのだと認識したらだいぶすっきりした様子だった。


『そういう事であれば、私は私なりに君を愛そう、ヴァイオレット』


 彼女が娼館になど入らず、宮廷魔術師を続けていれば、ヴァイオレットがテオドールの第一夫人だった未来もあったかもしれない。


「わたしとしてもほっとしたわ。お腹が大きい間はテオドールさまのお相手をして差し上げられないもの」


 と、俺は『再び』子を宿したお腹をさする。

 神から最上級の美貌を与えられたこの身体は母胎としても優秀らしく、俺はこっちに来て二か月もしないうちに第一子の妊娠が発覚。

 可愛い女の子を産み、そしてお腹には早くも第二子がいる。

 これにヴァイオレットは苦笑して、


「さすがに急ぎすぎではないでしょうか」

「あら、テオドールさまはわたしほど長生きはできないのよ? 加齢で男性機能が衰えてくることもあるかもしれないし、子供の誰かにこの領地を引き継げるように、たくさん産んでおくほうがいいわ」


 王位が次代──ランベールに移っても、俺とテオドールまでは王族の籍に残ることになっている。が、子供たちについては新たに俺たちを祖とした公爵家を建て、その子供として扱われるらしい。

 うまいこと長男を産んだとして、その子が公爵を継ぎたがるかどうかはわからない。

 子供たちがそれぞれ好きなことを選べるようにするためにも、子供は多めにいていいのだ。


「それに……ヴァイオレットだって子供、欲しいでしょう?」


 囁くと、彼女はほんのり頬を染めて答えた。


「それは、まあ、女の夢ですから」

「ええ。でも、わたしと出産時期はずらすようにしてね? 二人も妻がいて両方抱けないんじゃ欲求不満になるもの」

「かしこまりました。ですが、そもそもテオドール様はそこまで性欲がお強いほうではないのでは?」

「あら、そんなことないわ。テオドールさまは夜のほうもお強いし、意外と激しい方よ」

「……それはアヴィナ様の影響ではないでしょうか?」


 これに関して俺は聞こえなかったふりをした。

 で、ヴァイオレットはしっかりと婚礼の夜に初夜を迎え、数か月後にはテオドールとの子を孕んだ。

 俺たちは派閥が同じ、というか、第二夫人になってもヴァイオレットは俺の部下なので喧嘩もしないし、俺の子が誰も継がないならヴァイオレットの子がテオドールの後を継いでもいい。

 問題はむしろ出産の後で、


「テオドール様は、私が一人産んだらすっかり変わられました。夜に部屋を訪れてくださっても、魔法や魔道具の話ばかり。それとなく閨に誘ってみても、三回に二回は断られるのですよ」

「まあ……そうね、いちおう夫人間でのパワーバランスに気を遣っているんじゃないかしら」

「それにしても、女にだって性欲があるということをあの方はわかっていらっしゃらないのです!」


 と、ぶちぶち文句が出るようになった。

 研究も楽しそうではあるのだが、娼婦をしていたくらいなので彼女も性欲は強いのである。

 二人で夜伽をすることもあるのだが……どうやら「子は一人いれば十分だろう?」とばかりに、ヴァイオレット相手だと避妊もしているらしい。

 いや、そりゃ、研究相手で良いとは言ったけどさ。


「もう。……それじゃあ、いっそことわたしとしましょうか?」

「アヴィナ様と、ですか?」

「ええ。妻同士で欲求不満を解消しあうのなら浮気にはならないでしょう」

「それはいいですね」


 娼姫として同性相手にも慣れているヴァイオレットはあっさりこれを承諾、なかなか夫に抱いてもらえない時は俺のところに来るようになった。

 これに愕然としたのはメアリィで、


「アヴィナ様の寵愛をいただけるなんて、ヴァイオレット様はなんと幸福なのでしょう?」

「あら。それじゃあメアリィもテオドールさまの愛人に立候補してみたらどう?」

「します! 立候補します!」


 さすがにこれにはテオドールも「其方が嫁ぎたいのは私ではなくアヴィナだろう」ときっぱり拒否。

 そうしたらメアリィは「ではアヴィナ様の愛人に」と言い出すのだが、それはまた別のお話。

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